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INTERVIEW

WARGASM

2023.03.08UPDATE

2023年03月号掲載

WARGASM

Member:Milkie Way(Vo/Ba) Sam Matlock(Vo/Gt)

Interviewer:菅谷 透

-「Super Fiend」はヘヴィでカオスなサウンドで、ライヴでもキラーチューンとなりそうな楽曲です。この曲の成り立ちについて詳しくうかがえますか?

Sam:ストーリーは"ジャッジ・ドレッド"(イギリスのコミック)から来ている。"Super Fiend"は登場人物のJudge Deathが初めて出てくる回のひとつなんだ。この仕事、ミュージシャンやエンタテイナーの仕事の多くはたくさんの人と会って、人当たりがいいことが期待される。ショーのあとでもいろんな人に話し掛けられて"ヘーイ、アイ・ラヴ・ユー"なんて言われる。時にはバーやレストランにいるとき、女の子とディナーを食べようとしているときにも"ヘーイ"なんて声を掛けられてね。となるといつだってフレンドリーになんてわけにはいかない。そういう感じの歌詞なんだ。音楽的にもエネルギーがあって、そのエネルギーは"ずらかれ、俺たちは友達でいる必要なんてない"というところから来ている。友達じゃなくたって共存はできるからね。それからシーンの中で出会うバンドの多くは期待値みたいなのがあって、全員男だからとか、バンドだからとかで仲良くならないといけない、みたいな感じなんだ。時には相手の音楽がクソほど嫌いでもね。お前の音楽はクソ嫌いだ、服装もクソ嫌いだ、ちょっとした態度が気に食わない、コンプレックスの塊だ、俺がなんとかしてやる、なんて。"黙りやがれ、自分の曲をやれよ"って感じだよね。ハグなんてする必要はない。馬が合わないのはわかっているんだから、仲いいふりなんてしなくたっていいんだ。一方出会ったバンドの中には、会えたら感激して死ぬみたいなのもいるけどね。そういうやつらは本物だ。でもフェイクなバンドもいるんだ。で、「Super Fiend」はフェイクなやつらに反旗を翻している。2番目のヴァースは俺が心からファッキンなくらい嫌悪しているやつに向けて書いているよ。

Milkie:(笑)

Sam:俺たちはいい人ぶるためにいるわけじゃないからね。俺たちWARGASMだよ?

Milkie:その名の通りね(※"WARGASM"は"全面戦争"という意味がある)。

-「Pyro Pyro」は本ミックステープの中では最も早い段階の2021年に発表された楽曲です。高速ヴォーカルとメロディックなパートの対比などが印象的ですが、この曲についても詳しくうかがえますか?

Sam:「Pyro Pyro」はサビの最後に"It's been sixteen weeks/Can't swallow this/Hard medicine"(16週も経った/この硬い錠剤を飲み込めない)というフレーズがあるんだ。あれは"ロックダウン16週"という意味だった。イギリスのね。ロックダウンは飲み込むのがつらい錠剤だったんだ。閉じ込められた生活のなかで俺が感じたフラストレーションの表れだった。ロックダウンをやらないといけなかったのは納得していたけど、それでも言葉にする必要があった。それから面白いことに、ミドル・セクションのところはもともと俺たちのために書いたものじゃなかったんだ。俺たちが初めて契約を結んだとき、これで好きなアーティストに手が届くね、みたいに言われたことがあってさ。それで俺はそのパートを、GRIMESみたいなやつが歌ってくれたらなと思いながら書いた。それからふたつ目のゴールはPUSSY RIOTのNadya(Tolokonnikova)だった。あれは世界一ファッキンに素晴らしいパンク・ロッカー集団だよな。ある月曜日にMilkieに、"この曲でPUSSY RIOTのNadyaにフィーチャーしてもらいたいと思うんだ"と相談して、金曜日には俺たちのInstagramにメッセージが来た。

Milkie:Nadyaからね。

Sam:PUSSY RIOTのNadyaから。"Yo、元気?"みたいな感じで。"嘘!"と思ったよ。俺はこの状態になることを狙っていたから返事した。

Milkie:でも返事が来なかったんだよね。

Sam:週末は返事が来なかった。もう1回返事を出したけどなしのつぶてだった。しょうがないから自分たちでやるか、と思って。音楽的には興味深かったよ。初めて自分たち以外の人を起用したいと思ったからね。うまく行かなかったけど、行かなくて良かった気がする。君(Milkie)の声は十分いいしね。まぁ歌詞的にはフラストレーションの溜まった時期の表れだったな。そのおかげでこの曲を見つけた人たちが共感してくれたわけで。共感してもらえて嬉しいけどどうしてかはわからない。(コロナ禍から)時間が経ったあとだからね。

Milkie:タイムスタンプのついた曲だよね。私は普段そういうのは好きじゃないけど、そこまであからさまじゃないから気にならないんだと思う。曲が書かれたときに直接的に言及する曲は好きじゃないけどね。その時期にロックオンされてしまうような気がするから、普段はそういうのは好きじゃない。でもこの曲の場合は言及といってもさりげないから、あまり気にならないんだと思う。

Sam:そういえば(時間の都合で質問がカットになった)「D.R.I.L.D.O」について少し話すと、この曲の面白いところは、バンドのターニング・ポイントになった曲ってことなんだ。俺はソングライターとして経験を積んできていたから、大半の曲を書いていた。でも「D.R.I.L.D.O」はMilkie Wayプロデュースの度合いが大きいんだ。Milkieがひと役買って"違う、こういうふうにしよう"と。Milkieが主導権を握ったときのWARGASMのサウンドがこれってことだね。

Milkie:あなたはポップとギター・ソロの人だからね。

Sam:君はパンクとギター・ソロの人だよな。ある程度になると俺は何もしたくなくなるから......。

Milkie:うまくいって良かった。ライヴでやるのもいつも楽しいしね。プロデューサーの役を担って面白かったわ。

Sam:"これは君ができる?"と言えるのはいいことだよ。両方いっぺんにやる必要はないし、たまには一方的に相手に権限を与えて、アーティストとして手掛けてもらうのはいいことだ。彼女がファッキンなギター・ソロを弾いてくれって言うなら俺はそうするし、ギター・リフが欲しいって言われたらギター・リフをやるんだ。そういう作業ができるのも興味深いね。

-最後に日本のファンへメッセージをお願いします。

Milkie:(ターミネーター風の低い声で)"アイル・ビー・バック"! (アーノルド)シュワルツェネッガーの声で言うべきよね。ということでやってみたわ(笑)。......(Samに向かって)あなたのメッセージは?

Sam:ん?

Milkie:日本のファンへのメッセージは?

Sam:特にないや。

Milkie:ないんですって。じゃあ私ので(笑)。

Sam:(笑)

Photo by SHOTARO.