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INTERVIEW

WARGASM

2023.03.08UPDATE

2023年03月号掲載

WARGASM

Member:Milkie Way(Vo/Ba) Sam Matlock(Vo/Gt)

Interviewer:菅谷 透

-このたび"BLARE FEST.2023"出演のため初来日を果たしましたが、この話を聞いたときはどう思いましたか? また、主催のcoldrainについては知っていましたか?

Milkie:あんなにいっぱい人が来るとは思わなかったわ。このくらいのサイズの会場だとどんな感じになるか見当がつかなくて。結構大きなところだしね。coldrainのことはこのフェスにブッキングされるまでは知らなかったけど、決まったら"プレイすることにしてくれてありがとう"と連絡をくれたんだ。今日初めて会えたよ。ひとつのバンドがこんなフェスを主催できるなんて素晴らしいと思う。

Sam:本人たちも出演してるっていうのがファッキン・クールだよ。バンドによってはフェスに出られるだけでラッキーだけど、彼らくらいビッグになるとフェスを主催できるんだね。自分のフェスだからラインナップも自分でキュレーションできるし。それほど成功しているってことだから。しかも、主催しているってことはその人たちがすごくいいやつなんだと思う。他のバンドのために骨を折ることを惜しまないってことだし。

Milkie:きっと大変なことだと思うしね。

Sam:coldrainがシーンに恩返しをしている。尊敬するよ。

-ライヴはいかがでしたか?

Milkie:サブ・セットに火が点いちゃって。ライヴが半分くらい進んだところで何か煙臭いなと思って、バーベキューみたいな臭い! と思っていたんだ。それがスモーク・マシンによるものなのか、照明のせいなのかわからなかったけど、とにかく焦げ臭くてね。まぁ私たちのセットだとよくある話なんだけど。どうしてかはわからないけど、何かが燃えるんだよね。ファッキンな火起こし役だよ。というわけで火が点いちゃったけど、それ以外は私は楽しかった。

Sam:クラウドサーフはしないようにって言われたんだ。

Milkie:普段のギグではやるけどね。

Sam:ここは日本だし俺たちは日本が好きだから、今回はリスペクトってことでやめたんだ。

Milkie:"今回は"ルールを守ったわ。

Sam:次回は......ノーだ。次回はお手上げ状態で来てもらいたいね(笑)。

-昨年リリースされた『Explicit: The Mixxxtape』についてもうかがいます。本作はアルバムやEPではなくミックステープとして発表されていますが、ミックステープというフォーマットを選んだ理由をうかがえますか?

Milkie:あれは事実上のEPだったんだよね。まだWARGASMのオフィシャルな1stアルバムを書いている途中だった。ミックステープというフォーマットにしたのは、90年代のラッパーたちの影響を受けているから。一過性のものじゃなくて、出していたシングルと作り途中だったアルバムの橋渡しにしたいという意図もあったんだ。矢継ぎ早に出すことによって、アルバムが出る前に自己紹介をしたかった感じかな。

Sam:何十年も前は、バンドっていうのはライヴで新しい曲を試してどんな感じか様子を見ていたんだ。今の時代は新しい曲をライヴでトライしようとしたら、高画質の動画がYouTubeで出回ってしまう。あっという間にね。ふたつ目の問題としては、ロックダウン、パンデミックだ。新しい曲をライヴで試したくてもどこでそんなことができる? 俺たちはWARGASMを発展させたかったし、時間をかけて成長させたかったから、まだアルバムを出す準備ができていなかった。左へ行ってもいいのか、右に行ってもいいのか、上はどうか、下はどうか。ひっくり返してもいいのか。自分が入っていた箱から出てその箱をひっくり返して、段ボールの箱にナイフを突き立ててもいいのか。アルバムを出す前の最後のチャンスがあれだったんだ。このゲームにはルールがあるし、守らなくてはならないタイムラインがあった。でも時には手を挙げて"タイム"と言ってもいいんだ。"ちょっと余分に時間をくれ。ほら、ミックステープができたぞ"みたいなね。楽しかったよ。

-「Fukstar」はゾンビ映画のようなMVも印象的ですが、この曲についても詳しくうかがえますか?

Milkie:そっちが曲の話をして。私がビデオの話をするから。

Sam:ああ。とてもいい歌詞と、とてもいいリフがあるんだ。そして時代を超えたいい音楽がある。NIRVANAの「Very Ape」という曲があって、そこで使われていたギター・リフは、THE PRODIGYの「Voodoo People」にも使われている。俺も自分なりのバージョンを作ってみたいと思って、「Fukstar」のリフを書いたんだ。大昔、16歳のころにね。同じころ...まだ14~15歳で学校に通っていたころ、俺は「Fukstar」をノートに書いていたんだ。で、今回のミックステープのレコーディング・プロセスの終盤になって、満足がいかないからもう1曲必要だと思った。そのときふと思ったのが、(Amazonの)ジェフ・ベゾスみたいにファッキンな億万長者、搾取ばかりして周りを悪くする一方なやつらは、ファッキンなロック・スターみたいに振る舞っているけど、実際はロック・スターなんかじゃなくてファッキンな馬鹿野郎なんだ。......とにかく、俺がガキのころに思いついたリフを思い出した。ノートに走り書きしていたやつをね。"おっ、ぴったり合うじゃないか"と思ったよ。そうしたら曲全体ができてきたんだ。スタジオの中では全然ハッピーじゃなかったけど......。

Milkie:私はすごく気に入ったけど?

Sam:嘘つきめ(笑)。イースト・ロンドンのフラットでいろんなコンポーネントで曲を書いていって、全部組み合わせたらみんなしっくりハマったんだ。"億万長者たちはクソ喰らえ、お前ら俺たちのなんの役にも立ってないじゃないか"みたいな。やつらが聴くことはないだろうね。気にも留めないだろうし。万一観に来ることがあったら、ギターの弦を引っ張ったりしてイタズラしてやろうかな(笑)。さぁ、ビデオの話をしてよ。

Milkie:LIMP BIZKITのサポートで全米ツアーをしていたとき(※2022年春)、終わりに1日オフがあってね。長いツアーだったから1日オフを取ってリラックスすることにしたんだ。あるいは砂漠に行ってこの曲のMVを撮ろうと思って。

Sam:"マッドマックス/サンダードーム"みたいなやつ。

Milkie:そう、"マッドマックス"にインスパイアされたやつ。私は("マッドマックス/サンダードーム"に出演した)Tina Turnerみたいになりたかった。黙示録的なディストピアのあの世の女王にね(笑)。それでドームを見つけて、砂漠のど真ん中に持っていったんだ。撮影は7日間くらいかかったような気分だったわ。暑くて1日が長くて。

Sam:ドームと言ってもバカみたいなやつだったよね。穴が開いていたからそこから通り抜けできたし。

Milkie:そういうこと言わない(笑)。

Sam:言ってみただけだよ。ドームを使ったのは楽しかったしね。でも俺がゾンビだったらその穴を通り抜けると思うよ。

Milkie:MVは良かったけどね。砂漠を自由に使っていいってことは......砂漠が独自のキャラクターを持つような感じになるから、他のMVと比べてあまり自分たちが動かなくていいし。私たちはただ姿を見せて、ドームの中で曲をプレイして、エキストラのゾンビたちには好きにやってもらえばいいから。

Sam:あいつらクールだったよな。

Milkie:うん。楽しい撮影だったよね。オフの日を1日犠牲にしてしまったけど、間違いなくその甲斐があった。

Sam:優等生な発言だな(笑)。

Milkie:みんなハッピーにしたいからね。