MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

SAISEIGA

2023.03.28UPDATE

2023年03月号掲載

SAISEIGA

Member:Regan(Vo) Wakkun(Gt) Katsuki(Ba) 桐子(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-メタルっぽさという点では、ギターのフレージングの面でも今回はメタル的なアプローチが増えていませんか?

Wakkun:そこは、実を言うと今回のアルバム・タイトル"NOSTALGIA"ともちょっと繋がる部分で、今回は自分にとっての原点的なフレーズとか、懐かしくなるようなフレーズをいろいろ意識して取り入れていった結果、メタルっぽさが濃くなったんですよ。きっかけとしては、Katsuさんと"より効果的なソロを入れるには、どんなフレーズにしていったらいいか"と話し合いをして、僕の持っているルーツの部分をもっと反映させたソロを入れたらどうかということになったんです。

Katsuki:もともとソロ部分以外はギターも僕がすべて監修していますし、レコーディングでも、前作に引き続いて今作でもほとんど一緒にツイン・ギターとして弾いています。これは違う人間のフィーリングで両サイドの音楽的な広がりを出す狙いです。ただ、曲によって、Wakkunが元ネタを持ってきたものは彼がひとりで両サイドとも弾いています。「AMBITION」と「成敗ダ。」です。

-ということは、「AMBITION」で聴けるあの"ちゅるちゅる"したメタリックなソロも、Wakkunさんが持ち込んだものになりますか?

Wakkun:はい。この曲はソロだけじゃなく、全体的にAメロ以外はずっと単音弾きで"ちゅるちゅる"させました(笑)。これはもともと自分の好きなシンフォニック・メタルの色が強く出た曲ですね。前作のときは、そういう個人の色は抑えて、SAISEIGAのトーンに合わせたラウド寄りな音を出すようにしてましたけど、この曲では自分の趣味全開になってます。

桐子:「AMBITION」は2ndワンマン・ライヴ("SAISEIGA 2nd ONE MAN LIVE「サイセイガサイコウカ」")のときにやったら好評だったよね。

-そうしたメタル然とした曲もありつつ、今作の中盤には、じっくりと聴き込めるタイプの楽曲となる「emerald」と「tomorrow」も収録されています。この緩急ある展開もフル・アルバムならではですね。

桐子:「emerald」は私がピアノで作りました。Katsu君がアレンジをしてくれたことで、これは原曲よりも大人っぽい雰囲気に仕上がったと思います。

-アッパーな楽曲では最高にワイルドなヴォーカリゼイションを繰り広げてみせる一方、Reganさんは、こうした叙情的なメロディを歌い上げるときにはまったく別の表情をされるところが素敵です。

Regan:私、こういう曲を歌うのが好きなんですよ。むしろ、好みとしては一番「emerald」みたいな曲が好きなくらいかも。でも、私が歌って一番人に喜ばれるのはドカーン! っていうタイプの曲なんです(笑)。おまけに、好きだからって「emerald」みたいな曲が上手く歌えるのかというと、そうとも限らないところが難しいですねぇ。

-歌の難しさという面からいけば「tomorrow」も簡単ではなかったはずです。この曲は、SAISEIGAとしては非常に異彩を放つJ-POP的なこの曲調に驚きました。

Katsuki:毛色が他の曲とこの曲では全然違いますからね(笑)。もともとこれは10年以上前に書いたメロディで、いつかかたちにしたいと思っていたものなんですよ。とはいえ、前作の段階だと"SAISEIGAには合わないし、やるとしてもまだ早いな"と思っていたんですが、今回はようやく機が熟した感じでしたね。たしかに簡単にこの完成形に辿り着けたわけではないですけど、やっていくうちにだんだんとしっくりいった感じでした。僕としては"こういう曲もやれるメタル・バンドがいてもいいんじゃないか"と思ってます。

Regan:デモを最初に聴いたときは、私も"J-POPというか、普通じゃない!?"っていう印象をこの曲に対して持ってたんです。だけど、よくよく考えると自分自身もただただずっとドカーン! ってやってるバンドはつまらないと思ったし(笑)、本来ドカーン! っていうバンドがバラードとか聴かせる系の曲をやったときに見せる二面性って、やっぱりとてもセクシーだよなと思ったんですよ。

-世の中にはギャップ萌え、という言葉がありますものね。

Regan:だから、私も「tomorrow」ではその二面性に挑戦しました。でも、ほんとに難しかったですね。普通にただきれいに歌ったらKatsu君に"違う! そうじゃない!"って言われて、この曲をただのJ-POPじゃなくSAISEIGAのものにするために、"最後はお前の歌が重要なんだ"ってプレッシャーもかけられ、散々試行錯誤しながらようやくこのかたちに辿り着きました。

Katsuki:「tomorrow」で経験した苦労っていうのは、たぶんこの『NOSTALGIA』を作っていったなかでの大きなハイライトだったと思うし、当然ここで得たことはここから先にもきっと繋がっていくでしょうね。

-かくして、今作には他にも現在のライヴにおける主力選手として育ってきているという「Mirror」 や、重いバンド・サウンドと凝ったコーラス・ワークが交錯する妙味が味わえる「成敗ダ。」、圧倒的なパワーとエモーショナル感を湛えた「Genom」、そしてアルバムのラストを締めるは本作のもうひとつの顔役と位置づける「Level5」と収録されておりますが、とにかくこのアルバムには聴かせどころが凝縮されている感じですね。

Katsuki:結局いろんな面で"やりすぎる"メンバーが集まってるバンドなんで(笑)、アルバムを作るとどうしてもこういう濃い感じになっちゃうんでしょうねぇ。

-そのような今作に"NOSTALGIA"と冠した理由についても、ここで改めて解説をしていただけますと幸いです。

Katsuki:ここに入ってる何曲かは、自分が過去に作ってストックしてあった曲をもとに作ったものだというのもありますし、さっきWakkunが言っていたみたいに、自分のルーツを改めて音として表現しているところが入っていて、作り終わってみるとこのアルバムはSAISEIGAの新しいアルバムであると同時に、どこか懐かしい要素も入っているということで、"NOSTALGIA"って言葉が相応しかったんですよね。

Regan:あと、私の個人的なことで言うと去年7年ぶりに地元の札幌に帰れたんですよ。で、7年ぶりに親に会ったり街並みを見たりしたらつい感動しちゃって(照笑)。いろんな昔の記憶も甦りつつ、今回のアルバムの歌詞を書いていくときには、その札幌でのことがかなり反映されたというのもあって、アルバム・タイトルが"NOSTALGIA"となったところも多々あります。

-では、この『NOSTALGIA』をライヴの場で表現していくことになる次のツアー("SAISEIGA presents【EVOLVING PARADE】")に向けて、今みなさんはどのような空間を作っていきたいとお考えなのでしょうか。

Katsuki:これがまた、今回のツアーでは初めて福岡に行くんですよね。僕は2歳まで福岡に住んでいたので、そういう懐かしい場所にバンドで『NOSTALGIA』を持って行けるのが、まさにノスタルジアだよなぁと思って今から待ち遠しいです。

Regan:SAISEIGAのツアーって、ワンマンでも対バンでも毎回とにかく濃いんですよ。みんなと切磋琢磨しながら曲も進化させ、フロアのみんなとも曲を分かち合い、日々"今日も最高だったね!"ってメンバーと盃を交わし合えるようなツアーを重ねていきたいです。そして、また札幌に行ける("クレイジー☆フェスト札幌2days")のでそれも楽しみですね。もう7年とか8年とか空けません(笑)。

桐子:今回のツアーは私の地元の長野もそうだし、みんなの故郷にも行くんですよ。ワンマンではもちろん『NOSTALGIA』から全曲やりますし、ツアー中には各地で仲良くなったバンドさんとの主催イベントもあったりするので、ぜひみなさんに来ていただいて楽しんでもらえたら嬉しいです。

Wakkun:今度のツアーでは、やっぱり『NOSTALGIA』の中の新しい曲たちを各地で育てていきたいです。持ってる力をすべて発揮しながら、いろんな場所でたくさん"ちゅるちゅる"してきたいと思います(笑)。