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INTERVIEW

GODSMACK

2023.03.17UPDATE

2023年03月号掲載

GODSMACK

Member:Shannon Larkin(Dr)

Interviewer:菅谷 透 Translator:川原 真理子

-「Surrender」はパワフルなビートが冴え渡る楽曲です。演奏シーンやツアーでの日々を収めたMVも公開されています。

これは、前作『When Legends Rise』の共同プロデュースを手掛けた外部ライターのErik Ronと一緒に作った、このアルバムでの唯一の曲なんだ。彼は歌詞は書かなかったけど、最初のイントロとヴァースのリフを考えて、それをSullyに渡して、"こういう新しいアイディアがあるんだ。前作の感じと似ているから聴いてみてくれ"って言った。そのふたつのパートにSullyが歌詞を加えたんだけど、これまた彼が体験したばかりの失恋についてなんだよ。ここで5週間にわたって1位になったんだ。彼がスクリームすると、それが本物であること、彼には本当に休養が必要だってことがわかるよ。

-「Hell's Not Dead」は初期のサウンドを彷彿とさせるヘヴィでダークなナンバーです。

この曲を作っていたとき、AC/DCの「Hells Bells」みたいだって思ったんだ。とっても気に入ったよ。ヴァースは、MOTÖRHEADの「Killed By Death」を彷彿させた。だからこの曲のワーキング・タイトルは、"Hell Motörhead"とかだったよ。Sullyが書いた歌詞には、"Hell's not dead/It's what I'm livin' in"とあったから、"Hell's Not Dead"になったんだ。

-ブルージーな「Let's Go」では長尺のギター・ソロも設けられており、バンドのルーツへのリスペクトも感じられる楽曲になっています。この曲についても詳しくうかがえますか?

この曲を書いていたとき、あのリード・セクションを長くして昔ながらのロックンロール/ヘヴィ・ロックにしたのさ。グランジ以前、90年代以前にリード・ギターが人々の興味をそそっていたころにやっていたことだ。長いジャム・セッションがあったんだよ。これをここに入れたのは、ミュージシャンの腕前に対する俺たちの愛が出たってことさ。単にラジオ向けにエディットしているんじゃないってこと。これはヒットを狙って作ったんじゃなくて、このバンドの本質を表している曲だ。俺もそうだけど、Sullyは曲順にこだわっている。今どきの音楽、特にこっちのポップはステレオタイプなものが多い。3分半から4分しかなくて、形式が決まっている。SpotifyやiTunesやYouTubeを観て、その週にどんな曲がたくさん再生されているのか、どういったキーやテンポの曲なのか、といったことをチェックして、それと同じような曲を書いてシングルにする。俺たちはオールド・スクールだからただひたすら曲を書いて、10曲あったら、リスナーを45分間の旅にいざなえるような曲順にするんだ。その旅では様々なエナジーを感じてもらいたいし、山あり谷ありにしたい。「You And I」を最初に持ってきたのは当然のことだった。エナジーの瞬間があって、それからひと息つかせて緩急をつけて、最後の「Lighting Up The Sky」でガツンとエンディングを迎える。「Let's Go」は、商業的でないゴキゲンなジャム・ロック曲を入れたかったからやったんだ。

-先ほどお話のあった「Best Of Times」では、バンドを支えてくれたメンバーへの感謝が綴られています。この曲のバックグラウンドについても詳しくうかがえますか?

さっきも言ったように、これはSullyからTony、Robbieそして俺への手紙なんだ。俺たちのアルバムを何枚かプロデュースしたDave Fortmanがこの曲をミックスしたんだよ。その彼が、"シンガーがバンドのメンバーに手紙を書いて、これまでのクレイジーな年月に対して感謝した曲なんて初めて聴いたよ"と言っていたけど、まさにそうなんだ。これまた、ユニークだな。ここでも曲順が肝心で、Sullyはミドル・テンポでトランスっぽい反復性のグルーヴが欲しかったんだ。Tonyと俺は数年前にこの曲の音楽を書き始めていて、もう少しで完成するところでSullyが曲順を考え始めた。でも、完成していた曲の中には彼が必要とするものがなかったから、俺たちが持っていたこの曲を彼に聴かせたところ、彼が持っていたヴォーカルのアイディアとうまく合わさったんだ。その日の夜彼とMudrockはスタジオに行ってレコーディングした。翌日、彼はプリント・アウトした「Best Of Times」の歌詞を俺たちに配って、曲を聴かせてくれたよ。あれは感動的な瞬間だったな。ドラマーの俺は、思わず涙を流してしまった。この男は、これまでの俺たちの犠牲に感謝していたんだ。だからこれはスペシャルな曲なんだよ。

-本アルバム、そしてGODSMACKのカタログを締めくくる「Lighting Up The Sky」は、エモーショナルなメロディが胸を打つナンバーで、ラストに相応しい楽曲です。この曲についても詳しくうかがえますか?

あの曲にまつわるクールなエピソードを教えてあげよう。これまたSully Ernaによる天才的なアイディアなんだ。イントロがフェードインしたあとに聴こえてくるあのビッグなリフは、このアルバムの最後のリフでもあるんだけど、実は1stアルバムの最初の曲(「Moon Baby」)のリフなんだよ。

-そうだと思いました。見事ですね。

最初と最後が同じなんだよ。ブック・エンドをつけたというわけだ。

-楽曲が一巡して始めに戻ったわけですね。

そうなんだ!

-この楽曲「Lighting Up The Sky」からアルバム・タイトルを命名した経緯についてもうかがえますか?

4人がスタジオにいたときのことだ。Mudrockもいたと思う。曲名をワーキング・タイトルから、本物のタイトルに置き換えていたんだ。Sullyが歌詞を書き終えると、"そうか、これは「Lighting Up The Sky」なのか!"って感じだった。俺たちはまずそこから始めるんだけど、「Lighting Up The Sky」で彼が書いた歌詞が、このバンドにおける彼の人生の旅とプライベートの人生の旅がミックスしたものだったから、突然俺たちの音楽が俺たちに何をもたらしたかについての曲であるように思えたんだ。音楽を通じて俺たちのエナジーが空を照らしてくれたような気がしたんだよ。あとあのタイトルのクールなところはこうだ。これはSullyのバンドで、彼がこのバンドを選んだ。これは彼のヴィジョンで、彼がリーダーで、メイン・ソングライターなんだよ。これまで何度も言ったけど、彼は天才だ。アートワークもずっと彼が手掛けてきた。俺はアートが大好きだし、作詞家でもあるから、GODSMACKに加入するにあたって犠牲にしないといけなかったのがこのふたつだった。俺が加入したとき、バンドはすでに大成功を収めていたから、俺にとっては一大ブレイクだった。このバンドに入った以上、歌詞を書くのはすべて彼だから、俺の出る幕はなかったんだ。それは俺にも理解できた。彼の心の内を歌詞にして吐き出さないといけなかったんだから。アートワークも彼が手掛けてきたからまたしても俺の出る幕はなかった。彼は、バンドのあらゆる面を仕切っている。ツアー前の今だって、彼がライティングのプログラミングを行っている。彼の指はありとあらゆる細かいところにまで行き届いているんだ。そして、今回のアルバム・タイトルに"Lighting Up The Sky"はどうだと彼が言ったところ、全員が"最高だ!"と思ったんだよ。彼にアートワークのアイディアがあって、それに取り組みだした次の日の夜、俺はNFLのアメフトの試合を観ていたんだ。そしてCMが流れると、そこには宇宙から見た地球が映っていて、大都市の街の灯が見えていた。俺はそこで突然、あのアートワークの地球の写真とGODSMACKのロゴがあって、太陽が地球を照らしている様子が、コンサートでファンがライターを掲げている光景と重なったんだ。それですぐにSullyに連絡して、"おい! 今観たCMからアイディアを思いついたんだ!"と言ったら、彼もそれをとっても気に入ってくれた。そして、それまであったアートワークのアイディアをすべてボツにして、このデザインで行くことにしたんだ。嬉しかったよ。アートワークに関わることができて、"太陽はもっとデカくするべきだ"みたいな細かい意見もすることができたからね。最後のアルバムでアーティスティックな影響を与えることができたんだ。

-今作リリース後もライヴ活動は続けられるとのことですが、今後バンドが日本でライヴを行う可能性はあるのでしょうか?

俺たちは呼ばれなくなったんだ。俺たちが日本に行くのをいやになったわけじゃない。似たようなジャンルの日本のバンドに専念したかったのかな。俺たちはそう言われたんだ。金がないから、オファーできないって。ところで、俺たちはどの外国に行っても金儲けなんかできない。金儲けができるのはここアメリカだけだ。だから、問題は金ですらないんだよ。日本に行ったときは、たった2,000人の前でしかやれなかった。日本に行けないのは俺たちだけじゃなくて、DISTURBEDといった同世代の仲間も行けないって聞いた。日本には日本のバンドがいるからって。それが本当かどうかはわからないけど、俺たちはそう言われたんだ。

-それはわかりませんが、少なくとも日本にGODSMACKのファンがいることは確かです。

君たちの国は美しい。アルバムもこれで最後だから、俺はこれから普通の人たちと同じように休暇にだって出かけられる。俺の最初の休暇は君たちの国になる。リアルに観光客になってやるよ。俺には24歳になる娘がいるんだけど、ちょうどフロリダの大学で修士課程を終えたばかりなんだ。娘は日本にすごく行きたがっているから、娘へのプレゼントは父親と一緒に日本に1週間滞在することになる。だから日本に行って観光客になって、うまいものを食って、君たちの国をまた体験するよ。俺としては、プレイしなくていいのは素敵なことだ。バンドで仕事として行くのとは違って、大騒ぎにならないで済むんだから。

-そうだったんですね! ぜひ日本での旅を楽しんでください。最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。

日本のファンのみんな、そっちに行けることを願っているよ。どのみち、俺は行くけどね! でも、また絶対にそっちでプレイすることになると思うよ。日本では素晴らしい時を過ごしたし、世界中を回った俺が体験した最も美しい文化を持つ国だから。