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INTERVIEW

9DayzGlitchClubTokyo

2022.08.31UPDATE

2022年08月号掲載

9DayzGlitchClubTokyo

2020年12月に始動したオルタナティヴ・エレクトロニカ・アイドル、9DayzGlitchClubTokyo。EDM、ダブステップ、ドラムンベース、ガバ、スカ、ヒップホップなどを咀嚼した、アッパーでドラッギーなエレクトロ・サウンドで注目を集めている3人組が、このたび1stミニ・アルバム『Drug Cocktail Collection』を完成させた。本作は、トータル・プロデューサー/クリエイターのクマ(I hate your rules./ひととなり/ex-リムキャット)が手掛けた中毒性全開の全6曲を収録。現在の9Dayz(9DayzGlitchClubTokyo)のモードであり、その決意が滾る1枚となっている。メンバーのミル・サトウ、ウドンチャン、いしがき しのぶ。と、同席していたクマを含めた4人に、グループについてじっくりと話を訊いた。

メンバー:ミル・サトウ ウドンチャン いしがき しのぶ。
トータル・プロデューサー/クリエイター:クマ(I hate your rules./ひととなり/ex-リムキャット)
インタビュアー:山口 哲生


1曲目から脳がシビれてやられちゃったんです


-オフィシャルTwitterを拝見していたら、9DayzGlitchClubTokyoは、サトウさんが"なんつーか、アイドルやりてぇんだなぁ"と言ったことをきっかけにスタートしたとのことだったんですけど。

サトウ:そうですね(笑)。自分はもともとアイドルをしていたんですけど、そのときプロデューサーをしていたのがクマさんで。そのグループが解散してしまったあと、他のところでやることも考えたんですけど、やっぱりクマさんの曲でもう1回やってみたいと思って、"アイドルやりてぇんだなぁ"でした。

-2020年12月に始動して、ウドンチャンといしがきさんが加入されたのが、2021年の4月。

ウドン:私は、9Dayzのオリジナル・メンバーだった子と友達で、デビュー・ライヴを観に行かせてもらったんですけど、1曲目から脳がシビれてやられちゃったんですよ。それまでアイドルさんのライヴを観たことがなかったんですけど、こんなグループいるんだ!? と思って。そのちょっとあとぐらいに、"どう?"って誘われて入りました。

しのぶ。:私はオリジナル・メンバーさんと絡みがあったわけではないんですけど、もともとウドンと友達で。9Dayzの活動をする前は、バンドでベースをやっていたんですけど、解散してから結構経っていて。ウドンとは"何かしらやってみない?"っていう話をしていたんですけど、そうしていたときにウドンが9Dayzに誘われたんです。それで私にも"こういう話があるんだけど、一緒にどう?"みたいな。だから、私としてはそこに乗っかった感じにはなりますね。クマさんとお会いして、正直アイドルは初めてやるのでよくわかっていなかったんですけど、よろしくお願いしますっていう感じでした。

-そのあとにメンバーの方の卒業があり、2021年8月に今の3人体制になったと。

クマ:少し補足しますと、もともと9Dayzは、オリジナル・メンバーの子が2021年の3月に卒業することが決まっている状態で始まったので、すぐにメンバーを探さなきゃいけなかったんです。そのときに、オリジナル・メンバーの子が、私の友達にかわいい子がいて、始動ライヴも観に来てくれて、曲もすごく良かったと言ってくれていると。それがウドンチャンで。すぐに加入が決まったんですけど、まだSNSとかに書き込んだり、周りの人たちには言わないでね? っていう話をしたら、今一緒に住んでいて、何か一緒にやろうと思っている子がいるんだけど、その子にだけは先に報告したいと言われて。じゃあその子も入っちゃえば? っていうので連れてきたのがしのぶ。でした。

-なるほど。いしがきさんはバンド経験があったそうですが、おふたりは?

サトウ:私は楽器とかは特にやっていないんですけど、アイドルはこれで3グループ目ですね。

ウドン:私はまったくやったことなかったです。

-こういう活動をしてみたいと思ったのは、歌うのが好きだったとか?

ウドン:歌うのは......。

しのぶ。:いや、好きでしょ(笑)。

ウドン:そうだね(笑)。

-人前で何かをするのが好きだったとか?

ウドン:そういうのはちょっと苦手だったかもしれないです。カラオケとかに行っても、顔を見ないで! みたいなタイプだったので(笑)。

-あぁ(笑)。歌っているときの顔を見られなくないという。

ウドン:たぶん変な顔をしちゃうんですよ。こういう活動をするのは初めてなので緊張するし、わからないことがほとんどなので、楽屋の使い方とか、挨拶とか、ひとつひとつのことをやりながら学んでいる感じですね。

-いしがきさんとしては、初めてアイドルという活動をしてみて、驚きはありました?

しのぶ。:すごくありました。もう何から何まで驚きで。一番最初にびっくりしたのは、ライヴのタイムテーブルが出ること。これって出していいんだ!? っていう。あと、転換時間が短いんですよね。バンドのときは、楽器のこともあるから15分ぐらいありましたけど、今は長くても5分ぐらいとか、0分のときもあるし。

-前のグループの余韻を引きずったまま出なきゃいけないっていう。

しのぶ。:はい。今までの感覚で4月のデビュー・ライヴに出たときに、そんなすぐ!? って驚きましたね。あと、ステージって意外と広いんだなって思いました。バンドのときに出たことのあるライヴハウスに、9Dayzで出ることもたまにあって。バンドのときはドラム・セットやアンプがあったけど、何もない状態だとこのステージってこんなに広いんだ? って。

-意外と奥行きありますよね。サトウさんは始動から現体制に至るまで、いろんなことを感じてきたと思うんですが。

サトウ:始まったときは"やるぞ!"って感じはもちろんあって。まだこういう感じのアイドルが少なかったので、どうやってライヴをしていったらいいのか、すごく考えながらやっていた感じはありましたね。今は9Dayzの曲をすごく気に入ってくれる方が当時より増えてきているので、すごくやり甲斐があります。

-やはり"曲がかっこいいですね"って言われることがすごく多いですか。

サトウ:そうですね。ライヴをするたびに必ず言われます。

-お三方は、ぱっと見た感じはだいぶタイプが違いますけど、性格とかも結構バラバラだったりするんですか?

メンバー一同:どうだろう......。

-相手の発言や行動に驚くこともあります?

ウドン:それはありますね。しのぶ。がよくわからないことを急に言い始めて、なにそれ? とか。

しのぶ。:えっ?

ウドン:いきなり急に意味がわからない言葉とか言ってるよ?

しのぶ。:それはウドンの語彙力の問題じゃなくて?

ウドン:違う違う違う(笑)!

クマ:客観的に見るとバラバラかなと思いますね。

-プロデューサーとして、3人をどう見ています?

クマ:音楽をマジメにやるとか、グループに対して真剣なところは全員同じ方向を向いていて、そこはブレていないんですけど。個々のメンタルで言うと、女の子女の子しているのはサトウとしのぶ。で、一歩引いてわりと冷静に見ているのがウドンですね。あと、サトウは自分にすごく厳しいタイプなので、あんまり愚痴とか言わないんですよ。言わない代わりにひとりで塞ぎ込んだり、悩んだりしちゃうタイプ。しのぶ。も考えてはいると思うんですけど、すごくマイペースだから、悪い意味ではなくて、独り言がすごく多いんですよ。

サトウ&ウドン:ははははははは(笑)!

しのぶ。:結局そこかー(笑)!

クマ:今絶対にしゃべっちゃいけないようなときにボソっと言って、ひとりで解決したりとか。それを悪と思っていないので、反射的に言っちゃうんだと思います。

しのぶ。:たしかに独り言は本当に多いですね(苦笑)。

クマ:ウドンチャンはそういう突拍子もないことはしないんだけど、サトウとちょっと似てますね。真面目なので、嫌なことがあってもひとりで抱えて、周りに出さないようにするっていう。それはいいことでもあるけど、こっちからしたら心配だなと思うこともあったり。だから、それぞれちょっとずつ違いはありますね。でも、特別男っぽい子がいるわけでもないです。

-そうなんですね。といったプロデューサーの分析をどう受け止めます?

ウドン:すごい(笑)。

サトウ:やっぱり一緒にいる時間が長いから、すごいなぁと思いましたね。なんかちょっと嬉しい(笑)。

ウドン:ヘラヘラしてる(笑)。

-サトウさん的には抱えてしまうことが多いと。

サトウ:そうですね。やっぱり自分のことは自分で解決しなきゃって思っちゃうタイプなので。それこそ愚痴らないというのも、それを言うことで迷惑かけちゃうんじゃないかなと思っちゃうので、自分でやろうっていう感じになりますね。

クマ:そこは偉いんですよ。偉いんですけど、それが悪い方向に行ってしまうと怖いから、フラットに話せる距離感でいるのは心掛けてます。グループによっては、運営とアイドルさんの間に壁があったりすることもありますけど、ウチはそれをできるだけなくそうと。ただ、メンバーがいい子たちすぎて、自分たちで解決しようとするので。だから、みんなすごくマジメなんですよ。激ロックさんに載っている他のアイドルさんのインタビューとかも読んでいるんですけど、みなさんすごくアッパーというか、前のめりな方々が答えられていて、"ヤバい。うちの子たち、今度インタビューしてもらうけど、こんなことたぶん言えねぇな!"ってすごく不安で(笑)。

メンバー一同:はははははははははは(笑)!

-プロデューサーとしては、もっと頼ってきてほしいなという気持ちもあると。

クマ:そうですね。僕もバンドで言うところのメンバーぐらいの気持ちでいるので、もっとわがままに意見を言ってくれていいと思っているし、それに対して商業的に見たときや、アーティスト的に見たときの意見を4人で言い合って、一番いい形が出るのが正解だと思っているので。だから、僕のわがままやメンバーのわがままで動くグループではなく、9DayzGlitchClubTokyoというグループをいかにかっこよく見せられるかっていうのを考えてますね。みんなで決めて、一番いいものを選べたらいいなと。

-そうやってみなさんで話していくにあたって、グループ内でのルールみたいなものってあったりします? ポリシーみたいなものというか。

クマ:よそのアイドルさんがやられているいろんな戦略を見ていて、それはそれで誰かが幸せになっているし、全然いいと思うんですけど、自分たちはこれはしたくないなっていうのはありますね。例えば、駅前でビラ配りしたり。

サトウ:あぁ。

ウドン:たしかにやってないね。

クマ:あれは音楽で勝負していないのがちょっと気になるんですよ。僕らはアイドルとはいえ、やっぱりまずは音楽だと思っているので。ビラ配りってヴィジュアルの話になるじゃないですか。そこから音楽に入ってもらうこともすごく素敵なことだし、インタビューもそういうものだと思うんですけど、もっと近い距離に音楽があったほうがいいと思うし、ライヴ活動で音楽そのものを見せたほうがいいんじゃないかなと思ったりとか。

-9Dayzの楽曲は、過激な部分はあるけれども、めちゃくちゃにやって目立てばいいと思っているわけではないと。

クマ:そうですね。僕らは自分たちが作っている音楽を、メンバーを信じて、それがかっこいいんだというのを提示したいだけで、それを提示するためであればなんでもしてやろうっていうのはちょっと違うんですよ。そこは共通認識で持っていてくれると思います。さっきから僕ばっかりしゃべっていて申し訳ないんですけど(苦笑)。

-いえいえ。ありがとうございます。クマさんの発言もあったほうがグループのことがよくわかると思いますので、ぜひお願いしたいです。それこそサトウさんは、クマさんが作る楽曲が良かったから、また一緒にやりたいと思ったわけですし。

サトウ:クマさんの曲だったら絶対に売れると思ったんですよ。音楽は勝ち負けじゃないけど、絶対に負けないなと思ったので。

ウドン:めちゃくちゃわかる。

サトウ:だからこそ、前のグループが解散したときは本当にもったいないと思って。これで逃しちゃうのも、私的にはやっぱりつらいというか。

クマ:前のグループのときは、プロデューサーが僕ともうひとりいたので、片方が優しく、もう片方が厳しくする形でやろうというのを大人たちの間で決めていて、僕は厳しくしていたんです。だから、メンバーからは確実に嫌われていたし、実際にそれが厳しすぎて解散したようなものだったんですけど。そのなかでもサトウは、それでもやりたいと。たぶん、僕のやり方とか、人として僕のことはそんなに好きじゃなかったと思うんですよ(笑)。

メンバー一同:はははははは(笑)。

クマ:それでも僕が作る音楽を信じてくれて。それがすごく嬉しかったんです。サトウにとって音楽がそれだけ大きなものだったっていうことだから。

サトウ:うん。人がどうとかそんなの関係ないなと思って。

クマ:プロデューサーとしては、それに応えなきゃっていう強い使命を持てるし、ウドンチャンもさっき言っていたけど、曲が好きで入ることを決めてくれて。しのぶ。は流れで入ったみたいなところがありましたけど。

しのぶ。:ははははは(笑)。

クマ:だとしても、やっぱりしょうもないグループだったら入らないと思うし。バンドをやっていたぶん、アイドルは歌っているだけでつまんねぇなって思った可能性もあると思うけど、そうならなかったのはメンバー間の信頼関係もあるし、プラス曲もそこそこいいと思ってくれたからなのかなって。

-あくまでも音楽が軸にあるグループであると。

ウドン:人生の中で"この人の作る曲、天才だ!"みたいに思った回数ってそんなにないんですけど、そう思ったんですよ、9Dayzを初めて聴いたときに。だからミル・サトウも言っていたように、私も絶対に売れると思ったし、ついていって間違いないなと思ってます。

-いしがきさんは、今のウドンチャンの話を頷きながら聞いてましたけど。

しのぶ。:ふふふふふ(笑)。そうですね。アイドル業界の中で、音楽的にここまで攻めているのはそんなにいないんじゃないかなって思ってます。あと、私個人の気持ちとして、私はそこまでエレクトロをしっかり聴いてきたわけではないんですよ。バンド・サウンドばっかり聴いていたので。でも、今はこれまで知らなかった新しい音楽を知ることができているし、クマさんから送られてきたデモの中に、これ知らなかった! っていうものが1個は絶対にあるんです。だから、一緒にいると勉強ができて楽しいっていうのもありますね。ついていったら勝てると思っているし、私個人としても勉強ができて楽しいし、いいことしかないじゃん! っていう。

-エレクトロはそこまでとのことでしたけど、どんな音楽が好きだったんです?

しのぶ。:もともとはポップ・パンクが好きだったんです。シンプル・イズ・ベストみたいな音楽がずっと好きで。J-POPだと嵐さんとかを聴いていたので、言ってしまえば万人受けの音楽が好きではあったんですけど、9Dayzに入ってから、新しいジャンルとか、新しい歌い方とか、まとめると、新しい風としてそれを受けられるっていうのはすごく楽しいです。

-サトウさんはどんな音楽が好きだったんですか?

サトウ:自分はヴィジュアル系をよく聴いてました。R指定とか、DOG inTheパラレルワールドオーケストラとか、ペンタゴンとか、NIGHTMAREとか。あと、私も嵐さんとかジャニーズ系も結構聴いていたし、アイドルさんだと、ぜんぶ君のせいだ。とか、でんぱ組.inc、あとはWACK全般は聴いてました。

-攻撃的な音楽が比較的好きなんでしょうか。

サトウ:そうですね(笑)。発散じゃないけど、そういう感じで聴いていたので。

-ウドンチャンはどんな音楽が好きでした?

ウドン:私はクラブ・ミュージックとかヒップホップとかが好きでした。でも、ただ流して、聴いていて気持ちいいなっていう感じでしたね。

-このアーティストが好きという感じで聴くというよりは。

ウドン:そうです。クマさんが車で流していたSKRILLEX とか好きでしたね。

-SKRILLEXが好きなのであれば、9Dayzのサウンドは大好物ですよね。

ウドン:そうですね(笑)。踊れたり、激しかったり、次の展開こう来るのね! ありがたい! みたいな。最近はクマさんが流している曲で、かっこいいなと思ったものを調べたりしてます。

クマ:3人共通して聴いているのは嵐なんですよ。しかもちょっと好きとかいうレベルじゃなくて、B面曲ばっかりのイントロ・クイズができるぐらい、ものすごく好きみたいで。

-それやってるとこ見てみたいです(笑)。誰が一番知識あるのか。

クマ:客観的に見ていて、一番詳しかったのはサトウでした。しのぶ。が一番好き感を出すんですけど、答えられない曲があったので。それをサトウは答えていたから、一応勝ちかな。

サトウ:私はCDもDVDも買ってるんで。ライヴには行ったことないんですけど。

しのぶ。:私ライヴ行ったことある! 東京ドームと札幌ドーム!

サトウ:私はシングルも持ってる!

クマ:そこでマウント取り合わなくていいから(笑)。