MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

9DayzGlitchClubTokyo

2022.08.31UPDATE

2022年08月号掲載

9DayzGlitchClubTokyo

-はははは(笑)。ここからは9月7日にリリースされる1stミニ・アルバム『Drug Cocktail Collection』についてお聞きしていきます。まず、クマさんはプロデューサーとして、今回の1枚はどういうものにしようと考えていましたか?

クマ:この音源で勝負をしたいっていう気持ちはありましたね。最初にウドンが聴いてくれた始動当時は、わりといろんなジャンルをやっていたんです。そこから3人体制になって、ラップっぽい曲が評価されたりし始めたから、お客さんに寄せるわけではないんですけど、求められるものに応えたい気持ちも出てきて。ただ、やるなら半端なことはしたくないし、9DayzGlitchClubTokyoの音楽とはなんぞやというのを考えながら、メンバーといろいろ話をしながら作っていきました。ウチのメンバーはみんな喫煙者なんで、タバコ吸いながら、こういうのどう? とか。そうやって決めていくなかで、なんにしろ尖った曲をやりたいと。特にリード曲の「Drug Cocktail」にはそれが出ています。ラップも入れたいし、フレンチコアなんだけど、サビはキレイな歌メロを入れたいとか。

-たしかに全部盛りみたいな感じありますね。メロディもあるし、ラップもあるし、シャウトもあるし。

クマ:シャウトを入れられたらいいねっていう話は結構前から出てたんですよ。でも、全員できなかったんですよね。サトウがそういうジャンルを通ってきているから、いけるんじゃないかなと思ったんですけど。

サトウ:難しかったです。

クマ:でも、サトウは声がキレイだからサビを任せて、ウドンとしのぶ。がシャウトしたらかっこいいよねって。それでちょっとやってみてもらって、最初は難しいかもと思ったんですけど、レコーディング当日にテンションでやってみたら意外とできたっていう。

しのぶ。:アドレナリンが出た(笑)。

ウドン:うん(笑)。

-あと、口笛も入ってますよね。

サトウ:あれは私です(笑)。初めてやりました。

クマ:なんか、酔っているときの帰りとか、よく口笛吹いたりしてるんですよ。

サトウ:なんか楽しくなっちゃって(笑)。

クマ:それが意外とうまかったんです。口笛でこんなに音程取れるんだ? と思って。それを生かしたかったんですよね。そういったプライベートな部分に意外とヒントがあるかもしれないです。

-ウドンチャンはシャウトに挑戦してみていかがでした?

ウドン:レコーディングのあと、しばらく声が出なくなるのかなと思っていたんですけど、意外と次の日も普通にしゃべれていたから、大丈夫なんだ? って思いました。レコーディングしているときの顔は、クマさんから見えないようにしてたんですけど、すごいヤバい顔してるだろうなって思いました。

-やっぱり歌っているときの顔は気になるんですね(笑)。

ウドン:気になります(笑)。シャウトとなるとさらに。鬼の形相になってると思うから。

しのぶ。:はははははは(笑)。

-いしがきさんはいかがでした? シャウトに挑戦してみて。

しのぶ。:自分が見ていたバンドの中で、シャウトをしていたバンドもいるんですけど、シャウトが入っていない曲のほうが好きだったんですよ(笑)。だから、あんまり聴いていなかったので、やるのが決まってから実際にいろいろ聴いてみたんですけど、これ出んの......? ってずっと思っていて。私はライヴのあとにレコーディングさせてもらったんですけど、ライヴのテンション感も残っている状態、プラス普段夜型なので、完全にテンションが上がっていたし、クマさんがいい空気感を作ってくれて、うまくいけました。ライヴは基本的にテンションが上がっているからいけると思うし、ちゃんとした出し方をもっと勉強すれば安定するかなって。

-武器が増えそうですね。

しのぶ。:そうですね。ウドンも言ってたけど、私も次の日に意外と声が出てたから、これいけるな! っていう感じでしたね。楽しかったです。

-サトウさんはシャウトではなく、サビをがっちりと歌おうと。

サトウ:そうですね。シャウトも聴くぶんにはどうすればいいか想像できるんですけど、いざやってみると同じようにならないなっていう難しさがやっぱりありました。私はアドレナリンが出なかった。

-たぶん違うところで出てますよ。

サトウ:口笛ですかね(笑)。

-(笑)あと、ラップが前作(2021年リリースの1stアルバム『アザミ眠るシャハル』)よりも向上している印象もあったんですが。

サトウ:そこはメンバーそれぞれの独学みたいな感じだと思います。

クマ:そうだね。前作との大きな違いは、自分のキャラクターや良さをそれぞれが理解しだしたことだと思うんです。しのぶ。はもともと地声がかわいいので、それを生かした感じが良かったり、ウドンは見た目と反してクールな声が出せるので、もっと低くいこうとか。で、サトウはもともと太めの声だから、3人の声がバラバラなんですよ。それぞれが自分の声や個性を生かしてラップしてくれたことが、自ずといい方向に広がっていったんでしょうね。

-たしかに個性の出し方が見えてきたというのはすごく大きいですね。

サトウ:前作のアルバム『アザミ眠るシャハル』のレコーディングのときは、まだみんな経験が浅かったんです。そこから月の半分ぐらいライヴをさせてもらって、音楽に浸かっている生活だから、やっぱりすごく良くなったなと思います。

クマ:あと、今回のレコーディングは、メンバーの出す感情を重視していたところがあって。そもそも"Drug Cocktail Collection"というアルバム・タイトル自体が、"感情"という意味なんです。"Drug"というのが自分の感情で、"Cocktail"は混ぜてぐちゃぐちゃになったもの。自分の感情ってキレイなものだけじゃないし、あえてその感情を毒と言いますけど、そうやって混ぜ合わせた毒は、自分でしか味わえないし、自分の味でしかない、本当にオリジナルなものなので。だからこそ、自分の個性を生かした声を出してもらいたかったし、キレイな部分も汚い部分も出すというところで、シャウトや狂ったような表現をしています。そういったところを表現するためにも、レコーディングでは音程やリズム感の良さよりも、感情がこもっているかどうかだけにジャッジを置いていました。

-感情という点で言うと、ラスト・ナンバーの「Night sabao」にはそういった部分が強く表れていますよね。エモ・ラップ的な雰囲気もありますけど、この曲はどういったところから生まれてきたんですか?

クマ:この曲は、ウドンの生誕イベント([9DayzGlitchClubTokyo ウドンチャン生誕祭 "春のウドンフェア-もしかして本名サイトウ?-"])が5月にあったんですけど、誕生日前日がライヴだったので、誕生日を迎える瞬間がライヴ帰りの電車になってしまうと。それはちょっと微妙だねっていう話になったので、4人でご飯を食べに行ったんですよ。そこで日付を超えて、誕生日おめでとうみたいな。そのあとに4人でウドンの家に行ったんですけど、コンビニに寄ったらシャボン玉が売ってて(笑)。

メンバー一同:(笑)

クマ:懐かしいなと思って、なんとなくそれを買って、ウドンの家にベランダがあるんで、酔っ払ってタバコ吸いながらみんなでシャボン玉をしたら、ちょっと気持ち良かったんですよね。5月だし、気候も良かったんで。

ウドン:キレイだった。

しのぶ。:そうそう(笑)。

クマ:そのときがすごく楽しかったんですよ。僕からしたらメンバーがいて、それぞれが楽しんでいて、ワーっとしているのが、すごく素敵な空間だなと思って。でも、これっていつか終わっちゃうんですよね。10年後も僕らは一緒にやっているかと言ったら、たぶんやっていないと思うんですよ。そういった限りのある世界なんだけど、これをずっと続けたいなと思ったんです、その光景を見ながら。そのときのことを曲にしました。すごく儚いんだけど、このことを曲にすれば一生残るじゃないですか。僕らがいなくなろうが、何があろうが。

ウドン:泣いちゃうかもしんない......。

クマ:それもあって、ウドンが歌っている"10年とは言わないからあと5年はこのままで"という。もしかしたら5年後もどうなっているかはわからないけど、それを願うことぐらいしてもいいでしょ? っていう。それぞれいろんな失敗を重ねてあの日に辿り着いたけど、あの歌を歌っている間だけは自分たちの夢は続いていくし、そういう覚悟を決められる曲があるといいなと思っていたので。たぶん、みんなはそのとき何も考えずにタバコ吸いながらシャボン玉を飛ばしていたと思うんですけど(笑)。

-お三方としては、このリリックを見たときにどんな感情になりました?

サトウ:ヤバかったですね。ウドンは泣いたんでしょ?

ウドン:うん。今もちょっと......。

しのぶ。:ははははははははは(笑)。

ウドン:歌詞がひと言ひと言、全部くる。

クマ:この曲を送ったのって梅雨休み中だっけ?

メンバー一同:そうです。

クマ:僕ら、6月に梅雨休みっていう長めの休暇を取ったんですよ。1回グループから離れて落ち着いたほうが、グループの大事さがわかるんじゃないかと思って。みんなそれぞれ地方にいたんですけど、そのときに僕が仮歌を入れたデモを送ったんです。

-そのシチュエーションもかなりきますね。いしがきさんは聴いたときにどう思いました?

しのぶ。:最初に聴いたときに、自分がまず歌うことを考えちゃったんです。歌詞を読んだときに、いい歌詞だなとは思ったんですけど、ヒップホップをあまり聴いてこなかったのもあって、まずはこれを歌えるようにならなきゃっていうのを最優先してしまって。そこからレコーディングして、3人の声になったものを聴いたときに、初めてちゃんと噛み締めて聴いたんです。そのときが、一番感情がすごかったですね。ひと言で言ってしまうとエモいになっちゃうんですけど、でも、私も一番最初のタイミングでちゃんと噛み締めたかったなー! って。

-はははは(笑)。

しのぶ。:けど、これはクマさんが書いた曲を3人で歌っているから完成する曲だなって思いました。この曲のサビに、クマさんの声も入ってるんですよ。私たちは5月にサーキット・イベント([9DayzGlitchClubTokyo Presents. 下北沢サーキットイベント "GlitchClubParty"])をやったんですけど、最後のMCで"ステージに立っている3人だけじゃなくて、クマさんを含めた4人で9Dayzだと思っている"っていう話をさせてもらったことがあって。その言葉が形になっている曲なんですよね。だからちょっと嬉しくて。

クマ:そのMCは僕が言わせたわけではないですからね?

しのぶ。:勝手に言いました(笑)。

クマ:僕としてはもちろん同じ気持ちなんですけど、あくまでも主役は3人で、僕がお客さんの前でしゃしゃるのは違うなと思っているので。たぶん、メンバーと相談してその話をしてくれたと思うんですけど、やっぱりすごく嬉しかったですね。

-サトウさんもエモくなってしまいました?

サトウ:なりましたね。梅雨休みのときは地元に帰っていたんですよ。親とか友達とかと会って、いったん9Dayzのことを忘れようと思って。そのときに送られてきたデモを聴いたら、なんか複雑になっちゃったというか。やっぱり私はミル・サトウだ! と思ったんですよね。で、実家の玄関でひとりでボロボロ泣いて(笑)。

ウドン:そうなんだ(笑)!?

サトウ:なんか静かなんですよね、実家の玄関って。「Night sabao」に出てくる"0 1 5 6"っていうのは、1曲目の「The AtonemenT」にも出てくるんですけど、あの数字はメンバーそれぞれが加入した順番なんです。クマさんが0番で、私が1番、2~4番はもうやめてしまったメンバーで、(ウドンが)5番、(しのぶ。が)6番っていう。で、この4人でもう一度始めようっていうのが「The AtonemenT」で、「Night sabao」は自分たちは終わらないっていう曲なんですけど、その"0 1 5 6"は私が歌っているので、背負ったぞ! みたいな。そういう決意表明を私が代表して言えるのが嬉しくて。

クマ:この中ではサトウがリーダーなんですよ。特に仕事があるわけではないんですけど、僕とサトウがいることで始まったグループだから、そういう決意的な部分は、サトウに歌割をするようにしてますね。それぞれのキャラクターがあるけど、そこはサトウが締めるべきだなと思っているので。

サトウ:重大な使命だなと思ってます。

クマ:でもそういうの好きでしょ?

サトウ:好きです(笑)。

ウドン&しのぶ。:ははははははは(笑)。

クマ:そういうところをちゃんと汲み取ってくれる子なので。そうじゃなかったら振らないですから。

-ウドンチャン、涙は落ち着きました?

ウドン:はい(笑)。「Night sabao」の歌詞で、しのぶ。のパートに"積み重ねた過去がここに連れてきた"というのと、ミル・サトウのパートに"ただその過ぎ去った傷だらけのDramaが/ひとつでもかけたらここに僕はいないんだ"というのがあるんですけど。4人それぞれの人生が今まであって、歌詞の通り、もし選択をどこかでミスっていたら、この4人で出会えていないし、そういうことまでいろいろ考え出しちゃうと、なんかきちゃうんですよね(苦笑)。やっぱり忘れたい過去とかもあるんだけど、嫌なことがあったおかげで今があるんだなって。

サトウ:この曲は自分たちの話からできてはいるんですけど、この曲を聴いた人も、きっとそうなのかもしれないなと思ってもらえたらいいなと考えていて。自分も今つらい境遇にいるけど、この先明るい何かが待っているんだと思ってもらえたらいいなって。

-素敵な曲になりましたね。最後になりますが、これからどんな存在になっていきたいですか?

ウドン:やっぱり絶対に売れたい!

しのぶ。:うん。売れたい。

ウドン:今の時点でも、いろんな方から"9Dayz、いいね"と言ってもらえているけど、それをもっと大きくしていきたいです。普段アイドルを聴いてない人たちからも、"この子たちヤバい、めっちゃかっこいい"って思ってもらえる存在になりたいです。

しのぶ。:ウドンが今言ったことはもちろんとして、今まで私が関わってきた人たちに、自信を持って、今こういうのをやってるよって言えるようになりたいです。今でも全然言えるんですけど、家族とかおばあちゃんって、テレビとかに出ないとわからなかったりするじゃないですか。だから、"この間、テレビ出たよ"ってひと言言えるだけでも変わるし、"こういう大きなイベントに出させてもらえたんだよ"って言えれば、喜んでもらえるかなって。それはウドンが言っていたみたいに、規模がどんどん大きくなっていかないとできないので。だからまとめると、一緒です! 大きくなりたい!

-サトウさんはいかがです?

サトウ:自分たちはまだ下積みですけど、"今一番ヤバいアイドルって誰?"って聞かれた人が、"9Dayzです!"って答えてもらえるような、顔になれたらいいなと思います。アイドルという枠の顔になりたい。

クマ:世間でアイドルとなると、例えばAKB48 みたいに規模が大きくてキラキラしたグループを思い浮かべると思うんですけど、それと違うアイドルっていう文化があって。それを世間がなんて呼ぶかはわからないけど、激しい音楽をやっているアイドルとして、それこそ激ロックによく掲載されているアーティストさんと名前を連ねたいっていうところですね。あと、メンバー全員普通のことはやりたくないと思っているし、みんながやっていることを自分たちはやる必要はないと思っているので。そういったチャレンジャー精神、反逆精神みたいなものは、全員根本に持っていると思います。プロデューサーとしては、そういったメンバーの気持ちを汲み取りつつ、もっと多くの人に聴いてもらえるように頑張らないといけないですね。

サトウ:とにかくめっちゃ聴いてほしいし、ヤバくね? っていう音源ができたと思っているので、たくさんの人に聴いてもらえたら嬉しいなと思ってます。