MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

SAISEIGA

2022.02.02UPDATE

2022年02月号掲載

SAISEIGA

Member:Regan(Vo) Wakkun(Gt) Katsuki(Ba) 桐子(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-そういえば、なんでも「RIDE ON」はベルギーのチャートにランクインしたことがあるそうではないですか。

桐子:なぜか突然ベルギーのiTunesストアで28位にランクインしました(笑)。理由はわからなかったんですけど、すごく嬉しかったです。

Regan:「RIDE ON」は生まれる前から特別扱いな曲だったしね。バンドの中でもめちゃめちゃ箱入り娘な曲で、できあがる前からこれは絶対リード曲だなっていう手応えを感じてたし、MVもすべて完璧に作ったうえで発表した曲だったんです。すごく自信のある曲で、実際に今のSAISEIGAにとってはライヴでも代表曲になってるものなので、今回のアルバムでもしょっぱなの1曲目に入れました。感覚的には、これって"東京卍リベンジャーズ"的な曲だと思いますよ。

桐子:えっ、それはどういう意味で?

Regan:いやほら、なんか聴いてると"なんか自分も強くなった気がする!"みたいな曲だから(笑)。アニメでも音楽でも、そういう素敵な勘違いを自分にさせてくれるものって大好きなんです。SAISEIGAでもついにそんな曲を作れるようになったんだなっていうのが、私は嬉しいですね。

Katsuki:わかる、わかる。ヘヴィな音楽ではやっぱりそういうところも大事だよ。聴いてると、自分の気持ちまで強く変身! ってなれるものはカッコいい(笑)。

-薬剤などの治験でも、人間はその気になっていると偽剤を飲んだだけでもプラセボ効果がある程度は出るそうですので。音楽によって人の"その気"を奮い立たせるというのは、アリだと私も思います。

Regan:ほんと、音でその気になるってありますから。だって、私なんて最初は"は? 今さら知らねぇ男とバンドやんのかよ!?"って思ってましたもん(笑)。それが、一緒に音を出してみたら"何これヤベーじゃん!"ってなっちゃって。そういう強い説得力が、今回のアルバムには「RIDE ON」だけじゃなく、いろんな曲にいろんなかたちで詰まってるんです。

-『THE SUN』については、楽曲クオリティもさることながら、サウンドメイクの面でもなかなかの仕上がりとなっておりますよね。絶対倶楽部と比べるのは無粋かもしれませんが、桐子さんのドラムの音も以前よりずいぶんと重くなった印象です。

桐子:SAISEIGAは竿隊が7弦と5弦だというのも大きいと思いますし、アレンジのスタイルや使っている機材も以前とは違うので、前が全体の音を支えるドラムだったとすると、このバンドでは、自分もKatsukiとWakkunと一緒に力強く踏み出していくようなプレイに変わったのかなと自分でも感じてます。特に、Katsukiはドラムに対して結構厳しいのでこの1年ちょっとでかなり鍛えられました(笑)。

Katsuki:ヘヴィでラウドな音を出したいってなったときに、ただチューニングを下げればいいとか、パワー・ドラム的な音があればいいということではないですからね。むしろ、大切なのは、いかにバンドとしてのグルーヴが絶妙な感じでロールするかというところだと思うんですよ。SAISEIGAが今みんなで追求してるのは、まさにそこなんです。

Wakkun:プレイ的には人からは"意外なことやってるね"とか言われることがわりとありますけど、自分では凝ったことをやってるとか、斬新さを狙っているというよりも結構好き放題にやってる感覚なので、そこを音として味わってもらえると嬉しいですね。

Regan:でも、好き放題っていう点ではたぶん私が一番自由にやってると思いますよ。うちは基本的に真面目なメンバーが揃ってますし、基盤がこれだけ固まってればあとは思い切りクレイジーにやれますもん(笑)。『THE SUN』の内容もそうだけど、何かをストイックに貫いてやろうというよりは、このバンド名の通り今はもう何にでもなってやれ! っていう自由な気持ちで私は歌ってます。

-アルバム『THE SUN』が全体的に奔放で伸び伸びとした作風に仕上がっているのは、そのためだったのですね。

Katsuki:最初からこの方向性を決めていたわけではなかったんですけど、結果的にそこがテーマになっていったという意味では、このアルバムのタイトル"THE SUN"そのものも重要な言葉でありイメージでした。要するに、ここに詰まってる音とか言葉ってポジティヴだし明るいんですよ。それは意図してこうなったというよりは、みんなで好きなことを好きなようにやっていくうちにこうなってた、みたいな感じといいますか。ヘヴィなラウドロックではあるんだけど、姿勢としてはダークで退廃的みたいなのとは違って、あくまでも"前向きに元気を出していきたいよね!"というものになっていたので、それでアルバム・タイトルもその雰囲気を象徴するような"THE SUN"と付けました。

-『THE SUN』から始まっていくのであろう、SAISEIGAの成長が実に楽しみです。なにしろ、男女混合編成というこのバンド形態も日本ではわりと珍しいですしね。

桐子:そこは私たち自身も、男女混合編成バンドは初めてなのでまだ試行錯誤しているところが多少あるんですよ。世に発信してくうえで、ガールズ・バンドとか男性だけのバンドみたいな"わかりやすさ"があんまりないので(笑)、バンドとしてのキャラクター? 色? そういうものをもっとわかりやすく伝えていきたいんですよね。

Katsuki:雰囲気的には戦隊モノで言うと俺とReganが熱血系で、Wakkunと桐子は客観的で冷静みたいな。結構バランスはとれてる気がする(笑)。

-この数年は、世間でも多様性という言葉がよく使われるようになっていますのでね。ギャルバンだとファンの方はどうしても男性が大多数になるという傾向にありますし、それこそKatsukiさんやWakkunさんがやっていらしたというヴィジュアル系では、女性のファンが圧倒的に優勢なわけで、かねがね"性別は関係なく、カッコいい音楽を楽しめるような風潮がもっと浸透していけばいいのに"と感じていたところはあるので、既存の枠にハマらない自由な価値観を持ったSAISEIGAの在り方は、どこか先鋭的であるとも言えるのではないでしょうか。

Katsuki:そこの壁は過去の自分が抗いたくても抗えなかったところなので、そこを超えた次元にいるSAISEIGAはやっててすごく面白いです。

桐子:たしかに、今の時代にはこういうスタイルって合ってるような気がします。

Regan:そのぶん、どこのカテゴリにも入れそうにないから参考になる資料とか見本はまったくないですけどね。どういう年齢層の、どんな人たちを狙っていけばいいのかっていうのがまだよくわかんなんいですけど、逆に言えば他でやってないことをやって自分たちがそのカテゴリを作っちゃえば、自分たちがその中で一番になれますから。さっき多様性の時代って言っていただいた通り、そこで伝説作っちゃおうぜ! と狙ってます(笑)。

-実に頼もしいですねぇ。

Regan:『THE SUN』もすごく満足のいく仕上がりになりましたけど、SAISEIGAはライヴもほんとすごいんで! それぞれの音に対する愛情とかがめちゃめちゃ溢れてるし、もし今いろんなことで憂鬱になったりしてる人たちがいるなら、そんな人たちにこそSAISEIGAのこの力強い音にぜひ生で触れてみてほしい! というか、絶対いろんな人にこの音を届けたい! もっと言っちゃうと"これが本物だよ"って伝えたいな!