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INTERVIEW

CINQ ELEMENT

2022.02.07UPDATE

2022年02月号掲載

CINQ ELEMENT

メンバー:Maju(Vo) Kengo(Dr)

インタビュアー:杉江 由紀

移ろいゆく時の中、CINQ ELEMENTはここに来てある種の転生を成し遂げたと言えそうだ。もとを辿れば2007年に鹿児島にて活動を開始し、ヴォーカリスト Majuがバンドの顔役として強い存在感を発揮してきたこのバンドは、このたび2017年にリリースされた前作『Circlet』以来となる約4年ぶりのアルバム『Rain』をここに完成させることとなったのだ。そして、前作発表時とはメンバー編成が大きく異なるぶんだけ、彼らのサウンドは飛躍的な進化を見せることに。メタルやエクストリーム・ミュージックの要素に、フラメンコ・ギターの方法論を大胆に取り入れたこのスタイルはとても独創的で、まさにCINQ ELEMENTならではの希有なものだと言えよう。

-このたびCINQ ELEMENTは、2017年10月の『Circlet』以来となる4年ぶりのアルバム『Rain』を発表されましたけれど、なんでもここに至るまでにはメンバー・チェンジやコロナ禍の発生による制作の中断など、いろいろな紆余曲折があったそうですね。

Kengo:本来であれば、一昨年の8月には出すつもりでいたんです。でも、ちょうどそれに向けて動き出した2020年の春くらいからコロナが始まって、最初のうちはこんなに長引くことになるとは思ってなかったんですけど、結局は今に至るまでまだ続いてるわけですしね。しかも、そうこうしてるうちに今度は2020年9月に前任ベーシストが脱退してしまいまして、コロナの状況が良くならないというのもあり、いったんそこでアルバム制作を中断しようということになってしまったんですよ。

-その後、2020年11月にはサポートとしてベーシスト、hidenoさんが参加されることになり、2021年夏からはついにアルバム制作を再開されることになったそうですが、制作中断前と制作再開後で今作の方向性や内容、またはサウンドのカラーなどに変化が出てきた部分などは何かしらあったのでしょうか。

Kengo:アルバムの制作を再開するにあたっては、まずいろいろと見直すことをしましたからね。ベースも新たにhidenoさんが参加してくれることになったので、音としては前任の女性ベーシストの少しポップなニュアンスがあったときと比べると、より質感としては硬派な感じになっちゃったなと思います。

-硬派になっちゃった、なのですね。

Kengo:ある意味ではもとに戻ったとも言えるんですよ。もともと楽器隊は全員が男だったところに、前任の女性ベーシストが入って少し雰囲気がポップになったので、自分たち自身はそこまで大きな変化は意識していないにしても、自然と前みたいな感じに戻っていたと言えるのかもしれません。

-そうした様々な紆余曲折を経ながら、今作『Rain』でも、ヴォーカリストとしてこのバンドの顔役を務められているMajuさんですが、アルバム完成に至るまでの間に"あわや激流に呑まれそうになってしまったこと"などはありませんでした?

Maju:ありましたね、そういうことも。メンバー・チェンジやコロナのこともそれなりに大きかったですけど、何より一番大きかったのは自分の中での葛藤でした。CINQ ELEMENTというバンドを引っ張っていくフロントマンとしての気持ちに、ちょっとした揺らぎが出てしまっていた時期があったのは事実なんですけど、逆に言えばアルバム制作が中断になったことで時間的な猶予ができたぶん、自分自身としっかり向き合う時間を取れたんですね。そこで、改めて"自分は次の新しい体制でCINQ ELEMENTとしての活動を、さらにきわめていきたい"という気持ちにもなれたので、そのうえでアルバム制作を再開できたのは、むしろいい結果に繋がったんじゃないかと思っているんです。実際、レコーディングが中断していた間には新曲も増えましたし。

-なるほど。いわゆる災い転じて福となす、ということをCINQ ELEMENTはこのコロナ禍でやってのけたわけですね。ちなみに、制作再開時の段階でアルバムの内容はどのあたりまでできていたことになるのでしょうか。

Kengo:実を言うと、一昨年の夏の時点で8割から9割くらいまではできてたんですよ。ただ、そこから見直したりしたぶんも含めると、制作再開時はだいたい7割くらいまでできたところからのリスタートになりましたね。

-そんな今作『Rain』を仕上げていくうえで、サウンド面において最も重視したのはどのようなところでした?

Kengo:それが、音楽的なことで言うと今のうちのバンドはちょっと特殊でして。2017年に出した『Circlet』のときとはギターがメンバー・チェンジしていて、Hiroのほうがもともとデス・メタルやエクストリーム・ミュージック系のギタリストである一方、松岡"Johnny"竜大に関してはフラメンコ・ギタリストなんですよ。

-Johnnyさんは写真でもフラメンコ・ギターを抱えていらっしゃいますね。

Kengo:だから、今のCINQ ELEMENTとしては、Hiroのメタル系ギターとJohnnyのフラメンコ・ギターをいかに融合させていくか、というのがかなり大きなポイントになっているんです。せっかくなので、今回のアルバムに関しては、その色を特徴のひとつとして強く打ち出していこうという姿勢を大事にするようにしました。

-とはいっても、Johnnyさんが終始フラメンコ・ギターを弾かれているわけではないのですよね?

Kengo:ええ、フラメンコ・ギター的なフレーズをエレキで弾いてる感じですね。ピックは使わずに、ずっと指弾きをしてるんですよ。そのへんは、周囲のバンドからも結構珍しがられることが多いです(笑)。

-ギター隊のアンサンブルがそのような斬新なものであることを踏まえると、リズムを構成していくうえでの方法論についても、以前とは違う新たなアプローチなどが必要になってくることはありませんでした?

Kengo:何しろふたりのギタリストの持っている個性がそれぞれ強すぎるので(苦笑)、曲によってはリズムのアレンジをシンプルに抑えたものもありますね。サウンド全体のバランスをとっていくのは、わりと難しかったです。

-サポート・ベーシストであるhidenoさんとのコンビネーションについては、ドラム・レコーディングしていていかがでした?

Kengo:普段は僕らが鹿児島で、hidenoさんは奈良にいるので距離があるんですけど、練習やレコーディングのときは鹿児島まで来てくれてますし、彼なりにCINQ ELEMENTのことはもうすでによく理解してくれているので、ドラマーとしては自然とやれました。特に何か言う必要もなかったですね。

-かくして、前作のアルバムのときとはギタリストもベーシストもメンバーが違ったとなると、ヴォーカリストであるMajuさんにとって今作『Rain』のレコーディングは、いかなるスタンスで臨んでいく必要がありましたか。

Maju:やっぱり、Johnnyが入ったことによって、CINQ ELEMENTの音というのは大きく変わったと思うんですけど、私からしてみるとJohnnyの出す音色はとてもしっくりくるところがあって、歌うときに気持ちがすごく入りやすいんですね。そういう意味で、今回のアルバムでは自分の表現の幅もかなり広がったんじゃないかと思います。

Kengo:フラメンコ・ギターって、スペイン発祥だけに情熱的だもんね(笑)。

Maju:たしかに(笑)。そういうJohnnyに触発されたところも大きかったけど、これまでに自分が培ってきたシャウトの部分とか、激しい部分も当然大事にしていきたかったので、その部分でも今作での感情表現はさらに強くなったと言えますね。そして、そこは歌だけじゃなくて歌詞もかな。

-約4年前の前作とは、歌詞を書くときの姿勢も違ったわけですね。

Maju:年齢を重ねてきたことで、ヴォーカリストとしてだけではない人間的な変化もあったと思いますし、人生の経験値も増えたぶん、前だったら書けなかったような歌詞を書けるようになったのかなと自分でも感じてますね。そして、その自分の内側にある気持ちを、以前よりも深みのある言葉でかたちにできるようになった気がします。