INTERVIEW
The Birth Of Envy
2020.08.20UPDATE
Member:Bell(Vo) -SAKU-(Gt)
Interviewer:吉羽 さおり
この作品を聴いて感じてもらえる感覚って、初めて湧き出る感情だと思う
-先ほどもありましたが、歌詞には自分自身の想いや状況が色濃く反映されている感じですか。歌詞を書くのはこのThe Birth Of Envyが最初でしょうか。
Bell:前のバンドのときも書いたりはしていたんです。そのときは歌詞を書くだけで、メロディはつけていなかったんですけど。今はメロも歌詞も書いていて。
-メロディもBellさんによるものだったんですね。トラックだけ聴くと、ここにこういうきれいなメロディを乗せるのはなかなか難しそうですけど。
Bell:難しかったのが、「Depravity」や「The Tempest」で、これにクリーンのメロディの乗せるって、むず! って思って。
-SAKU-:たしかに「Depravity」はそうかも。
-あのブラストビートの攻撃的な感じに、このメロディアスな歌や、伸びやかな旋律が乗るのはあまり想像できないかもしれない。
-SAKU-:あまりないんじゃないかな。
Bell:うん、参考になるものがなかった。だからこそより私たちのものというのが作り出せるので、この曲は頑張りました。
-耳を引く曲ですね、音もメロディもインパクトが高くて。ヴォーカリストとしての強さも引き立つ曲で。
Bell:サビで裏声を使うのが好きなので、物悲しさも出ているかなと思いますし。この曲は、サウンドに負けない歌ができました。
-SAKU-:サウンドが激しいぶん、声も同等に強くないと埋もれちゃうので。
Bell:意識しましたね。お互い負けないようにって。
-そして、相乗効果でどんどんサウンドも強くなっていくと。
Bell:はい(笑)。こんなのか! っていうのが今またできてきているので。
-SAKU-:負けじとね。
-「Sentiment」は、インストに続く曲としてこのアルバムを幕開ける大事な曲で、疾走感のある力強いサウンドと歌の曲となりました。この曲でThe Birth Of Envyがスタートしていくということで、ふたりの濃い想いも反映されていそうですね。
Bell:「Sentiment」は、最初に聴いたとき"これはいける"って思ったんですよね。かっこ良くて。お互いが好きなものが形になったみたいな。
-SAKU-:お互いの好きなものをより集めた集合体みたいな感じの曲なので。
Bell:今回のミニ・アルバムも、The Birth Of Envyを紹介するにあたってどの曲を出そうかとなったとき、これじゃない? って厳選した曲たちなので。The Birth Of Envyらしさが一番出ているアルバムになっているなと思います。
-SAKU-:偏りとかがなくね。
Bell:「Sentiment」にもThe Birth Of Envyらしさがあるし、どこにも似てないし属していない曲だし。
-SAKU-:例えば、このミニ・アルバムを5角形のレーダー・チャートにしたら、どこかひとつが突き抜けているんじゃなくて、きれいなバランスになるようにというのは意識して選曲したんです。雰囲気とか、テンポもそうですけど。
Bell:「Sentiment」はエモさもあって、疾走感とかかっこ良さ、物悲しさがあって、サウンドにはヘヴィさもあるし、よりThe Birth Of Envyが詰まっているなという感じがしますね。
-ミニ・アルバムのタイトル"SYNESTHESIA"は、共感覚という意味合いがあります。これにはどういう思いがありますか。
Bell:これは私が決めたんですけど、この作品を聴いて感じてもらえる感覚って、初めて湧き出る感情だと思うので。The Birth Of Envyを聴いて生まれた感覚というのを、みんなで共有したいなと思っていて。それは人それぞれ違うものだと思うし、好きな曲もたぶんみんな違うと思うんです。
-SAKU-:あとは人によって曲を聴いたときに脳内に浮かべる風景も、その人それぞれだと思うので。
Bell:そういうものも思い浮かべてほしいなと思って、このタイトルにしました。
-またこの作品では、一曲一曲にそれぞれイメージ・アートがあるということなんですが、それはどういうもので、なぜそういったことをやろうと?
-SAKU-:ちょうど制作をしていた時期がコロナ(新型コロナウイルス感染症)の影響があって、MVを撮ろうとなっても状況的に厳しいというのもあったし、今回は"SYNESTHESIA"、共感覚というタイトルなので、視覚的に曲ごとに何か景色を見せたいなというのがあったんです。MVの代わりというのはまた違うのかもしれないですけど、各曲のイメージ・アートがあることで、より伝わるものがあると思うし、"SYNESTHESIA"というタイトルにも合うのかなと思って。
Bell:あまりないことですよね。
-イメージ・アートを手掛けているkyogudrddd(キョウグ)さんには曲を聴いてもらって、そこで受けた感覚で描いてもらったものですか。
-SAKU-:そうですね。この曲はこういう曲なんですけど、聴いてもらった感じで描いてもらって構いませんという感じでお願いしました。
-サウンドとアートワークで、それぞれのアーティストが影響し合うようにしてひとつの"作品"を多角的に伝えていくという方法は、今っぽくもありますね。
Bell:またそれをSNSも使って発信していくのも、今ならではだと思いますね。
-SAKU-:自分が思い浮かべているイメージと、他者が思い浮かべるイメージというのは一緒ではないので。そこも面白かったですね。
Bell:「Monologue」とかも面白いんですよ。イメージ・アートをもらったとき、"あぁ!"ってなりました。「Monologue」って独白、ひとりで喋るっていう意味ですけど、それがなるほどとなるというか。こう感じてもらえて良かったなというものが上がってきて。こういうイメージ・アートを見てから、こんな曲なのかっていうのを知ったりするのも発見があると思うし。今回はそれもあってあえてリリックもつけていないので。聴いたままで、感じてもらおうかなって思ってます。
-本当に感覚的なところを全部使うような作品ですね。
-SAKU-:まさに感覚に訴える作品ですね。
Bell:聴いたことがない音楽を聴いてもらおうという感じです。
-最後に、バンド名であるThe Birth Of EnvyのこのEnvyって、結構強い言葉だと思うんです。場合によってはネガティヴにも捉えられそうなワードでもありますが、ふたりはどんな意味合いを込めたんですか。
Bell:攻めた言葉だなと思うんですけど、なんか語呂が良かったんですよね。これも私が決めたけど、パッと思いつきみたいな感じだったんです。"The Birth of ○○"までは決まっていて、そこに何を入れようかなと思ったときに、嫉妬もするし、嫉妬もされたいし、羨望とか憧れとか、そういうものありきで物事をやっている人は多いと思うんです。自分たちも憧れているものがあって、今こうして活動をしているので。じゃあEnvyという、嫉妬、憧れというものを名前に入れようと思って、それではめてみたら、しっくりきたんです。
-では、このEnvyに込めたものはネガティヴなものではないんですね。
Bell:そこは両方の意味にも取れるので面白いのかなって思ってます。
-このThe Birth Of Envyになるまでにそれぞれ活動もあったなかでは、Envy、何か嫉妬みたいなもので原動力にもなったものってありましたか。
Bell:あったと思いますね。なんで私は? とか。
-SAKU-:そういうのはよくわかる。
Bell:自分が悪いのはわかってるんだけど、なんで? って。そういう理不尽さは結構あったので。ああいう人みたいになりたいという思いも含めて、でもなぜあの人ができて、どうして私にはできないんだろうという憎しみもありますよね。でもきっと、こういうEnvyな思いありきで人間ってできているんだろうなって思いました。
-SAKU-:自分も人間なので嫉妬を感じることはあるんですけど、自分の場合はそういうのを感じたときに、あまりいい方向にいかないんです。逆にそういう、嫉妬とかを感じたときは、自分ができることを最大限やろう、自分のできることの中で100パーセントを出し切ろうという考えにシフトしてやっていますね。
Bell:それができて、憧れられる存在にもなれればいいよね。そういう意味でのThe Birth Of Envyですね。