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INTERVIEW

My Material Season

2020.03.04UPDATE

2020年03月号掲載

My Material Season

Member:Nozaki(Dr/Pf/Gt)

Interviewer:荒金 良介

ピアノを大々的に導入した無二のメロデス・サウンドに心をえぐられてしまう。My Material Seasonの4thアルバム『Bloody Pains Stigmata』は、日本人の琴線を揺さぶるメロディ、ツイン・リード・ギターの応酬、目くるめく曲展開でリスナーを惹きつける魅惑の1枚に仕上がった。組曲構成で聴かせた前ミニ・アルバム『Desire in the Black Material』を経て、バンドの表現力に磨きをかけた今作は従来のファンはもちろん、新規リスナーを獲得するポテンシャルを秘めている。作詞作曲のすべてを一手に担うNozakiに話を訊いた。

-今作は約4年ぶりの作品になりますね。初登場ということもあり、まずは現在の音楽スタイルに辿り着くまでの経緯を教えてもらえますか?

もともとメタルをやる前にポップス・バンドをやってたんですよ。当時はHysteric Blueとかが流行ってましたからね。で、X JAPANに出会い、僕の友達のお兄ちゃんがニュースクール・ハードコア・バンドをやっていたので、State Craft、BIRTHPLACEのライヴも観に行ってました。

-えっ、そうなんですか! 完全に90年代の話ですよね?

16~17歳の頃に流行りましたからね。00年代に入るとCARCASS、AT THE GATESを聴いて、メロデスにハマったんですよ。僕は小さい頃からピアノをやっていることもあり、曲作りもピアノでやる癖があるんですけど、今作に限ってはピアノとギターで作った曲のふたつに分けたんですよ。今まではピアノ・オンリーで曲作りしていたけど、ギター・ソロが弾きづらいとメンバーに言われることもあり、ギターで曲を作ろうかなと。

-なるほど。

話が逸れちゃいましたけど、05年にジャズ・ピアノのセッションのお仕事もやってて、そのときにジャズのギタリストをやっていたうちのメンバーと意気投合したんです。彼はブラック・メタル、オールドスクールなハードコアも好きだったので、それでバンドを結成しました。

-オールドスクールのハードコアというのは、どのへんですか?

G.I.S.M.、鉄アレイとか、ジャパコアですね。昔から聴いていたし、メロデスをやっているけど、家ではデス・メタルばかり聴いてるんです。S.O.Bみたいなグラインドコアも好きなんですよ。ただ僕はピアノを弾けるので、エクストリームな音楽をやるときはメロデスが合うのかなと思いまして。

-ピアノを取り入れた音楽性という意味でも今のスタイルがしっくりくると?

そうですね。慟哭や感情を表現するうえでデス・ヴォイスのほうが出しやすいから。結成から15年、音楽スタイルは大きく変えずにやってます。

-そこは変えたくないという気持ちが強いんですか?

まったく変えるつもりはないです。作曲スタイルを変えることはあるけど、今の音楽スタイルは永遠に続けていこうかなと思ってます。

-お話を聞くと音楽的なバッググラウンドは幅広いですけど、アウトプットする際はフォーカスを絞りたいんですか?

いろんな音楽をやってもいいんですけど、取り込みすぎると収拾がつかなくなりますからね。あまり周りの意見を聞かないこともあり(笑)、やりたいことをやりたくて。

-このバンドのクサメロというか、メロディが特徴的ですよね。

そこはX JAPANの影響が大きいですね(笑)。80年代のロボット・アニメも好きで、"機動戦士Ζガンダム"や森口博子さんの曲も好きです。どちらかと言えば、エンディング・テーマ側のもの悲しいメロディが好みなんですよ。"ドラゴンボール"の「ロマンティックあげるよ」(橋本 潮)とか、哀愁はあるんだけど、どこか明るさもあって次に繋がるような希望のあるメロディが好きですね。そこは意識してメロディを作ってます。ひたすら暗くすることもできるけど、自分が作る音楽には合わないかなと思うんです。マイナー・コードは使うけど、メジャー・コードも入れているので、他のメロデスとは違うメロディになっているのかなと。

-そこはやはり日本人らしさを意識して?

そうですね。日本人が好きなメロディやコード進行......小さい頃からピアノをやっているので、どう転調させたらキャッチーに聴こえるのかもわかるんです。そのツボを突けるようなメロディや展開は考えてます。一般的なポピュラー・ミュージックのメロディをデス・メタルに導入している感覚ですね。

-かなり頭の中で緻密に計算して曲作りしているんですね。

楽譜も書けますので、どこでケミカルを起こしているかもわかるんですよ。そこに何かを重ねて、ダメだったらボツにして、その繰り返しですね。曲が長くなる癖があるので、今作は5~6分でまとめるように意識しました。平気で10分超えることもあるんですけど、そうなると覚え切れなくなりますからね(笑)。今まで煮詰めすぎていたところもあるので、肩の力を抜いてもいいのかなと思ったんです。あと、グランドピアノを使っているので、エレキ・ギターと周波数がぶつかるところもあるんですよ。だから、ダウン・チューニングにせずに、一音だけ下げるようにしてます。それは80年代後半から90年代前半のヘヴィ・メタル......X JAPANの音作りを意識してますね。

-X JAPANを含むヴィジュアル系バンドの音作りですか?

そうですね。レコーディング技術が今ほど発達してなかった時期ですけど、モダンな雰囲気が醸し出されていたんですよね。古いんだけど、古臭すぎないというか。僕自身耳がいいこともあり、音圧バリバリのMP3に圧縮した音楽が苦手なんです。だから、なるべくマイルドな音作りを心掛けてます。それで他のメタル・バンドと区別できたらいいなと思っているんです。あと、グランドピアノは鍵盤を押すときにハンマーの音が鳴るので、それもマイクで音を拾ってるんですよ。それで人間味というか、深みを感じてもらえたらいいなと。ただ最初のほうでも話したように、今作はギター・メロディを中心に聴かせる曲と、ピアノを使った曲の2パターンを用意しました。よりメタルに近づけた音と従来の音を入れてます。IN FLAMESの3枚目(『Whoracle』)あたりを意識しました(笑)。

-今作ではさらに踏み込んで挑戦してみようと思ったんですか?

少しメタルに近づけてみようと考えたんです。ブラストビートを多めに使ったり、16分(音符)で刻むスラッシュ・メタル寄りのリフを普通のメタルっぽいリフにしたり、サビは基本ツイン・リードを鳴らすというのは変えてないんですけどね。リフの部分でメタルにシフトして、そのリフにシンセでオーケストラを同期させて拍の強弱を変えたりして、他にはないリフを考えてみました。