INTERVIEW
My Material Season
2020.03.04UPDATE
2020年03月号掲載
Member:Nozaki(Dr/Pf/Gt)
Interviewer:荒金 良介
-ピアノをやられていることもあり、クラシカルなフレーズも色濃くメロディに出てますよね?
クラシック上がりだし、今でも聴いてますからね。クラシックのフレーズをギターで弾いて、日本人っぽいメロディに変えるようにしてます。バッハはもちろん、一番好きなのはシューベルトですね。ちょっと頭がイッちゃってる曲が好きなんですよ(笑)。ああいう人たちの音楽はあらゆるところで変な化学反応が起きてますからね。僕は絶対音感を持ってて音楽が色で見える共感覚もあるんですけど、おそらくそういう方々も持ってると思います。
-共感覚はいつ頃から持っているんですか?
小さい頃からです。爆笑問題の田中(裕二)さんも共感覚の持ち主みたいなんですよ。僕は楽譜と共感覚を頼りに音楽を作っているので、他の人とは違う曲作りなんだろうなと思います。ピアノを習っているときに先生に音楽の捉え方が普通の人と違うと言われて、音を色で判断していたんだなと気づいたんですよ。それは演奏能力というよりは、作曲能力により生かせるものだと思います。
-今作の「Dramatic Death」からこのバンドの個性が濃厚に出てますよね。
ワルツのフレーズを使って、それから転調させて僕ららしいメロデスに仕上げました。ドラマチックに展開するから、この曲名にしたんです(笑)。この曲は思いっきりクサくしようと思い、ピアノ・ソロからギター・ソロに入るところで、僕らっぽいメロディになるように転調させてます。同じメロディを使っても、音色やリズムを変えるだけで印象も違いますからね。
-表題曲は口ずさめるキャッチーなメロディが印象的ですね。
リフと合わせて裏でグランドピアノを弾いたり、シンセを使ってオーケストラをユニゾンさせたりして、ダイナミックな作りにしました。車の中で聴いて首を振ってもらえるかなと(笑)。いろんな要素を詰め込みましたからね。制作面でも一番苦労した曲です。あと「Winter Mirage」は僕がギター・ソロを弾いているんですけど、普段ピアノで曲を作っているから、ソロは難しかったですね。次の「Cold Moon Smile」はサラッとできたので、サラッと聴けるんじゃないかと思います。サビもキャッチーですからね。
-ピアノを使ったインスト曲「Piano of Maria」も作品の流れにいい効果をもたらしてます。
完全にアドリブで一発録りしました。実は「Dramatic Death」をピアノで弾いただけなんですよ。アドリブで変えたところもあるので、6分を超えちゃったんですけどね。アルバムの中のお休みタイムみたいな感じで聴いてもらえればいいかなと思います。"1曲目の曲だ!"と気づくと思うので、また最初に戻ってくれたらいいなって。遊び心ですね。
-そして、「Rosary」では女性ヴォーカルをフィーチャーしてますよね。
それはリメイクなんですよ。最初に出したシングル(2009年リリースの『Commit suicide in the paradise lost』)に収録されている曲で、今は入手困難だからやってみようって。当時のメロディは変えずに歌ってもらいました。その頃はX JAPANが好きだったんだな、スピード・メタルをやりたかったんだなと思いましたね。
-今作の歌詞はNozakiさんがすべて手掛けてるんですか?
全部僕です。日本語詞を使うこともあったけど、今回は全編英語にしてアグレッシヴさを出したかったんですよ。英語で言葉をまくし立てるようなヴォーカルにしたいなと思いまして。ただ、歌詞カードには日本語詞も入れてます。
-歌詞のテーマ性みたいなものはあるんですか?
表題にあるように世の中にある様々な痛みというか......私的にも嫌なことがあったので、それを今作にぶつけたかったんですよ。痛みや悲しみはなるべく溜めないようにして吐き出せば犯罪とかも起きないのかなと。芸術家が思いっきり表現することで、聴いてくれた方がストレス発散にもなる部分もあると思うんですよ。僕も痛みや怒りをメロディに変えて、みんなと共有したい気持ちがありますからね。こうして音楽に出せるから......人間臭さは出てるのかもしれないです。「Last Dance」は特にそうだけど、複雑な心境がカオスな曲調にも表れてますからね。あの曲はいろんなリズムやフレーズを入れて壮大に仕上げてるんです。それこそ日本人が大好きな哀愁のメロディも漂ってるんじゃないかなって。やっぱり肉体的な痛みというより、人間は心の痛みが一番キツいと思うし、ダメージも大きいと思うんですよ。人間は心の痛みから何かをやらかすことが多いと思うから、その負の感情を溜め込まずに出してもらいたいんです。そういう人に僕の作る音楽を聴いてもらえたらいいなと。みなさんも会社とかでいろんなつらいことがあるかもしれないけど、悲しみを共有しましょうという感じですね。ひとりよがりにならずに、考えて作りました。
-そういう話を聞くと今作により感情移入できる人も多いと思います。
自分の感情を共有するためにもクサメロは合っていると思います。慟哭と言っても、希望の光が見えるようにしてますからね。
-今作を発表して、その後の予定はどうなっているんですか?
ツアーは特になくて......ひたすら創作活動に専念したいんですよ。海外の方から反応を貰えたりもするので、自分独自のやり方で進んでいきたいなと思います。