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INTERVIEW

THE DARK ELEMENT

2019.11.12UPDATE

2019年11月号掲載

THE DARK ELEMENT

Member:Anette Olzon(Vo) Jani Liimatainen(Gt)

Interviewer:山本 真由

Anette Olzon(ex-NIGHTWISH)&Jani Liimatainen(ex-SONATA ARCTICA etc)という、才能溢れるふたりのアーティストを中心に結成されたシンフォニック・メタル・バンド、THE DARK ELEMENT。その美しくも迫力のあるプレイ・スタイルで、1stアルバム『The Dark Element』から注目されていた彼らだが、それから2年の時を経て、さらに明確なヴィジョンを持った2ndアルバムを完成させた。今作は、Anetteの美声やJaniの熟達したギター・プレイはもちろん、様々な要素が絡み合うダイナミックな楽曲や、繊細な表現のひとつひとつに感動のあるアルバム。今回は、そんな新作についてだけでなく、THE DARK ELEMENTというバンドの成り立ちから、詳しく中心メンバーのAnetteとJaniに語ってもらった。


THE DARK ELEMENTでは、シンフォニックでも、エレクトロニックでもメタルでも、異なる要素をかなり自由に組み合わせられるんだ


-2ndアルバム『Songs The Night Sings』の完成おめでとうございます。激ロックでは初めてのインタビューとなりますので、まずは、バンドの結成の経緯について教えてください。

Jani:やぁ、激ロックで話をすることができて嬉しいよ。THE DARK ELEMENT については、そもそも2016年に俺が"Frontiers Records"から連絡を受けて、"次のPLACE VENDOMEのアルバムに曲を書かないか"と訊ねられたんだ。当時はとても忙しかったんだけど、"やってみるよ"と答えた。それで1曲書いてレーベルに送ったところ、気に入ってくれたようで、しばらくしてレーベルの社長のSerafino Perugino氏からメールを受け取ったんだ。"シンガーと一緒に、アルバムの曲を書き、制作活動をする気はないか?"という話だったから、"いいアイディアだと思うけど、そんなシンガーは特に誰も思いつかないね"と告げつつ、"俺はキャリアを通じて男性シンガーと仕事をしてきたから、気分転換に女性シンガーと仕事をしたら面白いだろうな"とも言ったんだ。すると連中は、"OK、それでやってみよう"と言って、たしか1週間くらいしてからAnetteをシンガーとして提案してきたんだよ。俺は彼女の声がずっと大好きだったから、"いいよ"と軽く答えて、あとはなるようになったというわけだ。

-THE DARK ELEMENTは、一時的なプロジェクトではなく、はじめからバンドというスタンスだったのでしょうか?

Jani:最初は1回限りのプロジェクトして考えていたんだ。"まずはアルバムを作ってみてどうなるか見てみよう"という感じでね。だけど、アルバム(2017年リリースの『The Dark Element』)が最高の仕上がりだとわかったから、すぐに一緒に作業を続けると決めたんだ。

-昨年10月には、元ANGRAのEdu Falaschi(Vo)のプロジェクト(EDU FALASCHI REBIRTH OF SHADOWS)とTHE DARK ELEMENTのカップリング・ツアーで、来日が実現しましたが、日本でのライヴはいかがでしたか?

Jani:本当に素晴らしかったよ! 俺は何度も日本に行っていて、とても気に入っていたからね。SONATA ARCTICA、INSOMNIUM、それにCAIN'S OFFERINGで訪れていたので、何が起こるかよくわかっていたし、期待していたんだよ。今回は2回限りのショーだったけど、観客は素晴らしかったし、俺たちもとても楽しめた。また早くやりたいね!

-共演したEdu Falaschiは、日本以外でも一緒に回っていたのでしょうか? また、彼ら以外によく共演しているバンドや、親交の深いバンドはいますか?

Jani:Eduとやったショーは2回しかなかったけど、彼はとてもいいやつで素晴らしいシンガーだから、もったいなかったと思う。THE DARK ELEMENTはこれまで数回しかショーをやっていないから、他のバンドとの共演については、それほど数はないんだ。ただ、個人的には本当に数多くのバンドと作業し、ツアーしてきた。挙げるには多すぎるよ(笑)。

-前回の来日ではリリースしたアルバムが1枚だけということで、必然的にそこからの選曲になりましたが、日頃のライヴではNIGHTWISHやSONATA ARCTICAなど、メンバーがこれまで在籍していたバンドの楽曲を演奏することはあるのでしょうか?

Jani:いや、これまでのところオリジナルの曲しか演奏してないね。さっきも言ったようにこれまでショーは数回しかやっていないから、レパートリーが少ないことはそれほど問題じゃなかったんだよね。Anetteのソロ・アルバムから1曲やることも考えたけど、結局"俺たちらしく"響くアレンジをする時間がなかったからやめたんだ。もちろん、これからは新譜が出るから、選べる曲はたくさんあるし、もう"カバー・バージョン"に頼る必要もない(笑)。

-デビュー作でもある前作『The Dark Element』は、ここ日本でも大変話題となりましたが、ご自身にとってはどんな作品ですか?

Jani:日本で実際1stアルバムの反応がどうだったのかは知らなかったから、大きな話題になったのであれば、それを聞けて嬉しいよ! 俺にとって1stアルバムは何か新しいもの、いわば学習体験だったんだ。何曲かはとても気に入っていて、1stとしては非常にいい出来だったとは思うけど、それ以降、俺たちはバンドの全体的な方向やサウンドをずっと的を絞ったものに変えてきたんだよね。

-そして、そんなデビュー作から約2年、ニュー・アルバム『Songs The Night Sings』が完成しました。前作が高評価だったぶん新作へのプレッシャーも大きかったのでは?

Jani:新譜の曲を書き始めたときに、プレッシャーを感じなかったと言えば嘘になる。もちろん1stアルバムの評価が高かったこと、そして、それを上回ろうとしなければいけないのは知っていたからね。だけど、そのうえで、1stアルバムの曲を書いたときには、自分たちが何をやっているのかについての明確なヴィジョンもコンセプトもなかったが、今度はTHE DARK ELEMENTのサウンドをどのようなものにしたいか、はっきりしたヴィジョンがあったから、もう一度やってみてバンドのサウンドに磨きをかけ、さらにいいものにすることは楽しかったし、ワクワクもしたんだよ。

-今作のコンセプトやテーマについて教えてください。

Jani:このアルバムには、全体のコンセプトやテーマはないんだ。むしろ個別の曲を集めたものだと言えるね。まぁ、たいていのアルバムはそうなんだけど(笑)。

-また、燃える心臓に釘が刺さっているという一見ショッキングなアートワークですが、これにはどのような思いが込められているのでしょうか?

Jani:このアイディアは、アートワークを担当したアーティストのものなんだ。彼はとても親しい友人で、お互いのことがよくわかっているから、作業を一緒に進めるのはとても楽だったよ。どのようなカバーにするのか、何を伝えたいのかということについてミーティングをしてから、彼に曲と歌詞をすべて送って、このアルバムがどういう感じのものになるのかがわかるようにしたんだ。彼が送ってくれた最初のスケッチにはすでに釘が刺さった心臓が描かれていたから、俺は"これだ! これでいこう"と思った。音楽、特に歌詞のムードや感覚を描き出しているんだよ。

-前作よりもさらに多彩な表現が印象的で、持ち味であるシンフォニックで美しいメロディも際立った今作ですが、作曲やレコーディングのプロセスにおいて前作から変化したところはありますか?

Jani:そうだな、一番の変化は話したように、今回は自分が何をやっているのか、そして、どういうサウンドにしたいのかについて、よりはっきりとしたヴィジョンができたことだね。俺はいろいろなジャンルの音楽が好きだし、THE DARK ELEMENTでは、シンフォニックでも、エレクトロニックでもメタルなどでも、異なる要素をかなり自由に組み合わせられると感じているんだ。友人のひとりが、中にはミュージカルのように響く要素もあると言っていたね。