NAZAREがこれから目指す場所、彼らの"IDEAL"とは

－うたさんは前回のインタビューで、ステージングを重視するためにベース・ラインは簡単に作るも、壱世さんに投げると難しくなって返ってくるとおっしゃっていましたが、今回はいかがでしたか？

うた：「IDEAL」はそこまで難しくない。......けどやっぱちょっと速い。

一同：（笑）

－どちらかというとユニゾンをがちっとキメるタイプの曲ですもんね。

うた：でも、この半年間の過程があるからこそ「IDEAL」は少し簡単に感じるのかもしれないですね。始動する前の段階で「IDEAL」に直面したら難しく感じたと思います。そこは自分の成長がちょっと見えたかなと。

－カップリングは、スローな「閉鎖的、屈辱の雨」とハードコア的な爆発力のある「INSOMNIA」と、両極端な2曲になっています。

澪：「IDEAL」が表題曲に決まったときに壱世さんにこの2曲をごり押ししました。というのも「IDEAL」で表と裏の両方を書いたので、この2曲ではそれぞれ表と裏を書こうと思っていて、「閉鎖的、屈辱の雨」では僕の弱気な部分を、「INSOMNIA」では僕の強気な部分を書きました。今回は1枚を通して僕から見えるものを書けたと思います。

－特に「閉鎖的、屈辱の雨」はNAZAREのイメージにはないスロー・ナンバーで、もともとバラエティに富んだバンドだとは思っていましたが、改めてその振れ幅に驚かされました。

壱世：シングルでもNAZAREの音楽の幅の広さを表現できたと思います。別にメタルだけにこだわっているわけでもないし、こういう普通の8ビートもかえって新鮮ですよね。

－前回のインタビューで壱世さんは、"ドラムはあまり考えずに自分らしいものを叩く"とおっしゃっていましたが、この曲に関して言えばかなりシンプルな構成になっていますね。

壱世：良くも悪くも落ち着けたかなと思います。派手にしなくてもいいというのは最初からわかっていたので、たまにはこういうのもいいですね。

澪：前回のインタビューでも話したように僕はあまりメタルが好きじゃないので、メンバーの好みとかは関係なく、"俺はこれがやりたい！"と作りました。激しい音楽だと、伝えたいことはデス・ヴォイスに込めてしまって、歌詞を読まないと伝わらないことも多いので、この曲は普段使わない言葉を使って、僕が思っていることを素直に伝えるための曲でもあります。

－この『IDEAL』は、始動からライヴに来ている熱心なファンにとっては4枚目のアイテムですが、これまでの作品は現在入手不可となっているものが多いので、今回初めてNAZAREの音源を手に取る方も多いかと思います。それぞれの人にとってどんな音源になるでしょう。

壱世：今までついてきてくれた人にとっては飛躍の作品になるのは間違いないと思いますし、初めましての人にとってはNAZAREの名刺代わりになる作品ですね。

うた：個人的に「IDEAL」は「幸福論」（『荊海』収録曲）の系譜にある曲だと感じていて、「幸福論」が僕たちを応援してくれている人たちにとってNAZAREの入口であったように、「IDEAL」も「幸福論」で見せたようなインパクトを残せると思っています。これまで応援してくれてた人には「幸福論」からさらに進化したNAZAREを、初めましての人には"これがNAZAREだぞ"というものを示すことができる作品になっているんじゃないかな。

－高田馬場AREAでの3rdワンマン後、少しはゆっくりできそうですか？

壱世：来年1月12日、ちょうど始動から丸1年の日にTSUTAYA O-WESTでワンマン（"NAZARE 1st Anniversary ONEMAN LIVE【Revolutionary IDEAL】"）が決まったので、当面はそこに向けて準備をしていくと思います。ハコ取りが難しいこの時代に、丸1周年の日で三連休の真ん中の日曜日を抑えられたのは奇跡です。

－本当ですね。でも、少しは落ち着けそうですね。

妖：ここまでが激動だったので、落ち着いたら落ち着いたで不安になりそうですけどね。"そろそろレコーディングしたほうがいいんじゃない？"って（笑）。

－以前のインタビューで妖さんは、"今のシーンにこういう音楽をやるバンドが少ないから着火剤になりたい"とおっしゃっていましたが、始動してからもその印象は変わりませんか？ 個人的にJILUKAやDEXCOREなど、また盛り上がってきているように感じるのですが。

妖：今となっては仲良くしてくれるバンドも多いですけど、もっと増えてもいいなと思いますね。

－最近ではジャンルを超えた対バンも積極的に行っている印象もありますが、今後はジャンル問わず盛り上げていきたいという意識を感じます。

妖：そうですね。かっこいいバンドたちと一緒に面白いことができたらいいなと思ってます。

うた：かっこいいバンドと対バンしたら自分たちもかっこ良く見えるだろうし、負けてられないと思うし、お客さんも楽しいだろうし。僕らがヴィジュアル系であることは忘れないですけど、ヴィジュアル系とか他ジャンルとか細かいことは気にしていないです。

－最後に"IDEAL"にちなんでNAZAREの"理想"を教えてください。

壱世：近い未来だとO-WESTワンマンのソールドですね。もっと先の未来だと海外でライヴをしたいです。

澪：飛行機乗れない......。

うた：それはもう泳いでくるしかないね。

一同：（笑）

妖：ここまできたらこの先も全部ソールド・アウトしたいですね。

－プレッシャーはありませんか？

妖：まったくないです。

うた：変な意味はないですけど、この4人で仲良くバンドを続けられるのが理想ですね。

－前回のインタビューで"先のことを考えていない"とおっしゃっていた澪さんにあえて聞かせてください。澪さんにとっての今後のNAZAREの"理想"はなんですか？

澪：変わらないです。今を全力で生きることが未来に繋がると思います。