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INTERVIEW

かなでももこ

2019.06.19UPDATE

2019年06月号掲載

かなでももこ

Interviewer:荒金 良介

かなでももこの2ndアルバム『Rush*memorial』は、デビュー曲「赤いメモリーズをあなたに」から新曲「Sun of your life」まで、彼女の5年半にわたる音楽の軌跡を凝縮したスペシャルな内容になっている。前作『Lush*energy』は"かなでももこROCK PROJECT"の楽曲が多く収録されていたが、今作はメタルやバラード、王道でポップな曲から和テイストやラップまで披露し、彼女の幅広くも奥深い音楽的キャパシティを感じさせる、バリエーションに富む楽曲がずらりと並ぶ。改めて今作に収められた楽曲を振り返りながら、よりメッセージ色を強めた歌詞に込めた思いについて、かなでももこ本人に話を訊いた。

-今作『Rush*memorial』は、前作『Lush*energy』(2017年リリースの1stアルバム)を引き継ぎながらもパワーアップした作品とホームページの説明にありましたけど、かなでさん的にはどんな位置づけの作品なのですか?

2枚のアルバムが合わさって、かなでももこの歴史が完成するというテーマで制作してたんですよ。前作に続いて真ん中にお花のマークも入っているので、2枚で対になるタイトルにしようと思って。"Lush*energy"は青々とした、勢いがあるという意味合いがあったんですよ。それと、前作はLで始まり、今回はRで始まるので、LとRでヘッドホンみたいだなぁという面白さもあり、"Rush*memorial"というタイトルになりました。

-前作は"ロック・プロジェクト"の楽曲を多く収録してましたよね?

そうですね。前作はロックに特化した内容だったけど、今回は様々な楽曲を入れた1枚という意味で"memorial"という言葉を入れました。

-今作はデビュー曲(「赤いメモリーズをあなたに」)から最新ナンバー(「Sun of your life」)まで網羅した内容で、5年半の音楽活動を総括したものですよね。

そうなんです。いろんな楽曲が入っているので、この1枚だけで日本一周、いや、世界一周ぐらいあっちこっちに行ってますね(笑)。やっぱり1枚の中にデビュー曲と最新曲が収録されているので、ファンの方が聴いてくださっても、"あのライヴで初めてあの曲を聴いたなぁ"とかいろいろ思い出してもらえるかなと。逆に今回初めて曲に触れた人は、これだけいろんなジャンルの曲があるので、その人のいろんな場面に寄り添える曲が入っていると思うから、それはそれで楽しんでもらえると思います。

-一曲一曲個性豊かな曲調が揃っていますけど、1枚通して聴くと、とっ散らかった印象はなかったです。

ギリギリのラインでそれは曲順のおかげもあるのかなと思います。単品で聴くと、「革命のヴァンガード」みたいなロックな曲もあるし、「サスライの美学」はかわいらしくて、歌詞の中でも"にゃー"と言っちゃってますからね(笑)。この2曲が並んでいたら、ちぐはぐ感もあるかもしれないけど......私自身の5年半の間の成長や変化のひとつとして、曲順でフォローがうまくできたのかなと思っています。

-改めて自分で聴いて、何か思うところはあります?

初めてレコーディングしたのが「Can you save my heart?」なんですけど、初々しさは感じますね。でももう一度録り直したいかというと、わりとそうでもなくて。今とは違うビブラートや息継ぎがあっても、好きだなと思えました。ただ、「Dream on Dreamer」はYOFFY(サイキックラバー/Project.R)さんが楽曲提供してくれたんですけど......かなで節と言われる、松田聖子さんのように語尾がクイッと上がるところを、あえてなくそうとチャレンジした曲だったんですよ。

-そうなんですね。

今は声の出し加減も調整できるけど、当時はできなくて、レコーディングのときもうまくできなかったんです。でもその頃の自分も許せるというか、そういう思い出のある1曲が最新曲と一緒に入っているのが感慨深いなと。

-今回の曲順に関してはかなでさんも意見は言ったんですか?

「革命のヴァンガード」は作詞もさせていただいたんですけど、そこには5年半の間音楽活動をやってきた等身大の自分が出ていると思うので、アルバムの始まりはこの曲にしたいなと伝えました。

-等身大の自分というと?

初めて自分をテーマに作詞したのが「流れ月」なんですけど、この頃はファンのみなさまとの距離感に戸惑っていて、自分がどう振る舞えばみんなを元気づけられるのかっていうのが、まだわからなくて。私は歌が好き、歌を届けたいというスタンスだったんですよ。どちらかと言えば閉鎖的で、嬉しいはずのステージなのに何かを背負ってるように哀愁を漂わせている自分がいました。それを取り繕うことなく表現したのが「流れ月」なんです。そして、「DAYBREAKER」が次に自分のことを書いた曲なんですけど、"みんなと一緒に行くぞ!"という感じに距離感が縮まったんですよ。自分が相手を照らせるようになりたい。そういうふうに少しポジティヴになれたんです。

-それは大きな前進ですよね。

それから「革命のヴァンガード」では、"みんなを引き連れていくぞ!"というところまで歌詞が成長したというか、自分の中から出てくる言葉のチョイスも変わってきたなと思います。だけど、どこか自分らしさも残ってて、"私が司令官だ。お前はあっちだ!"というタイプではなく、みんなと横並びになって城に攻め込むみたいな。

-はははは(笑)。とてもわかりやすいです。

今回はそのキーとなる3曲が入ってて、それが5年半の間の成長を表しているのかなって。「革命のヴァンガード」は強そうな楽曲だけど、"一緒に行こう!"という感じが自分らしくて気に入ってます。

-この5年半の間で成長できたのは、ライヴの存在が大きいんですかね?

そうですね。ライヴを重ねるなかで、生演奏でライヴをしたり、いろんな会場でさせてもらったりしたので、そこで感じたことや見てきたものがあり、変化できたのかなと。あと、アニメの世界観を歌うデビュー曲の「赤いメモリーズをあなたに」(※TVアニメ"革命機ヴァルヴレイヴ"4thエンディング・テーマ)から始まり、「革命のヴァンガード」では自分のことを歌わせてもらっているので......アニメの作品から始まり、次第に自分のことを歌うようになったから、それで意識が変化したところもあるのかなとも思います。

-この5年半の間の音楽制作やライヴ活動を通して、自信がついてきた部分もありますか?

う~ん、根がネガティヴなので、"私に会いにきなさい!"とか言えるタイプではないけど、5年半もついてきてくれるファンがいて、会いに来てくれる人を目の当たりにすると、自分ができることをしっかり返していきたいなと思います。少なからず活動のおかげでポジティヴになれたのは間違いないですね。