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INTERVIEW

CHOKE

2019.04.04UPDATE

2019年04月号掲載

CHOKE

Member:REON(Vo) KVYA NONO(Gt) B5(Ba) TOSSY(Dr)

Interviewer:オザキ ケイト

その複雑な音楽性ゆえに"もっとわかりやすくした方がいい"という意見を貰うことも多いというCHOKE。それは彼らがヴィジュアル系というシーンにいるからだろう。しかし、ヴィジュアル系というジャンルは音楽性を指すものでないことも事実であり、このジャンルに彼らがいることがヴィジュアル系の面白さでもある。メタル、ミクスチャー、HIPHOPへの愛と敬意を込め、決して過去のブームの焼き直しをするわけでなく、矜持を持ってヴィジュアル系のシーンで現代のラップ・メタルを鳴らすCHOKEが、およそ2年半を費やして制作した渾身の2ndアルバムを引っ提げ、激ロックに初登場する。

-激ロック初登場ということで、結成の経緯を教えてください。

NONO:僕とB5は10年以上の付き合いで、ずっと彼からメタルの布教をされていたんですけど、僕自身それまで洋楽はMariah CareyやBritney Spearsくらいでメタルは全然聴いてこなかったので、当時は"このジャンルはわからないなぁ"と思って聴いてました(笑)。

-そこから何があってこの音楽をやるまでになったか、俄然気になります。

NONO:最初はメロデスが聴きやすかったのでそこから入って、来日公演やフェスに行くようになってすぐDjent、メタルコアと聴いていって。そこからは早かったですね。どっぷりハマって8弦ギターを買って、気がついたら作る曲には必ずDjentの要素が入るようになってましたね。自分が音楽を提示していくうえで"Djent"は必要不可欠な要素になっていたので、自分が懸けられるバンドはDjentの要素があるバンドがいいな、と。

-そこにラップを乗せるというアイディアはどこで思いついたのでしょう?

NONO:REONが前やっていたバンドのライヴを見に行って、そこで彼が8小節だけラップをしているのを見てノリがすごくてグッときて。REONとならラップ・メタルのかっこいいバンドを作れるかもしれないと思って声を掛けました。不思議な話なんですが、その会場に向かう途中にスマホで聴いてた曲がUKのラップ・メタル・バンドだったんです。運命ですね。

-TOSSYさんに関してはいかがですか?

TOSSY:僕が前にやってたバンドをやめるタイミングで、面識もなかったNONOから"メタルをやりたい"とメッセージを貰って。

NONO:自分のギターのメンテをしてくれるリペアマンの薦めでとあるドラマーに声を掛けたかったんですが、その人をSNSで探してる過程でTOSSYを見つけたんでなんとなく連絡してみたら家が近所だったんですよ。すぐ飲み行きました。これも運命ですね(笑)。

TOSSY:僕の青春はKORNの2nd(『Life Is Peachy』)と3rd(『Follow The Leader』)、SLIPKNOTの1st(『Slipknot』)、ARCH ENEMYのJohan Liiva(Vo)の時代で、当時のブームもあってミクスチャー・バンドをやりたかったんですけど、ドラム的に自分はこうはなれないと思い込んで諦めてたんですね。そこに自分が諦めてた音楽性のバンドの話が来たので、ここでやらないと一生できないと思って、腰を据えてこの音楽をやろう、と。

-ヴィジュアル系でラップ・メタルやDjentをやってるバンドは少ないですし、このシーンでこの音楽をやるというのは、世間的に定まりつつあるヴィジュアル系の型よりも、自分たちがやりたい音楽をやるというところが大きいのでしょうか?

B5:僕の影響でメタルにハマったNONOが"こういうバンドをやりたい"と始めたんですけど、実は僕がこのバンドで最後に決まったメンバーなのは、そこが関係していて。正直な話、このシーンでこの音楽をやって実りがあるか疑問だったんです。

-なるほど。

B5:それもあって始めは断ったりしてたんですけど、最終的にはジャンルはどうであれ好きな音楽がやれるならと、自分なりに納得して今の形に落ち着きました。

REON:僕は逆にヴィジュアル系でこの音楽をやることに魅力を感じました。というのも、2000年代にbaroque(現:BAROQUE)がヴィジュアル系にミクスチャーを持ち込んでジャンル内に自由度が広がったあの時代の感覚が好きで、何をやってもいいのがヴィジュアル系のいいところでもあると思うし、その中でこのバンドなら音楽的なバックボーンやルーツやスキルを最大限に表現できると思ったので、フィールドはヴィジュアル系でしか考えてなかったです。

-REONさんにはもともとラップの素養はあったんですか?

REON:世代的にミクスチャーが流行っていたので、山嵐やUZUMAKI(現:UZMK) 、YKZ、SMORGASとかを聴いてましたし、同時にHIPHOPも売れてた時代なので、ZEEBRAやKICK THE CAN CREWも聴いていて、ラップ自体は好きでした。

NONO:でも、サイファーとかしだしたのはCHOKE結成が決まってからだよね?

REON:そうだね。"ヴィジュアル系が片手間でラップっぽいことしてる"っていうふうに見られたくないというのはありました。いちラッパーとしてバンドをやっているような音の感じをイメージしていて、そのためにはライヴハウスだけでなくストリートでの経験が絶対必要だと思ったので、スピーカーを買って夜な夜な公園でフリースタイルをしたりして。

-そうだったんですね!

REON:すると、ちょうど日本でもフリースタイル・ラップ・バトルが流行ってきた時期だったのもあって、人が集まってきてサイファーをしたりするなかで仲間ができて、いろいろ教えてもらったりしてスキルを磨いて、ようやく自分の言葉で韻を踏みながらラッパーとしての表現ができ始めたかなと感じてます。

-バンドマンがラップをやるというより、ラッパーがバンドをやってるイメージなんですね。

REON:理想はLINKIN PARKとJAY-Zがコラボした「Collision Course」です。

-それでは『CHOKE2』のお話をうかがいます。まずは制作に約2年半かかりました。

NONO:かかりすぎましたね! 新しいことにチャレンジしすぎたり、曲を再構成、再々構成しすぎました。反省してます。

REON:他にないことをやっているので、僕達も初めてのことばかりなんです。これまでの経験や技術に頼れないぶん時間はかかりましたけど、最終的にできて良かったな、と(笑)。

-できない心配があったんですね(笑)。

TOSSY:今回はドラム録りもセルフで行って、編集も初めてセルフで行ったんですけど、6曲で50時間という途方もない時間がかかりました。

-2年間制作をするなかで、バンドとして当時の旬と変わってきてしまうことはありませんでしたか?

NONO:めちゃくちゃありました。制作の途中にハードコアのフェスに遊びに行ってしまって、そこでハードコアの空気感に魅了されて、このテイストを入れたいなと思ったので、途中でアレンジを何回も変えたりもしましたし、僕らみたいなバンドはいろいろ言われるのでそのたびに考えすぎちゃって、時間もさらにかかるっていう悪循環(笑)。

-それは、CHOKEの音楽性が複雑すぎるために"もっとわかりやすい音楽にしろ"という意見ですか?

NONO:そうです。これでも前向きに意見を聞いて取り掛かるんですよ。でも考えて考えて1周すると、それってとても当たり前の意見であって、俺たちが一番なりたくなかったバンドじゃんって。だから今こういうスタイルでやってる、というところに行き着いてしまうんですよね。

-そういう意見への答えとして"ならばもっと複雑な音楽を"と作られたのが「Fuck It」ですね。

NONO:そう言いたくなる気持ちはわかります。たぶん僕自身も言うと思う。だからこそCHOKEを始めた意味を見つめ直してしまって。

-ただ、展開はもちろん複雑ですけど、曲はキャッチーに聴こえますよね。

REON:そこは意図的にそういうラップにしたというのはあります。曲によって歌詞の書き方の比率があるんですけど、この曲に関しては怒りの感情を具体的なわかりやすい言葉を使ってハードコア然とした歌詞をバンドマン100パーセントの比率で書きました。

B5:表面上はめまぐるしいですけど、1枚めくるとキャッチーなんです。

REON:言葉の削ぎ落としは勇気がいることだったんですけど、それを怖がらずにできたことによって新しい自分に出会えたと思っています。

-「Fuck It」のラップがバンドマン100パーセントだとすると、「VORTEX」のラップはラッパー100パーセントのラップですか?

REON:そうですね。この曲に関しては前作(2017年リリースの1stアルバム『CHOKE1』)の流れを引き継いでいるので、当初の自分の思い描いていた理想を落とし込めてるラップだと思います。