INTERVIEW
CHOKE
2019.04.04UPDATE
2019年04月号掲載
Member:REON(Vo) KVYA NONO(Gt) B5(Ba) TOSSY(Dr)
Interviewer:オザキ ケイト
-そういったラップ・メタルやジェントの要素がある楽曲ももちろん多いんですが、「Cradles Puppet」では近年の流行でもあるトラップ・ビートを使うなど、新しい要素も見受けられます。
NONO:僕はUSのラップが好きで、中でもトラップが好きなのもあって、日本のバンドがこういうセクションで鳴らすであろうという予想を裏切るトラックを乗せたくて持ってきました。だてにUSラップ聴きまくってないんで。
B5:僕はニューメタルやミクスチャー全盛期が青春真っ只中だったんですけど、この曲のここだけ急に最近のトラックでUSの雰囲気がぶち込まれてて、もちろん当時はこんなバンドいなかったので、この新しさに熱くなりましたね。
-現代的にブラッシュアップされてる印象を受けました。
B5:「VORTEX」も「Cradles Puppet」もですけど、当時の音楽を焼き直しするのではなく、今の時代でやるならどうするかという形を自分たちなりにやりたくて、それは見事に表現できたと思ってます。
-きれいなアルペジオから始まる「Smoke In Me」は壮大なスケール感がありますが、これもCHOKEにとっては新境地かと思います。
NONO:あのアルペジオ含め、僕がCHOKE以前にやってきた音楽を引き継いでいるのはこの曲のイントロのような気がしますね。その中でCHOKEをやっている意味を持たせるためにも、ツーバスやギターの刻みでCHOKEらしさを出しつつ、"周りが言ってるキャッチーさとか売れ線とかってきっとこういうことなんだろう"と貰った意見をばっさり切るのではなく、うまく昇華する姿勢を見せられた曲だと思っています。
-この曲はラップも他の曲とは違って、明確な対象に向けて歌われていますよね。
REON:「Fuck It」の歌詞ができて、言葉の削ぎ落としに抵抗がなくなったことで、実際に僕が経験した様々な別れを歌詞にして遺すために、怒りではない別のベクトルで言葉を削ぎ落として書きました。
-お話を聞いていると、このレコーディングの中で新しいスタイルを吸収していったように感じます。
REON:CHOKE=ラップというこだわりが僕の中で強すぎるが故に、バンド的/音楽的な自分の視野が狭くなっていることに気づいて、それがたまらなく嫌だったんです。それを削いで柔軟に新しいスタイルを吸収することで成長できたと感じてます。こだわらないことにこだわるというか、いい意味でこだわらないフリーな部分を設けつつ自分の芯は曲げないでいると、バンドに対していい向き合い方をして進んでいけるなと最近思えるようになりました。
-また、この音源は様々なコラボレーションが詰まっていますよね。
NONO:DJ YUTOさんに関しては単に僕がファンだったんですけど、USのHIPHOPを掘ってるうちにクラブ・ミュージックを通って、DJ QBERTを通って、そしてDJ YUTOさんに行き着きました。リミックスをメンバーに提案したら面白がってくれて、ダメ元でオファーしたら快諾していただけて、コラボに至りました。
-大阪の親交の深いバンドマンで形成された"通天閣サイファー"に関しては?
REON:勝手にそう呼んでるだけなんですけど、ラッパーはひとりもいないし、ラップは好きだけどみんなラップが下手です(笑)。でも、それでいいとも思ってて。
-そういう横の繋がりを大事にするのはHIPHOPらしいですよね。
REON:かなり深いところまでいけた仲だし、僕たちが大阪に行く理由にもなったし、大阪を好きになれた理由でもあるので、こんなゆるい曲ですけど、そういう仲間を自慢したいという意図も込められています。
-そして、ジャケットをHIDEO GOTOさんが手掛けられてます。
B5:僕自身アートに詳しくはないんですけど、普段僕がよく行くお店でGOTOさんが描いたそのお店の店員さんの似顔絵を見てピンときて、そこから頭の片隅で"何かあったらデザインをお願いしたい"と思っていたんです。それでこのジャケットの話になったときに、僕が提案したらメンバーも乗ってくれたので、コンタクトを取って実現しました。なので、DJ YUTOさん同様に僕が好きだったというシンプルな理由です。
-基本的には好きを具現化したコラボレーションなんですね。
NONO:最近のジャケットってスタイリッシュなものが多いじゃないですか。でも僕たちはこういう性格なので、そういうのより泥臭い方が好きで、それをGOTOさんが表現してるなと思ったんです。ちょっとこの感じ懐かしくないですか? ハイスタとか思い出しちゃう。
B5:おそらく誰とも被らないし、飾ってかっこいいやつがいいじゃないですか。
-NONOさんはTwitterで"CDが売れない時代だからこそCDに詰まってる夢を大事にしたい"ということを仰ってましたよね。
NONO:自分たちが欲しいものや作りたいものを作るという、いい感じの自己満足が詰まってます。
B5:シンプルに自分達が気に入ったものを作れないと人に勧められないと思うんですよね。
-好きと夢とこだわりが詰まった1枚ということですね。
B5:僕が思い描いている理想の大半はぶち込めたと思っています。アートワークから曲順から音圧から、自分の中にある基準はすべて超えられましたし、自信を持って誰にでも勧められるので聴いてほしいと思います。聴いてくれないならそのぶん僕が聴きますけど。
一同:(笑)
-最後に読者にメッセージをお願いします。
REON:Fuck You!!
TOSSY:CHOKEとしてメディアに出るのは初めてで、たくさんお話させていただいたので、これを読んでいただいた方には1回は音源を聴いてみてほしいです。
NONO:ここまでヴィジュアル系だのメタルコアだのDjentだの言っておいてアレなんですが、ジャンルで括ったりするのってもう古いと思ってて、もっとクロスオーバーしていいと思っているし、お客さんはすでにそういう気持ちでいると思っています。なので、先入観をなくしていきたいし、そういう時代のちょうどいい位置にCHOKEがいることを今後の活動で示していきたいです。例えば、5月の主催ライヴのメンツを見てもらえたらわかると思いますが、積極的にクロスオーバーを狙ったメンツになってます。こういうことを定期的にやっていきたいですね。
B5:2000年代前後のラップ・メタルを聴いてた人には懐かしく、知らなかった人には新鮮に聴こえると思うし、過去の焼き直しをしてるわけでもなければ、ただ流行だけを取り入れてるわけでもないCHOKEなりのミクスチャーを提示できてると思うので、聴いてみてほしいです。
REON:聴いてくれなかったら?
B5:僕が聴きます!