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INTERVIEW

椎名ひかり × ゆよゆっぺ

2018.11.20UPDATE

椎名ひかり × ゆよゆっぺ

"椎名ぴかりん"が、10月31日の主催ライヴ"Halloween Party Orchestra"にて緊急記者会見を行い、本名"椎名ひかり"で音楽活動を行うことを突如発表。11月20日に椎名ひかり名義でのニュー・シングル『不完全な僕と完成された社会』をリリースした。激ロックでは、椎名ひかりと本作の収録曲「キミガノゾムナラ...」の作曲/編曲を手掛けたゆよゆっぺとの対談を敢行。等身大の椎名ひかりを表現したいと語る彼女と、そんな彼女を"RPGのラスボスの第2形態"と表現するゆよゆっぺに、改名に向けた想い、新曲とその制作について話を訊いた。

椎名ひかり ゆよゆっぺ
インタビュアー:宮﨑 大樹 Photo by RIO NAKAMURA


RPGのラスボスを倒したと思ったら第2形態が出てきた(ゆよゆっぺ)


-今作『不完全な僕と完成された社会』は、"椎名ぴかりん"ではなく"椎名ひかり"名義でのリリースとなります。対談ではありますが、まずはこの経緯を聞かせていただけますか?

椎名:音楽を通してもっとひかりの世界観を表現したくなったから......魔界もそうなんですけど、"ぴかりん"って付いていると、"キャラを作っているのかな"って人間界の方に思われがちなんですよ。あくまで椎名ひかりが"椎名ぴかりん"を作り出しているだけで、その椎名ひかりの世界観を表現したくなって名前を本名にさせていただきました。雑誌"Popteen"や、最近は"小悪魔ageha"でモデルもやっていたんですけど、モデルもぴかりんも、デスボもロリボも、すべてが椎名ひかりであって、本質の椎名ひかりを表現していきたくなったんです。より本質に近くなるだけで特に今までの何かが終わるとかではなくて、現実を見せるというよりは、夢は死ぬまで見せていきたいし、裏切らないでいきたいなとは思っていますね。

-"魔界"や"噛み対応"といった"椎名ぴかりん"ならではの要素は封印するんですか?

椎名:義務ではなくやっていきたいなと思います。"椎名ひかり"がやることによってキャラがやるのではなくなるのかなと。

-"椎名ひかり"本人としてのパフォーマンスになるということですね。ちなみに、ゆよゆっぺさんは、"椎名ぴかりん"のライヴなどは観たことがありましたか?

ゆよゆっぺ:動画サイトでライヴ映像などは観たことがありました。以前に友達の八王子Pが楽曲を提供していたときの映像を観たんですけど、今回の楽曲提供が決まって久しぶりに映像を観たら"ここまで人って変わるものなんだ"と(笑)。ものすごくアーティストになっていてビックリしたところはありました。

-最近のライヴ映像を観ていかがでした?

ゆよゆっぺ:めっちゃ強そうでした(笑)。

椎名:怪獣さんみたい(笑)?

ゆよゆっぺ:今回は"椎名ぴかりん"から"椎名ひかり"に変わるという話でしたけど、RPGのラスボスを倒したと思ったら第2形態が出てきた、みたいな感覚があって。人間性をひっくるめて、本当の意味で、アーティストとしての椎名ひかりが出てきたんだなというイメージが僕にはありました。

椎名:おぉー、アリガタキ。

-ちなみに今後"椎名ぴかりん"としての活動や、過去楽曲の披露についてはどうなるんですか?

椎名:基本的には"椎名ぴかりん"として音楽を通して活動することはないです。過去楽曲については"椎名ひかり"としてやらせていただきます。そこまで変わることはないとは思いますね。

ゆよゆっぺ:考え方とか気持ちの面での変化というか、もっと自分を出すみたいな?

椎名:そうですね。より本質の私でいきたいなとは思っているので、いい意味でも悪い意味でも"ぴかりん"で許されていたことが許されなくなるかもしれないし、逆に"ぴかりん"が言っても刺さっていなかった言葉が、"椎名ひかり"なら刺さることもあるかもしれないです。歌詞も自分で作詞しているんですけど、リアル感というか重みみたいなものを出したので、より伝わればいいなと思いますね。

-音楽性としては軸がぶれていなくて、歌詞としては椎名さんの中身を見ているような感覚になりました。

椎名:アリガタキ。アイドルのファンの方からすると、アイドルが書いたとは思えない歌詞になったかもしれないですね。でも、だからといって(アイドルのファンを)否定したりとか、ファンを狭めたいとか思ったりしているわけではなく、ついてきてくれる人にはついてきてほしいと思っています。

-"モデルの椎名ひかり"としてのファンにも聴いてほしいみたいな部分もありますか?

椎名:そうですね。アイドル・シーンとかロック・シーンとかでは、沸ける現場が主流にはなっていて、ひかりもそういう現場にはしていきたいと思っているんですけど、それだけではなくて、音楽を聴きにきてくれる人が、全員地蔵というか、棒立ちで観れるくらいの情緒を出していきたいです。あとは、みんなで笑い合いたいというよりは、人間界で生きてきて出せないものを出して、心が満たされる場所にできたらいいなと思いますね。

-そういった椎名さんが表現したい内容とかって具体的にふたりで話したんですか?

ゆよゆっぺ:最初に文章で貰った依頼で"椎名ぴかりん"から"椎名ひかり"に変わる理由を知って"なるほどな、これは勉強させてもらわなくちゃ"と思ったんです。さっきの話にあったように、より本人を見てほしい、ひとりの人間として"椎名ひかり"を出していきたい、という話があったうえで、魔界についての捉え方も書いてありました。それが"人間界でみんなが感じたつらいことを私が受け止めてあげる"っていう決意を感じた文章だったんですよ。それを見て、僕の意志とか楽曲の案はいったん置いておいて、椎名さんの案やイメージを尊重して曲を書こうって決めました。

椎名:今回の「キミガノゾムナラ...」という曲に"キミ ガ 望ムナラ自我スラ殺ソウ"という歌詞があるんですけど、ゆっぺさん(ゆよゆっぺ)には"ひかりが望むなら"って自我を殺してもらった感じがありました(笑)。ボカロPさんは音楽性とかテンポを大事にするので、"万人にノってもらいたい"みたいな感じの方が多いイメージなんですけど、"気持ち悪いな"とか"全世界から見たらこうだよ"っていうところも折れていただきましたね。

ゆよゆっぺ:そうですね、自我を殺しました(笑)。でも、それによって僕自身も勉強させていただいたというか、"椎名ひかり"を受け止めつつ、"そういう考えであればこういう音楽的解釈はどうだろう"みたいに音楽を捉えていきました。

椎名:お婆様とかお爺様は、この曲が一番好きって言っていましたね。"歌詞が伝わってくる"って。ほかのアーティストさんもそうなんですけど、最近の曲ってなんて言っているのかわからない曲が多いじゃないですか。

ゆよゆっぺ:うん。すごく伝わる曲になったなと完成型を聴いて思いましたね。

椎名:大きい会場が似合う曲ですよね、この曲は小さい会場が似合わない。

ゆよゆっぺ:ね。ホールとかで聴きたいなと思う。