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INTERVIEW

D

2018.11.14UPDATE

2018年11月号掲載

D

Member:ASAGI(Vo) Ruiza(Gt) HIDE-ZOU(Gt) Tsunehito(Ba) HIROKI(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

Dが追求しているのは表面的な音のヘヴィさではなく、もっと内面の部分でのヘヴィさ


-そこは15年という長い月日が、バンドの音を根底で支えてくれている部分でもあるのかもしれませんね。ちなみに、レコーディング現場では今でもよくディスカッションをされたりするのでしょうか。あるいは、もはや言葉を介さずともなるべくして音ができあがっていくという感じなのでしょうか。

Ruiza:どっちもあります。HIDE-ZOU君とはお互いに"こう弾くだろうな"、と同じことを考えていたりすることも多いですね。

HIDE-ZOU:それぞれ、個人でフレーズは作り込んで、そのデータはDAWソフトで共有して誰がどう音を出すかやりとりするので、そういう意味ではディスカッションしていることになるんだと思います。楽曲アレンジのみの日を設けて、岡野さんを交えながらやりとりもしてますね。

Tsunehito:アレンジのときもそうですが、ASAGIさんから曲についてのアドバイスや、リフの細かいニュアンスのアドバイスなどを貰ったり、ギターの場合はRuizaさんとHIDE-ZOUさんの間で話をしたり、僕やHIROKIさんも岡野さんと確認しながら進めるなど、全員でやりとりします。

-話をうかがえばうかがうほど、Dは音楽に対して真摯でストイックなバンドであることがよくわかります。とはいえ、音楽ファンの中には未だに"ヴィジュアル系"に対する偏見が多少なりあるのも残念ながらひとつの事実でしょう。要は、"どうせヴィジュアル系なんでしょ?"という穿った見方をされがちであるというか。そこまでを踏まえたうえで、"Dにしか出せないヘヴィな音とはこういうものですよ"と、このバンドが自信を持って自負できるところはどんなところになりますか。

ASAGI :たしかに偏見はあるでしょうね。カテゴライズさせることに対してのメリット、デメリットはあると思いますが、それってどうしようもないことで。だからこそ、その中でも音で判断してくれる人のことは逆に尊敬に値しますし、魂の友とも呼べると思っています。偏見のないなかでの共感は得やすいですけど、偏見という高いハードルを飛び越えて自分の音楽の核に触れてくれる人って実はなかなかいない。だから共感してくれる人、音で判断してくれる人は本当に良き理解者として、友として感じられるというか。Dにしか出せないヘヴィな音というのは必ず意味があるもの。その音が表現する心情や映像、世界観。これでしょうね。

HIROKI:テクニカルなプレイなど、その他にもいろんな要素が詰まっていると自負できますね。サラッと聴けてしまう部分だったとしても、"すげぇことやってんな!"となるところが多々あるはずです。

-表に出ている歌メロは至って流麗である一方、その薄皮1枚下には音楽ファンにとってのお宝がざくざくと存在している、という音作りはDにとっての十八番ですものね。

Tsunehito:ただ音がヘヴィだとか、ただ○○を取り入れてみました、ということではなく、DはASAGIさんの生み出す物語やコンセプトが軸となったうえで、どの音にもすべて意味を込めながら常に作っているので、そこもこのバンドにとって、大きな強みだと思います。時間の経過とともにどんどんストーリーが進展して広がっていくというのも、自分のバンドのことですけどすごく楽しいです(笑)。

HIDE-ZOU:表面的な音のヘヴィさではなく、Dの楽曲はもっと内面の部分でのヘヴィさがあると思いますね。今作もすごく深いストーリーなので、そこを感じてもらえると思います。

Ruiza:音の背景には必ずストーリーがあり、そこをこの5人で深く表現していくという点に関しては、誰にもどこにも負けないんじゃないかと思ってます。

-ところで、Dが長年にわたって具現化し続けてきている"ヴァンパイアストーリー"についてはとても壮大なものなので、この記事によりDの存在を初めて知った方々からすると、ややとっつきにくいところもあるかと思います。ざっくりとしたあらすじを、ここで改めて解説していただけると嬉しいです。

ASAGI:そうですね、それこそ15年続いているシリーズものの小説のようなものなので、どこを入り口として知ってもらうかというところはあると思うのですが、1曲でも1作品として成り立っているので、興味を持った曲から徐々に知ってもらえると嬉しいなと思います。ざっくりとしたあらすじを言うと、国を守るために不死の秘薬を飲み、ヴァンパイアの始祖となった王 ドライツェンが、愛に目覚めて人間の女性と恋に落ちます。やがてその女性が妻となり、子を身ごもりますが、その強大な力ゆえに命を落とすのです。妻の死に嘆き、生まれた子を信頼できる狼に預けると、王は自ら太陽に焼かれ灰となるのでした。時は経ち、青年となったハーフ・ヴァンパイア(ダンピール)であるジャスティス。出会っていく仲間と共に、降り掛かる困難に立ち向かい、ついに終焉を迎えたかと思いきや、新たな問題が勃発し、今に至る......という感じですね。ものすごくざっくりですが。

-ありがとうございます。そして、この"ヴァンパイアストーリー"を表現していくうえではメンバーそれぞれにキャラクター設定がなされているところも、実にDの面白いところですよね。

ASAGI:自分たちにしか表現できないことを追求し続けた結果、メンバーの作る楽曲の色やメンバーの個性、そのようなものを物語の主人公に投影させていこうと思ったんです。その方がメンバー自身楽しめると思いましたし、それぞれのファンも楽しめるのかな、と。楽曲としてのバリエーションも増えますし、そういうのも長く続いている要因のひとつかな、と思いますね。ちなみに、僕が演じるのは、闇を司るヴァンパイアの王、ドライツェン。その王の息子である光と闇と獣を司るハーフ・ヴァンパイアのジャスティス。それから王の妹である火を司るヴァンパイア、ダリエなどです。Ruizaは水を司るヴァンパイア、キルヒアイス。HIDE-ZOUは風を司るヴァンパイア、ラファーガ。Tsunehitoは火を司るヴァンパイア、カーバンクル。HIROKIは大地を司るヴァンパイア、ウィルダネスです。

-かくして、Dは『Deadly sin』の世界と連動する"D Tour 2018 「Deadly sin」"を開催中ですが、さらに12月19日には"ヴァンパイアストーリー"を集約したベスト・アルバム『Vampire Chronicle ~V-Best Selection Vol.2~』も発表することになるのですよね。

ASAGI:「Deadly sin」はライヴ感のある曲なので、かなり盛り上がれますね。今回はメモリアルなツアーでもあるので、どんな人でも、みんなが楽しめるようなライヴにしたいです。新曲が追加されたベストはボリュームもあって豪華。そしてグランド・ファイナルの豊洲PIT(12月21日に開催する"D結成15周年 メジャー10周年Year Grand Final")では指定席の方に組曲「狂王」のプレゼントもあるのですが、かなりの大作なので楽しみにしてほしいです。ぜひ受け取りに来てほしいですし、ライヴも思いっきり楽しんでほしいです!