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INTERVIEW

DALLE

2018.08.08UPDATE

2018年08月号掲載

DALLE

Member:atsushi(Ba)

Interviewer:杉江 由紀

自分たちのライヴでは音の面でも演出の面でも、始まったその一瞬から景色をすべて変えたいんです


-では、ライヴに関してダルが強く追求しているのはどんなことになりますか。

ダルのライヴではVJの方に入っていただいて、スクリーンではなくステージの後ろ全部に幕を張って、そこに映像を映しながら演奏をしているんです。音楽と視覚の融合は、ライヴでも重視している点です。BAUHAUSがやっていたような、下から照明を当てる感じの演出もやってますし、音もほかにないくらいの規格外な爆音でやってます。自分たちのライヴでは音の面でも演出の面でも、始まったその一瞬から景色をすべて変えたいんです。

-しかしながら、爆音を目指せば目指すほど音質や音同士の干渉の具合など、実務レベルでは難しい面も多く出てきそうですね。

そうなんですけど、そこもすごくこだわってます。決してただ音がデカけりゃそれでいいっていうものではないので、ryo君のヴォーカルがちゃんと出るようなバランスでいつもやるようにしているんです。Twitterでの反応とかを見てると"あんなに爆音なのにryoさんの歌がクリアに聴こえる"と、まさに僕らの意図を汲み取ったうえでダルのライヴを楽しんでくれています。

-これは『this iz beautiful brutalizm 2016-2018』を観ていてもわかることですが、ryoさんの歌は轟音の中でもしっかりと抜けてくるところが特徴的ですね。

ダルで一緒に音を作ってくれているマニピュレーターは、いつもキックとryo君の歌を軸に音を作ってくれているんです。そして僕はベーシストですが、レコーディングした音源上ではベースはハッキリ聴こえなくてもいいと思ってます。ライヴでは重低音でガーンと攻めてますけど。でも、少なくとも音源については現段階だとそこは必要ないと思っているというか。なぜならそれは、さっきは"ゴシック・パンク"という言葉を使ったので少し意外に思われるかもしれませんけど、今のダルが意識しているのはダンス・ミュージックだからなんです。キックの音の作り方についても、EDMに近い捉え方をしています。

-80年代や90年代のニュー・ウェーヴやゴシックをルーツに持ちながらも、ダルの音が特にオールドスクールで懐かしいものになっていないのはそのためだったのですね。

そのぶん、普通のロック・バンドという括りから考えると自分の弾いているベースの音は犠牲になりがちなんですが、それでも今の自分が最も作りたい音像はキックが"ドン!"鳴って、歌が"バーン!"と抜ける"これ"なんです。

-そのような想いは、今作の"this iz beautiful brutalizm 2016-2018"というタイトルにも、どこかで反映されていそうですね。名は体を表しているように感じます。

自分の好きな言葉のひとつに、"Brutal"というものがずっとストックされていたんです。直訳的な意味合いとしては破滅的であるとか、荒々しいとか、冷酷ということを表した言葉ではありつつも、そこに対比となる"Beautiful"という単語を組み合わせることによって、その両方で構成されたひとつの世界として描きたかったんです。

-古き良きものと新しいもの。冷酷なものと美しいもの。ダルは、いずれにしても相反するふたつの要素を融合させることで成立しているバンドなのですね。

音源ではEDMを意識している一方、ライヴではメチャクチャ爆音で弾きまくっているというのも、そこはひとつの対比ですし。聴いた人によってはトラウマになりそうなくらいに暴力的な音をオーディエンスに植えつけて、思い切り楽しませたいという気持ちも相反したところかもしれません。

-そのあたりのワイルドな雰囲気は、『this iz beautiful brutalizm 2016-2018』に収録されているライヴ映像からも伝わってきますね。

ライヴ映像に関しては、ボーナス・トラック的なものとして今回は入れました。あと、最後に入っているライヴ映像の「Exit」はKILLING JOKEのカバーになってます。自分たちのルーツを、改めてここでかたちにしておきたくて入れました。このDVDを観てくれた方には、実際のライヴもぜひ観てほしいです。

-今作の発売日当日には、ちょうどライヴ(8月10日に渋谷VUENOSにて開催する"東京デスディスコNo.17")も予定されていますものね。一方で、現在のダルは次作へと向けた制作期間中でもあるとうかがっております。

ずっと集中して作っているわけではなく、期間的には飛び飛びであるんですが、今は今年の暮れに出す予定のアルバムを作ってます。

-すでに、12月15日には"2nd album release oneman party"と題されたライヴが渋谷VUENOSで行われることが決定しているようですから、どうやってもそれまでにはアルバムが出ていることになるのでしょうね。

そのつもりで今、頑張ってます(笑)。本当なら、もっと速いペースで1年に1枚くらい出したいなという希望もあるんです。でも、ダルはryo君もKoziもそれぞれ忙しいので、次はちょうど2年ぶりのアルバムを出すというかたちになりそうです。

-まだ完成していないにしろ、予告的に次作のアルバム像について今の状況を語っていただくことはできますか?

やっぱり、根底の部分にはダンス・ミュージックの色が漂っていくことになると思います。でも、今まさに作っている新曲なんかは激ロックを読んでいる方たちの好みにも、結構マッチするんじゃないですかね(笑)。テンポも速いし、Koziの弾いているギターのリフもメタリックだし、僕はKORNやDEFTONESに確実にヤられた世代なので、そういう要素も入ってきています。速くてうるさくて、だけどサビはメロウでっていう感じの音楽が好きな人たちには気に入ってもらえる曲になっていると思いますので、楽しみにしていてほしいです。

-最後に、ダルの未来を少し長めのスパンで考えたとき、atsushiさんの中では今どのようなヴィジョンが見えていらっしゃいますか。ここからのダルを、さらにどんなふうに育てていきたいとお考えでしょうか。

次のアルバムでもまだ2枚目なので、バンドとしてはまだまだやりたいことがたくさんありますし、もちろんここから3枚目、4枚目とアルバムを重ねていけるようにもなりたいです。とは言いつつ、先のことなんて良くも悪くも誰にもわかんないのも事実ですから(笑)。そこがまたバンドってスリリングでいいなと思うので、今はひたすらその時、その時にやれるベストなかたちを作品に収めていき、ライヴで提示していくようにしたいです。メンバー間もどんどん親密になってきているし、熱量も上がってきているので、僕自身もそこに期待したいんです。

-実にここからが楽しみですね。

結局、いくらキャリアのあるメンツが集まったからってバンドってすぐうまくいくわけでもないんです。ここまで2年半近く、もうすぐ3年というところでやっと歯車が滑らかに動き出してきたこの感じを、ここからはもっと生かしていこうと思います。