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INTERVIEW

the Art of Mankind

2018.01.15UPDATE

2018年01月号掲載

the Art of Mankind

Member:sawacy(Vo) Wooming(Gt)

Interviewer:増田 勇一

-最終的に辿り着いた。まるで究極の音楽に出会った、というような口ぶりですけど。

sawacy:でも実際、そんなふうにも思うんです。例えばスラッシュ・メタルだと、四天王とされる4バンドとドイツのバンドのスタイルぐらいしか許されないようなところがあるじゃないですか。でもメロデスの場合、逆にもっと幅の広さがある。いろんなものと実は混ざれるというか。それこそ打ち込みとかテクノの要素を入れても、ブラック・メタル的なアプローチをしたとしても、ちゃんとメロデスとして成立するというか。だから実はかなり発展性があって、いじりがいのある音楽だと思うんです。

Wooming:そのなかで自分の思う"これが俺たちのメロデスだ!"というのを求めていきたいわけです。それこそ、時にはメタルコアって言われたりもするんですよね。だけどそこで"ここがメタルコアとは違う"という自分なりのポイントを突いていくのが楽しいというか。もちろんメタルコアとかが嫌いなわけではないんです。ただ、あえて自分の中で区切りをつけて"これがメロディック・デス・メタルや!"というものを表現したいというのがあって。

-なるほど。しかも、周辺の様々な音楽と混ざり合った場合でも、それがメロデスとして邪道扱いされることがないという部分もあるわけですよね?

sawacy:そうなんですよ。例えばもっと王道的なスラッシュとかの場合、ちょっとチューニングが下がるだけで邪道扱いされたりする。だけどメロデスの場合、軸があるうえでのブレみたいなものが、むしろ各々の個性になってたりもするんで。

Wooming:ただ、そこで自分たちとしては、その範囲のすべてを網羅しようというわけではなくて、自分たちなりのど真ん中を追求していきたいんです。だから今回のアルバムにしても、捨て曲がない。もちろん自分から"捨て曲がある"なんて言う人はいないだろうけど(笑)。まだここには収まりきってない自分たちのポテンシャルというのは、確実にあると思ってます。

sawacy:今回、アルバムにはあえて入れなかった曲というのがあるわけですけど、それも別に曲のクオリティが劣ってるとかじゃなく、アルバムの色とはちょっと違うという理由からでしかなくて。そういう色の違った曲というのも、今後、発展させていけたらなと思うし。

Wooming:うん。来週にでも2ndアルバムを出せるくらい、曲数はあるんで(笑)。

-話は変わりますけど、ギタリストふたりのキャラクターの違いはどんなところに?

sawacy:それは俺の側から客観的に言った方がいいのかな(笑)? 何年か前まではふたりとも、まるでスタイルが違ってたんですよ。Woomingさんはビブラートに命を懸けてる感じで、Kenkawaさんの方はフル・ピッキングで駆け抜けていくスタイルで。だけど長いこと一緒にやってるうちに、だんだんお互いのスタイルが混ざり合ってきて。かなり前に一緒に作ったものとかを聴くと、どっちが弾いてるギター・ソロかというのがすぐわかったんですよ。だけど今はお互いの良さが混ざり合ってきていて、いいとこ取りみたいな感じになっていて。それがバンドとしての統一感みたいなものに繋がってたりもするんじゃないかな。

Wooming:それこそ今では、Kenkawaさんが俺より俺らしいビブラートを出すようになってたり(笑)。一時期、彼とは4バンドを一緒に並行してやってたんですよ。僕自身のプロジェクトで一緒だっただけじゃなく、僕が手伝ってる他の場でもうひとりギタリストが必要になった場合とかも。で、音源上では僕がひとりでハモってるものを一緒に弾いてもらったりしてるうちに、どんどん近づいてきて(笑)。あと僕、日本のギタリストが大好きなんですね。一番好きなのは屍忌蛇さんだし、ギターを弾くきっかけになったのはLIGHTNINGのIRON-CHINOさん。今、一番身近なところにいるのはTHOUSAND EYESのKOUTA君だし。まさにそういった日本ならではの、慟哭のギターというか。いわゆるクサメロとは、僕の中では違うんです。そういう日本人にしかできないようなギターにずっと惹かれてきたんで、Kenkawaさんに対してもその魅力というのを常に力説してきたんです。それで彼も、そういった音源をいっそう聴くようになってきて。この前、渋谷CYCLONEでVOLCANOと一緒にやったとき(2017年12月9日に開催した"SERENITY IN MURDER VS VOLCANO")、Kenkawaさんはライヴを観ながら泣いてたくらいですからね(笑)。というか、まず僕自身も自分たちの演奏中"屍忌蛇さんと一緒のステージに立ってるんだ"って、感極まって泣いてしまったんですけど(笑)。当日、ずーっと緊張してたんです。リハのとき、屍忌蛇さんはフロアにいらっしゃったんで"わっ、屍忌蛇さんに観られてる!"と思いながら弾いていて(笑)。あまりに緊張しすぎて"ちゃんと演奏しないと"ということばかり考えてしまって、素直に感慨を味わえずにいたんです。だけど自分たちの演奏が終わった瞬間、一気に感情が噴き出してきて......。

-そこで一気に涙腺のダムが決壊、みたいな。

Wooming:まさに。で、楽屋に戻ったらKenkawaさんに"あれ、泣いてるんですか?"とか言われたんだけど、そのあとでVOLCANOのライヴが始まってみたら、今度は彼の方も泣いていて。なんかもう、お互い"やってて良かったね!"みたいな(笑)。まぁ、それはともかく、メロデスが大好きであるのと同時に、そういったギタリストとしてのルーツというのも反映させていきたいし、メロデスとそういった慟哭のギターを掛け合わせられるのは、日本のバンドとしての強みでもあると思う。同じようなスタイルの海外のバンドがいたとしても、そこは真似できないはずだから。それは当然、日本のファンには響くはずのものだと思うし、海外に向けても"日本に、俺たちあり"とアピールできるものでもあると思うんで。