INTERVIEW
かなでももこ
2017.11.09UPDATE
2017年11月号掲載
Interviewer:荒金 良介
-実際に声優をやってみて、また歌に対する取り組みも変わりました?
かなり変わりましたね。声優をやると、もっと深い部分というか、その人の生い立ちみたいな部分まで感じるようになって。ゲーム・アプリ"NOeSIS"という作品はまだ10数年しか生きてない男の子と女の子が登場するんですけど、そのほんの数ヶ月のことがストーリーとして描かれていて。そこで描かれてないその子の人生まで考えるようになって、そのおかげで出てきた歌詞もたくさんありました。ゲーム・アプリ"NOeSIS 羽化"主題歌の「Damask Rose」(2016年に配信リリース)という曲を書いたときに、声優をやって良かったなと思いました。声優をやってなければ出てこなかった言葉もありましたからね。
-そうなんですね。
"退屈な時間だけ/抱きしめ眠りたい"という歌詞はそうですね。作品の中で日常がぐちゃぐちゃになって、もうやってられないよ! という学校生活を送っていたけど、そこでいろんな出会いや事件があって。渦中の主人公が寝る前に思うことは、こういうことなのかなって。いろんなシーンが頭に浮かんできて、そこでキャラクターが勝手に動いて、作詞しているような感じですね。
-漫画家がよくキャラクターに書かされる瞬間があると言いますが、それと似た感覚ですかね?
あぁ、そうですね。
-そして、今作はロック・プロジェクト5ヶ月連続配信曲と、ゲーム・アプリ"NOeSIS"関連曲を中心にした内容ですよね。まずロック・プロジェクトをやることになった理由は?
その前にリリースさせてもらった1stミニ・アルバム『KANADE』(2014年リリース)が7曲入りで、全部違うテーマだったんですよ。色でイメージを分けて、歌い方も分けていたんですけど、その中でスタッフやライヴの盛り上がりを含めて、好評だったのが紫色の「嘘のない私で」という曲だったんです。それは摩天楼オペラさんがプロデュースしてくださったロックな曲調で、自分もそういう曲が好きですから。それからドドドッとプロジェクトの話が進みました。
-今作もギターがピロピロしたメタル色の強い曲もありますもんね。ロック・プロジェクトでかなり鍛えられた部分も?
何せ、デビューして2年目ぐらいだったので、何が普通かもわからなくて。目の前のことを一生懸命やった感じですね。大変だったのは覚えているけど、実際に曲ができて、ライヴで歌うと、いい思い出に書き換えられますからね。
-ポジティヴですね。かなでさんは表現力も多彩ですけど、曲調も凝ったものが多いので、ヴォーカルは大変じゃなかったですか?
そうなんですよ! 1stミニ・アルバムのときは全部曲調が違いましたからね。「魂WAVE」はキラキラの元気いっぱいの曲だけど、その一方で「嘘のない私で」みたいな曲も入っていたから。曲ごとのチェンジも自然にできるようになったのかな。バンドの音に刺激される部分も大きいですね。音があるから、歌もちゃんと行ったり来たりできるのかなと。
-これまでの活動を集約した今作が完成したわけですが、率直な感想を教えてもらえますか?
よくできたねぇって感じです(笑)。曲たちがひとり歩きしているような感じで、子供みたいな感覚なんです。5ヶ月連続で配信した曲も、アルバムとして形にはなってなかったので、今回は盤になったことでちゃんと完成したなと思います。いままでたくさん歌ってきて良かったなぁと。
-アルバム1枚通して聴くと、また印象も変わりますか?
内容的にはちょうど1時間ぐらいなんですけど、濃密だなって。今回はロック・プロジェクトがあって、そのあとの1~2年の活動をまとめたので、ロックなアルバムになればいいなと思いました。作詞をさせていただけたのがここ1~2年ですからね。自分が書いた歌詞だと、ストレートな言い方はしてないけど、何を言いたいのか、自分が一番よく分かってますからね。歌詞の重みが変わるというか、感情が入りすぎちゃって、ライヴでもCDと違うなと思うこともあります。いただいた歌詞に関しては、自分なりに読み解いて気持ちを乗せているので、いい意味で安定してるんですよ。でも自分で書いた歌詞はその日のライヴによって、感情が変わるんですよね。だから、安定しないんですよ(笑)。
-今作の中で特に大変だった曲というと?
新録は「Introduction of Daybreak」、「DAYBREAKER」の2曲だけで、ゲーム・アプリ"NOeSIS"の曲はわりと最近なんですけど、2年前にレコーディングした曲もあります。大変だったのは「胎動」ですね。「Downfall flowers」はYOUさん(ex-GACKT JOB/Gt)が作曲してくれて、「胎動」で初めてプロデュースしてもらったんですけど、いただいたデモのシンセのメロディが低いと思って。キーを上げたいとお話したんですけど、実際のレコーディングでは1オクターブ上だったんですよ。まだデモをもらって歌うことに慣れてなかったこともあって、ビックリしちゃって。それでもできたから良かったんですけど......大変でした。