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INTERVIEW

IN THIS MOMENT

2017.08.03UPDATE

2017年08月号掲載

IN THIS MOMENT

Member:Maria Brink(Vo)

Interviewer:山本 真由

美と才能を兼ね備えたフロント・ウーマン、Maria Brink率いるメタル・バンド IN THIS MOMENT。昨年、VAMPS主催の"VAMPS LIVE 2016"で5年ぶりの来日を果たした彼女たちが、ニュー・アルバム『Ritual』をリリースした。神秘的でスピリチュアルなものにインスピレーションを受けた今作で、表面的な強さではない内に秘めたパワーを表現したMariaの歌唱は、これまでにないほどナチュラルで奥深い。そういったアルバムの世界観や、楽曲に影響を与えたものと彼女の心情について、Maria本人に詳しく語ってもらった。

-ニュー・アルバム『Ritual』の完成、おめでとうございます。今作は、ヘヴィ・ロック・シーンの名門Roadrunner Recordsからのリリースとなりますが、制作環境などに変化はありましたか?

今回はAtlantic(Records)とRoadrunner両方からのリリースなの。でも、スタジオ作業やクリエイティヴに関して言えば何の変化もなかったわ。みんなとても協力的で、私たちがクリエイティヴなヴィジョンを持ち続けるための手助けをしてくれているの。変化というか強化された感じね。

-また、ドラマーが5年近く共に活動したTom Haneから、昨年新加入のKent Diimmelに変わりましたが、彼はどのような経緯で選ばれたのでしょうか?

彼は最高よ! 人柄も素晴らしいし、ショーマンシップもしっかりしているし、それにハンサムだから女の子ファンにも人気があるのよ(笑)。これ以上のドラマーは見つからないと言ってもいいくらいよ。バンドの一員になってくれて本当に感謝しているわ。私は知らなかったけど、彼はもともとメンバーの友達だったのよ。それで入ることになった感じね。前から私たちの音楽を気に入ってくれていたみたい。だからお試しで叩いてもらったときもすごく喜んでくれていたわ。

-Kentは今作のレコーディングにも参加しているのですか?

うーん、少しは参加してくれたけど、曲作りはやっていないのよ。まだメンバーとしては新米だしね。もう少し長い間在籍して、"お務めを果たして"からじゃないとね(笑)! でも今のところ最高よ!

-今作も前作リリースから約2年半と、これまでどおりコンスタントにアルバムをリリースし続けているIN THIS MOMENTですが、制作に困難やスランプを感じたことはあるのでしょうか?

まぁ、この世界では、みんなだいたい2年に1回くらいはアルバムを出そうとするわよね。音楽業界で一番お金がかかるのはライヴやツアーなのよ。だから、そのライヴをそのときの音に関係あるものにしておくことが、金銭的にもサヴァイヴしていくための手段になるということ。もちろんそれは簡単なことではないけど、いつもクリエイティヴでいられるように努めているわ。自分が何を歌いたいのか、どんなものを守っていきたいのかをいつも考えているの。自分にインスピレーションを与えてくれるものを身の周りから見つけるようにしているわ。ストーリーボードみたいなものが頭の中にあるような感じよね。ほら、学校でプレゼンするときとか、言いたいことを色で強調したりするでしょ? 自分がヴィジュアルで再現したいものとか、どんな楽器でその音を作りたいのかとか、そういうのを思い描いていくの。実際に曲作りに入る前にイメージができているわね。

-なるほど。曲を作っていないときでもメモ帳を持ち歩いたり、思いついたフレーズを録音したりしているのでしょうか。

携帯電話を駆使しているわ。ノートパッドのアプリがあってね。フォルダもいっぱいあるわ。それからマイクがついているから、例えば公園なんかにいるときに頭の中にメロディが浮かんだら、すぐに電話に向かって吹き込むようにしているの。

-ということは、クリエイティヴなプロセスは曲作りのときだけでなく、ある意味四六時中そうだと言えるんですね。

そうなの。いつでも進行中よ。

-ところで今作は、あなたのパーソナルな体験にインスパイアされたテーマとなっているようですが、それについて詳しく教えていただけますか?

まぁ、私の音楽活動はみんなパーソナルな体験に基づいているものだけどね。というのも、自分が歌うものを信じていないと歌えないと思うから。歌うものに対して情熱を持っていないといけないし、自分にとって意味のあるものでないといけないと思うの。いつも自分にとって真実であること、自分にとって何かしら意味を持つことを歌にするようにしているわ。今回はサウンド的に削ぎ落としたことによって、より親密な内容になったと思う。私のスピリチュアルに近い面が出ているんじゃないかしら。もし私がひとりで森の奥に入っていって、インターネットや人との付き合いも断ったとしたら、自分の中にどんな人物を見いだすか。そんな感じの内容なの。

-あなたがセイラム(マサチューセッツ州)にご家族で行ったときの経験が元になっているという話をちらっと耳にしたのですが。

さっきの話になるけど、私はインスピレーションを受けるのが大好きなの。スピリチュアルなものもね。セイラムには昔からインスピレーションを受けてきたわ。魔女裁判の話(※1692年にセイラム近郊で起こった実話。200人近くが魔女として告発され、19人が処刑された)とかね。私の家からもそう遠くないから行ってみたいなと思って、家族の女メンバーと、親友のひとりと連れ立って行ったのよ。その日は満月でね、すごくクールで美しかったわ。そこには、インスピレーションを得てみんなと絆を深めて、現地のエネルギーとコネクトするために行ったんだけどね。実際インスピレーションを得ることができたし、ステキな経験だったわ。

-たしか海の近くじゃなかったでしたっけ。

そう。ニューヨークからもそう離れていないのよ。小さな家がいっぱい並んでいて、何もかもきれいなところなの。建築様式が素晴らしいわ。

-古き良きニューイングランド(ボストン周りの地方のこと)の雰囲気が残っていますよね。

そうなのよ~。大好きだわ。