－あと、和の要素を押し出した「恋華火」（Track.3）もやりたかったことですか？

そうなんです。私は和モノやV系も好きなので、女性らしさを出すという意味でも、キタエリの今の年相応な雰囲気を感じてもらいたくて、こういう曲もやりたいなと。歌詞も"これどうですか？"と提案したら、スッと通ったんですよ（笑）。いままではあまり作詞するチャンスがなくて、トムス・ミュージックからも自分の言葉で書けるなら、その方がいいと思いますと言っていただけたので。

－"ルルルリララ ルリリララ"（「恋華火」）の歌詞も喜多村さんらしいし、今作は5曲中3曲で喜多村さんが歌詞を書いてますからね。

ホルモンさんもそうですけど、そのアーティストさんならではの言葉のチョイスってあるじゃないですか。それに憧れもあったから。

－自分のエゴも出しつつ、喜多村さんはセルフ・プロデュースも好き？

何をやるにも俯瞰で見てる自分がいるんですよ。自分のことをファン心理で見ているところはありますね。こう見せられたらグッとくる、ここは小出しにしてほしいとか（笑）、そこは考えます。だから、どんどんアイディアが出てくるんでしょうね。ある意味、操り人間みたいな。

－今回のMV曲（「Revolution【re:i】」）も強い意志（黒）と人形のような美しさ（白）がテーマになってますもんね。

あっ、そうですね（笑）。自分のことがめちゃくちゃ嫌いだから、好きになるためにはどうすればいいのかなって、考えちゃうんですよ。それで自分を追い込まないと、不安になるんです。誉められ慣れてないというか。誉められて、素直に感謝する気持ちはあるんですけど、あざーす！ って返しちゃうみたいな。普段、声優で何者かに歩み寄る作業をしすぎてしまって......自分の個性も演じるみたいになってるかもしれない。ウソではないけど、演じるスイッチがないと、大丈夫かな？ と思っちゃうんですよ。だから、どうやったらドヤ顔ができるかなと思って、もうひとりの自分が考えちゃうんでしょうね。

－わかりました。とにかく、今作は全曲振り切ってるところが最高です。

そうなんですよ。全部やるぞ！ って。かっこいい曲、かわいい曲、どっちも好きだから、どっちかに絞るのも嫌なんです。いままでは自分の武器はひとつしかなくて、これでやっていくしかないと思っていたんですけど。あるときにエンディング・クレジットを見るまで喜多村さんとわからなかったと言われたことがあって。それも喜多村さんの武器じゃないですか？ と言われて......今回はさらに振り切ることができました。私、菓子パンが大好きなんですけど、ずっと食べてると、ご飯も食べたくなって。

－急に何ですか（笑）。

それと同じで、今回は1曲目（「Revolution【re:i】」）でダークなシンフォニック・メタルが来るけど、それからいろんなパターンの曲が来て、これもいいじゃん！ って。で、また1曲目を聴きたいと思ってもらえる曲順にしようと。まさにライヴ感のある作品に仕上がったなと。

－たしかに。ライヴでこの曲順どおりにやってもまったく違和感ないです。

そうなんですよ。あとは（インタビュー原稿を）うまくまとめてー！ いつもごめんなさい（笑）。