INTERVIEW
Alphoenix
2017.03.22UPDATE
2017年03月号掲載
Member:Thor(Vo) Shimpei(Gt/Vo) Yuki(Gt) Bitoku(Ba)
Interviewer:荒金 良介
-今回はメロデスをやろうという意識はどこまでありました?
Bitoku:メロディは重要だと思うけど、その先がメロデスにカテゴライズされるかどうかはあまり考えなかったですね。
Shimpei:音楽的に明確な意図を持って作ったのは、インストの「The Final Crusade」(Track.1)と、最後の「Reincarnation」(Track.11)だけなんですよ。メロディもまったく同じなんですけど、この2曲はメロデスと言って差し支えないものじゃないかと。「The Final Crusade」はアコースティック・ギターで始めようと思ってました。
-それはなぜですか?
Shimpei:今作の音楽スタイルを志すうえで、アコースティック・ギターを使った曲が多くて。IN FLAMESの『Whoracle』(1997年リリースの3rdアルバム)、『Colony』(1999年リリースの4thアルバム)、日本のVOLCANOの『Violent』(2000年リリースの1stアルバム)とか、どれもトラディショナル・ソングみたいなメロディがあって。自分が多感だった時期にそういう土着的なメロディに触れたから......メロデスの本編というより、雰囲気作りの部分に惹かれたんですよ。それで渋い哀愁のあるメロディをアコギで表現したくて。スピード違反せず、特別テクニカルでもなく、メロディは勇猛で、当時流行の音色のキーボードも入れて、モダンなサウンドとも親和性が高かったですからね。
-なるほど。それ以外の曲はどうですか?
Shimpei:個人的には「Noir Rain」が気に入ってて。これはパワー・バラードみたいな曲なんですけど、メタルコアの要素はなくて、ハード・ロックのテイストが強いのかなと。達成感がすごくあったんですよ。
-どのへんのハード・ロックですか?
Shimpei:SCORPIONSや、Gary Mooreの「Empty Room」(1984年リリースの6thアルバム『Victims Of The Future』収録曲)という曲があるじゃないですか。
-名バラードですね。
Shimpei:途中でベース・ソロがあるんですけど、この曲には絶対ベース・ソロを入れたくて。前のバンドにはベーシストがいなかったし、今回はメンバーを意識して自由度のある曲調ができたなと。ただ、メンバーにはそのイメージは伝えずに、自分の得意な感じでやってもらおうと。で、ソロに入ると、Ritchie Blackmore、John Norumが手癖でやってるようなフレーズを入れました。
-「Noir Rain」は今作の中でもフックになってる曲調です。
Shimpei:かなり気に入ってます。ただ、"僕らはこういうバンドです!"と1曲目に聴かせるものではないですけどね(笑)。
Bitoku:Gary Mooreも好きですが、それはまったく意識してないですね(笑)。
-Bitokuさんが作曲した「Tragic Night Falls」(Track.4)はストーリー性がありますね。
Shimpei:それはThor君がお気に入りの曲だよね。
Thor:お気に入りというか、聴くと泣きそうになっちゃうんですよね。グッとくるものがあるんです。
Shimpei:僕がもともと曲を作ったんですけど、うまくいかなくて放置してたんですよ。で、曲名だけを渡して、曲を作ってと言ったんです。
-曲名だけを渡して!?
Shimpei:サビにブラストビートが出てくるんですけど、僕のデモにもブラストが入ってたんですよ。デモを聴かせてないのに、そこがリンクしていたのは驚きでしたね。
Bitoku:マイナスなイメージの、暗い、悲しい曲名じゃないですか。それを意識しつつ、僕は普段メタルコア畑にいるけど、60、70、80年代の音楽がバックボーンにあるんで。メタルコア人間ではないところを表現したくて。聴いた人が、この作曲者はどの音楽に影響を受けているのかわからないものを作ろうと。
-60、70、80年代の音楽というと?
Bitoku:FREEや、Gary MooreがいたCOLOSSEUM IIとか......。THE WHOもライヴで1曲10分やったりとか、ほかにBECK, BOGERT & APPICEとか、あのへんのバンドの自由に即興している感じが好きで、ベースはわりとそこに影響を受けてやってますね。
-「Tragic Night Falls」は日本語がわかるような歌い回しで、歌詞の内容もほかとは違いますよね?
Thor:歌詞は僕が経験したことで、実話なんですよ。この曲を聴いて、ドラマチックだなと思ったから。人間同士、なかなかうまくいかないこともあるし。一番生々しい歌詞かもしれない。
-そして、Yukiさんは「Into the Ashes」、「Cygnus」(Track.9)の2曲を作曲してますよね?
Yuki:「Into the Ashes」は身の周りで起きたことを題材にして、構成やソロのエモーショナルな部分にはネガティヴな気持ちを込めました。怒り100パーセントというか、極限の精神状態から出てきた曲ですからね。
Shimpei:彼は精神的にパンクしそうになっていたから、燃え尽きた方がいいよってアドバイスしたんですよ。自分のクリーン・ヴォーカルも彼の曲に引き出されたところはありますね。
-「Cygnus」はどうですか?
Yuki:このバンドを立ち上げて、最初のころに書いた曲なんですよ。自分のルーツであるメロデス、特にリード・ギターはAMON AMARTH、SOILWORK、IN FLAMESあたりの影響が出てますね。僕はギター・ソロが好きなので、メロデスの中にギター・ヒーローがいるようなパートを盛り込もうと。
Shimpei:テクニカルなフレーズはすべてYuki君が弾いてるんですよ。ハード・ロックというより、メタルっぽいギター・ソロは彼が持ち込んでくれましたからね。聖飢魔Ⅱで言うなら、僕がエース清水で、彼がルーク篁かなと(笑)。今回はゲスト、エンジニアのEttore Rigotti(DISARMONIA MUNDI)を含めて、優れた人を集めたら、自分の想像を上回る作品ができました。そういう意味で、今回はいろんな人の血が通ったアルバムができたなと。