INTERVIEW
NEiN
2017.01.11UPDATE
2017年01月号掲載
Member:eisuke(Vo) 舜(Gt)
Interviewer:山口 智男
ジャンル、年齢もそれぞれに違う歴戦の5人がNEiNの名の下に集結、ラウド・シーンに殴り込みをかける! 2016年3月に結成を表明後、6月に始動ライヴを行い、同日に1stシングル『廻 -kai-/未来』を、そして9月に配信限定シングル『霖の痕』をリリースしてきた彼らが、初の全国流通作品となる1stミニ・アルバム『DeRACINE』をリリース。ラウド・シーンに軸足を置きながら、それだけにこだわっているわけではないという全6曲は、なるほど様々なジャンルから集まってきた5人ならではと思わせる。そこに込めた想いや今後の抱負を、eisukeと舜のふたりに訊いた。
-NEiNをスタートさせた2016年を振り返ってどんな1年だったと?
舜:2016年の3月末に結成表明をしたんですけど、僕はメイン・ソングライターでもあるので、とにかく曲を作ることに追われて、あっという間に1年が過ぎ去ってしまった感じはありますね。僕がどんどん曲を作って、みんなに投げて、できた順にプリプロしていったので、音源を作るにあたって入念に準備はできたんですけど、僕個人としてはひたすら曲を書いていた1年でした(笑)。
-その成果のひとつとして、今回の1stミニ・アルバムがリリースされるわけですね。
舜:すでにライヴでやっている曲も入っていますし、書き下ろした曲もありますし......というところでは、そう言えますね。6月に『廻 -kai-/未来』という1stシングルをリリースしているんですけど、それは挨拶代わりで、ライヴ会場と僕らが持っているネット・ショップだけでの販売なんです。最近、ディスクユニオンさんにも置いてもらうようになりましたけど。だから今回の作品がNEiNとしての正式タイトル。改めて、幅広く世の中のみなさんに伝えていくためのメインになるアイテムとして、今作を作るというのが大前提でありました。
-新作のお話の前に、それぞれにキャリアのある5人がどんなふうに集まったのか聞かせてもらってもいいでしょうか?
舜:元どこそこの誰それみたいなことは表立って言いたくないんですけど、僕はもともと、V系でやってきて、そっちでは25年生ぐらいなんですよ。ただ、こっち(ラウド系)のジャンルは完全に1年生(笑)。たぶん激ロックの読者さんは僕のこと知らないんじゃないかと思うんで、改めて自己紹介させてもらうと、V系界隈で長いことやって来ましたけど、後半はずっとソロでやってきたということもあって、バンドはもういいかなって思っていたんですよ。だから、曲を提供したり、BGMを作ったり、仕事として音楽を作ることをメインにしようと思っていたんです。それでもセッションをしながら、いい出会いがあればバンドをやってもいいかなぐらいに思っていたら、意外と早く出会ったなみたいな感じ(笑)。僕のソロ・プロジェクトでベースを弾いていたのがenaなんですけど、"セッション・バンドでライヴをやるんだけど、誰かいいヴォーカルいないかな"って言ったら、彼が連れてきたのがeisukeだったんです。そのとき、いろいろなバンドの曲をやったんですよ。シャウト系があったり、メロウな曲があったりっていうなかで、すごくエモーショナルな歌を歌っていたところに、ものすごく惹かれて、何か一緒にできないかなって漠然と思いました。それが2015年の9月だっけ?
eisuke:そしたらいきなり舜さんからLINEが来て、"バンドやろう"って(笑)。
舜:それが10月ぐらいか。健太(Gt)と拓馬(Dr)は僕とは旧知の仲で、昔、同じレーベルに所属していた先輩/後輩の関係なんですけど、やるなら気心の知れたメンバーとやった方がバンドも楽しいだろうし。僕は一番年上ですけど、ただの言い出しっぺとして、大まかな舵取りはするけど、"あとはみんな好き勝手にやってね"ぐらいの感じで始めたかったんですよ。そしたらみんな、"やります、やります"って言ってくれて。ただ、みんなそれぞれにやっているバンドもあるし、サポートしているバンドもあるから、そんなに気負わずにというか、"これ売ろうぜ"という意気込みでは始めてないんです。"掛け持ちでもいいから楽しくできればいいんじゃない?"ってところで始めたのが最初でしたね。
eisuke:舜さんの音楽は、高校生のころから聴いていたんですよ(笑)。だから一方的に知っていたし、僕がもうひとつやっているバンドも活動休止していたから、セッションに誘われたときは気楽な気持ちで"ぜひ"って。そのあと、メンバー構成を見たら"うわっ!"ってなったんですけど、(セッションが)楽しかったんですよ。そのことがあったんで、バンドに誘われたときは迷うことなく1秒で返事しました(笑)。ちょうどそのころ、プライベートでもいろいろ変化があって、欲張ろうかなって気持ちもあったんです。もちろん、自分にできるのか不安もちょっとありましたけど、でも、やっちゃえって思いました。
-このバンドでは、それまでやってきた音楽とは違うものをやろうという考えがあったんですか?
舜:そうですね。見た目よりもまず音楽性が先にありました。eisukeが歌うなら、こういう曲をやったらかっこいいんじゃないかとか、似合うんじゃないかというのありきで、曲を作り始めたんです。セッションでやったときの印象が良かったので、それに準じたものを作っていこうとは思いましたね。僕ももともとハードな曲が好きだったんで、それを踏まえつつ、ラウド系の音楽も好きではあったんですけど、そういうシーンで活動してきたわけではないから、僕は僕で今までやってきたノウハウでしか曲は書けない。だから、僕が好きなラウド系の感じはこうかなっていう自分なりの解釈と、あとはそれだけが好きなわけではないから、アニソンだとか、もともとV系でやってきた楽曲のテイストだとかもどこかに絶対入っちゃうと思うんですよ。それが合わさったときに、ラウド系とは別の面白いものができるんじゃないか、と。そういうことは最初にちょっと考えましたけど、とりあえず思いつくまま作っちゃえって。それでできあがってみたら、思っていたとおりのものになっていたんです。
eisuke:自分らのことなんで、こんなことを言ったら恥ずかしいですけど、聴くたびに"ヤバいな、ヤバいな"ってテンションが上がっていきましたね(笑)。僕、できあがってきた曲をまず聴くときは、聴くシチュエーションにこだわりたいんですよ。今、便利だから、スマホでも聴けるんですけど、やっぱり家で正座して爆音で聴きたいんですよね(笑)。
舜:爆音はわかるけど、なんで正座なの(笑)?
eisuke:初めて聴くときの感覚ってその1回だけだから大事にしたいんですよ。シビアな話、良いのか悪いのか、NEiNでやって面白くなるのか、どんな歌詞を乗せたらいいのかっていうことは、一発目の感覚しか信じられないというか、慣れてくると客観視できないというか。だから一発目は常にそうしているんですけど、「廻 -kai-」のときは早く聴きたかったから、家に帰るのも待てなくて、トイレにこもってスマホで爆音で聴きました(笑)。
舜:でも、よくああいう歌詞が出てきたね。
eisuke:このバンドでやる一発目の曲なのに、いきなり"最後"って言葉が出てきますからね(笑)。
-それは"否定"という意味を持つバンド名と繋がっているんですか?
舜:そこはちょっとあったかもしれない。とりあえず今あるものをぶち壊してから行きましょうってところがあったから。
今回は、とりあえず一番デカい振り幅で出そうと思いました
-今作『DeRACINE』の6曲を聴いて、ラウドの要素もありながら、それだけに留まらない、いろいろな要素がミックスされていて、すごく面白いサウンドだと思いました。
舜:そうなんですよ。激ロックさんということで読者の方には何かしらの先入観を持たれるかもしれないですけど、僕自身がやってきたことが多彩すぎて、ひとつに収められないっていうのがあるんですよ(笑)。何かひとつに決めても、絶対、他のことがやりたくなっちゃうから、それはバンドの危機に繋がると思って、飽きないように、なるべくやりたいことを全部やろうと思いました。今回はミニ・アルバムってこともあって、とりあえず一番デカい振り幅で出そうと思いました。一番ごっつい曲がこれで、一番優しい曲がこれで......って決めていって、その真ん中もありつつ、NEiNはこれだけの振り幅がありますっていうところは見せたかった。作品ごとに徐々に変えていっちゃうと、リスナーも混乱するだろうし、"こういうバンドだと思ってたのに違った"って思われたらイヤなので、最初に全部出してしまおうって(笑)。今作の中ではたぶん「奈落」(Track.3)と「冬の蜃気楼」(Track.5)が両極に当たると思うんですよ。「奈落」はギャーギャーとしか言ってない(笑)。対して「冬の蜃気楼」は歌謡曲としても聴けるようなアレンジになっている。ただ、完全にバラバラにしてしまうと、NEiNとしての一貫性がなくなってしまうので、そこをどうするかを考えて、ギターのサウンドとeisukeの歌詞のスタイルに共通性を持たせるということと、どの曲にもちょっとごっつい部分を作ることは意識しました。だから「冬の蜃気楼」でも中間に、いきなりヘヴィなリフが出てきますしね。