INTERVIEW
NEiN
2017.01.11UPDATE
2017年01月号掲載
Member:eisuke(Vo) 舜(Gt)
Interviewer:山口 智男
-「奈落」、「メメント」(Track.4)、「冬の蜃気楼」の並びはかなりヤバいですよね。
舜:違うバンドなんじゃないかって(笑)。
-「メメント」も、ここでピアノ・バラードが来たかと思っていたら、途中で轟音になる(笑)。
舜:ビートも変わりますしね。二転三転してすみませんって(笑)。一番言われたくないのが、"どれを聴いても同じに聴こえる"っていうことなんです。それが魅力だっていうバンドももちろんいると思うんですけど、僕らの場合は、どれを聴いても変化があるというか、似たような曲はなしという。ただ若干、eisukeを始め、メンバーには無茶をさせてるかなって思うこともありますけど、"頑張って"と言うしかない(笑)。実際、eisukeよりも歌が上手い、あるいはシャウトがかっこいいヴォーカリストはいっぱいいると思うんですけど、両方できる人って意外といないんです。僕が欲しいと思っている感情をうまい具合に、ここだってポイントで出せるのがeisukeだと思っているので、まずは彼の歌を一番活かせるものを、とは考えていますね。
-クリーン、スクリーム、グロウル......すべてeisukeさんが?
eisuke:えぇ。基本、声はギャング・コーラスも含め、全部自分です。たまに混乱しますけどね(笑)。でも、面白かったですよ。大変ですけど、やり甲斐はありました。自分も欲張りというか、両方好きなんですよね。歌詞は基本、日本語なんですけど、シャウトをかますときって、英語の方が韻も含め、絶対かっこよく聴こえるから、日本語をシャウトでイケてる感じにするのは難しいんです。20代前半から、ずっとそれにチャレンジしてきたんですけど、NEiNでは、それがより幅広い形でできるんですよ。
-舜さんが今作で一番無茶したと思う曲は?
舜:「冬の蜃気楼」かな。「冬の蜃気楼」は書いたとき、シンセでほぼ完結していたからギターはいらないんじゃないかって思ったんですよ。そもそも、アイドルが歌ってもおかしくない曲だった(笑)。それを、どうNEiNでできる形に持っていくか考えるのが大変だったことを思うと、かなり無茶しているかもしれない。僕のギターが右から左まで、全部網羅するスタイルなんですよ。ハードなリフも弾きますけど、クリーン・トーンのアルペジオも、クランチのカッティングも、手数の多いオブリも全部僕がやっていて、相方の健太は完全にメタルなんで、ザクザクとだけ刻んでいる。そのへんで僕がいろいろな位置に立ち回って、健太がどしっと構えてザクザクと弾いてれば、バランスは取れるし、NEiNらしくなるだろうってところで、「冬の蜃気楼」はそういう曲になっています。
-eisukeさんが今回、ヴォーカリストとして一番挑戦だった曲はどれでしょうか?
eisuke:どの曲もかっこよく言えばクリエイティヴでしたけどね(笑)。大変だったのは「極彩色・螺旋」(Track.2)。言葉を詰めるのが難しかったですね。それと「メメント」。メンバーからはブーイングだったと思うんですけど、どうしても納得できず、レコーディング直前に歌詞を完全に書き直したんですよ。結果、自分では納得できるものになりました。
舜:でも、書き直してよかったと思うよ。
-歌詞が日本語というのは譲れないこだわりですか?
eisuke:譲れないですね。洋楽は好きでメチャメチャ聴くんですけど、日本語が好きなんですよ。だから、自分が表現するものに関しては、日本語でなきゃ勝負できないと思ってるんですけど、このバンドはメンバー全員一致で日本語にこだわろうっていうことだったんで嬉しかったです。
舜:最初に話し合ったとき、やっぱ日本語でしょ。タイトルもなるべく日本語にしましょうって。デカい風呂敷を広げすぎかもしれないけど、やっぱり外国の人にも聴いてほしいっていうのがあるんです。海外の人に聴いてもらうなら、無理している英語よりも日本語にした方がいいんじゃないかって。
eisuke:世界を目指すなら絶対、日本語がいいって前から思ってました。
舜:それに向こうの人、漢字好きだから(笑)。
-曲を聴いてのインスピレーションだと思うんですけど、そのインスピレーションを言葉にするとき、どんなところから言葉を引っ張ってきているんでしょうか?
eisuke:1曲1曲違うんですよ。感情とかイメージとかがボンボンボンってまず頭に浮かぶんです。それを言葉にするには何かなって考えるときに、"この言葉を言いたい"っていうのがひとつあるんですよね。曲を聴いたときに浮かんできた言葉をもらうみたいなイメージがあって、それを最初はひたすらノートに鉛筆で書いていく。それをパズルみたいに当て込みながら、1回、思いの丈を作文みたいに書いちゃうんです。もちろん、100パーセントは収まらないから、それを曲に合わせて削っていくみたいなやり方です。
舜:そういう曲もあるし、単純な言葉遊びもあるし、僕らの感情ではない、ひとつのストーリーを歌っているものもありますし、それは曲によってコンセプトが変わるから、それに合わせてはいますけど、どれもちゃんとeisukeの言葉で表現できているから散漫にはなっていないと思います。
-根無し草を意味する"DeRACINE"というタイトルはどこから?
eisuke:もともと、いつか使いたいと思っていた言葉のひとつなんですよ。"根"を意味する"ラシネ"に、"引き抜く"という意味の接頭辞"デ"がついて、根無し草という意味になるんですけど、それもバンド名に合っていると思ったし。根無し草って、あまり属することができないというか、帰る場所がないというか......いろいろなジャンルから集まってできたバンドなんで、別にひとつのものに固執していない。ある意味、自分らが根無し草なんじゃないかと思って。アートワークは健太が「奈落」のイメージから作ったんですけど、ブラック・シープも自分の中のひとつのキーワードで、群れからはみ出ているイメージなんです。今回、激ロックさんに載せてもらうんですけど、NEiNの音楽って、そこからはみ出しているイメージもあって。
舜:まぁ、異端ではあるよね。
eisuke:そこを自分は大事にしたいんですよ。
-バンド結成時に抱いていた"気負わずに楽しくできればいい"という気持ちは、ミニ・アルバム完成後、変わりましたか?
舜:最前線で活躍しているバンドみたいに全国ツアーを年に何回も......という活動は物理的に不可能だから、根本は変わらないです。ただ、曲を作ってライヴもしていけば、やっぱりいろいろな手応えが出てくるじゃないですか。ファンから反応をもらったり、僕らのことを全然知らなかった人たちにかっこいいと思ってもらえたりしたら、間違っていなかったと思えるというか、作ったものに対する自信にもなりますし。そういうものができたのであれば、当然、より多くの人に聴いてほしいという願望は生まれますよね。
eisuke:そこはみんな野心を持っているんで。
舜:たくさんの人に聴いてほしいという思いは、曲ができるたびに強くなっていっているし、今回、激ロックさんに載ることで、プロモーションとして新しい扉を開けたと思うし。こういうジャンルの音楽を始めたとき、正直、何をしていいかわからなかった。だからって今までやってきたところで、今までどおりの感じでライヴをしていても、たぶんそれは新しいものには繋がっていかないと思ったので、そこはイチから始めるしかなかったんですよ。だから、こういう機会をきっかけに僕らのことを知ってくれる人がひとりでも増えたら嬉しいですね。2017年1月28日には"Far East Butterfly"と銘打って、新宿WildSideTokyoでリリース・パーティーをやるんですけど、そこでもNEiNのかっこよさをひとりでも多くの人にわかってほしいんです。対バンの1組は個人的に知り合いのバンドなんですけど、もう1組は対バンしたことがないバンドで、そういう新しい......とにかく新しいフィールドでNEiNを表現しないとダメなので、新しいフィールドにいるリスナーにアピールすることがまず大事なんだと思ってます。
eisuke:今回のミニ・アルバムをきっかけにライヴに来てもらって、NEiNのライヴが楽しいと思ってもらいたい。それに尽きるかな。これまでライヴを心底楽しむことができないこともあったんですけど、今はそれが100パーセントできている。そこは自信を持って言えるので、それが伝えられたらいいですね。今、いろいろな音楽が流行ってますけど、バンドっていいな、バンド・ミュージックいいなって、このアルバムとライヴで伝えていきたいですね。