INTERVIEW
OLDCODEX
2016.11.29UPDATE
2016年11月号掲載
Member:Ta_2(Vo) YORKE.(Painter)
Interviewer:荒金 良介
パッと見では判断できない微妙さ、面白さを内包したいんです
-今考えるOLDCODEXの音楽を言葉にすると?
YORKE.:......"微妙"。
-"微妙"、ですか?
YORKE.:上海でも"結成7年目おめでとう!"とみんなに言われたんですよ。そこで10年だったら結構やってる感じがするでしょ? でも、7年は微妙な長さだなと(笑)。だから、面白い時期なんですよね。ふたりの気持ちいいところがわかるようになってきたから、俺も歌詞を書くときに、"Ta_2はこの歌詞の言い回しは嫌がるかな?"と予想できるようになって、ヘンにこうしたいと自己主張することはなくなりましたね。
Ta_2:"こういう音を出してるから、OLDCODEXです!"というのは安直だなと。どんな曲調でも、そこに説得力があるメロディを付けるように意識してます。俺が曲を書いて、YORKE.が歌詞を書くスタイルなので、そういう意味でも他のバンドとは違うけど、それが俺たちの色になってるから。パッと見では判断できない微妙さ、面白さを内包したいんです。
-あぁ、なるほど。
Ta_2:最近は"このカラーで攻めます"みたいなバンドが多い気がして。俺は様々な色があっていいし、一色じゃなくてもいいと思うから。ウチはカレーしか出しませんみたいな、頑固食堂ではないので。
-寿司も出せば、スパゲッティも出すみたいな?
Ta_2:意外と他のものもうまいんですよって。
YORKE.:Ta_2は特にそのアンテナが高いから。俺の方が頑固で、受け入れづらいときもあるけど、受け入れて良かったと思うこともありますからね。今作のジャケットも完全にデジタル上で完結したんですよ。今までは絶対にそんなことやらなかったんですけどね。それもTa_2が"iPadですげぇアプリがある"と教えてくれて。手描きと変わらないクオリティだし、デザインに落とし込むならこっちの方が早いんです。俺は新しいものを手に入れると、失うものは何かを考えちゃう方なんですよ。Ta_2はそういうのをあまり考えないから、"こいつは失うものがないのかな?"と、ときどき思います。
-(笑)今作のジャケットを見ると、"どんな音が出てくるんだろう"と想像を掻き立てられます。
YORKE.:KING CRIMSONのジャケットを見たときのインパクトを、今の10代の人とかに与えられたらいいなと。俺も"何だ、この顔は?"、"どんな音楽なんだ?"って、興味をそそられましたからね。
-KING CRIMSONの1stアルバム(1969年リリースの『In The Court Of The Crimson King』)のジャケットですね?
YORKE.:そう。今回の曲もいろんな音が入っているし、いい意味で混乱させたいなと。OLDCODEXの強みは音とヴィジュアルがリンクするところだと思うから。この曲をライヴで聴いて、ジャケットを連想してくれたり、MVをイメージしてくれたらいいですね。
-自分たちが内包している微妙さを、自信を持って出せるようになってきたと。
Ta_2:中途半端な言葉かもしれないけど、その裏側を知ると、面白いよって。強い言葉や端的な言葉を出せば、みんなに伝わりやすいかもしれないけど、そういうところには行きたくない。ウチらはそんなに薄っぺらくないから。結成してから7年、微妙に長くやっているので(笑)。
YORKE.:"微妙"って超いい言葉だなと。世の中も、白でも黒でもない微妙なものが多いじゃないですか。だから、微妙なものにスポットライトを当てたら、もっと発見があるかもなって。
Ta_2:ウチのバンドは絵描きがいるし、妙なふたりがやり始めたバンドだからこそ、自由な発想ができますからね。
-わかりました。最後にひとつだけ質問を。「The Experience」に"I'm just standing in the shades of gray"という歌詞がありますが、今日話していただいたことにも通じますよね?
YORKE.:あぁ、俺もそこは気に入ってますね。舞台に立てば立つほど、光をたくさん浴びるけど、影も強くなる感覚があって。影を意識するからこそ、光の中にいるんだなと思うし。改めてその気持ちを認識したかったのかもしれないです。傷を負って、また絶対に強くなれると信じているから。どう強くなるのか、それはこれからの楽しみですね。乗り越えるメンタルは強くなりました。それもOLDCODEXがあるから、これだけ前向きになれてるのかなと。