INTERVIEW
RAZORS EDGE
2016.10.17UPDATE
2016年10月号掲載
Member:KENJI RAZORS(Vo) KRASH(Dr) MISSILE(Ba)
Interviewer:荒金 良介
-メンバーの意見が食い違っていたのはいつごろの話ですか?
KENJI:『THRASHING GOES LOVELY』以降ですかね。作ったあとに、あれ? と我に返って、初期にやっていたものと全然違うなと。ライヴでお客さんのノリがふたつに分かれるのをすごく感じたから。どっちが大事かなと考えたら、最初にやり始めたニュアンスの方が大事だなと。それが『SONIC!FAST!LIFE!』(2010年リリースの5thアルバム)、『RAW CARD』の流れに繋がるんですよ。あと、震災の影響も大きくて、ポップな曲をニコニコしながらやる感じにはなれなかった。TAKA君は『MAGICAL JET LIGHT』(2005年リリースの3rdアルバム)のあとに加入したけど、1stアルバムのころのRAZORS EDGEが大好きだったみたいだったから、その違和感をメンバー内で最初に覚えたらしくて。
-なるほど。これは褒め言葉ですけど、RAZORS EDGEの異常さが伝わってくる内容だなと。今作には1、2分台の楽曲しか収録してなくて、その縛りがまたRAZORS EDGEらしさが色濃く出ている要因だなと。楽曲のタイムは意識しました?
KENJI:いや、自分で入れたいと思った曲がたまたまそうなっただけです。今作にも3分台の曲があると思うけど、1分半ぐらいで完結するのがかっこいいんですよね。
-今作に3分台の曲はないですよ。「DREAM TEAM」(Track.40)が2分26秒で最長ですから。
KENJI:ははは(笑)、そうですか。ほんとは長くしたいんだけど、飽きちゃうんですよ。できるだけ短くして、ボリューム感があるようにしたくて。曲の印象が残るなら、短くてもいいのかなと。
-42.195キロのフル・マラソンの距離を、100メートル走の勢いで突っ走っているのがRAZORS EDGEですよね。
KENJI:特に初期はすべてアルバムやライヴでの1曲目のつもりで書いてましたからね。それが1stアルバムなんですよ。そのニュアンスを引きずりながら、その中でバリエーションに富んだものを作ろうと。
-今作の選曲はメンバー全員ですか?
KENJI:いや、僕ひとりで決めちゃいました(笑)。今回のベストのテーマを、"これ1枚あればライヴで楽しめる"ってところにしたくて。あと、これをきっかけに各アルバムに興味を持ってほしい。ベストに入ってないけど、もっといい曲あるやん! と思ってほしくて。自分の中でそういう作品が『Ramones Mania』(1988年リリースのRAMONESベスト・アルバム)で、それで僕らも"RAZORS MANIA"というタイトルにしたんですよ。RAMONESがなぜすごいかと言えば、ベストに入ってなくても他にもいい曲がいっぱいあるから。だからそういう感じにしたいなと。
-変な質問ですが、ライヴでそれほど人気は得られなかったけど、自分たち的に愛さずにはいられない曲ってあります?
KENJI:音楽を作っていて一番楽しかった時期が『MAGICAL JET LIGHT』のころで。あのときに目指していた速い曲は、"シュワー!"みたいな......そういう宇宙に飛び出したようなハードコアをやりたくて。それが「STR8 TO SPACE」(Track.10)、「JET STREAM」(Track.12)なんですよ。ライヴでそれほどやってないけど、自分的に当事、ハードコア理想系でして。
MISSILE:速いバンドっていうイメージがあると思うけど、8ビートの曲をやってるときが楽しくて。「POSTMAN」(Track.31)とか面白いなと。俺ら、こっち路線でもいけるんちゃう? って(笑)。
KENJI:僕らの中ではゆったりめだけど、RAZORS EDGEらしさが出せてるなと。「POSTMAN」を作ってるときにthe原爆オナニーズと2マンをやったんですよ。それでリハーサルのときにこの曲をやったら、EDDIE(Ba/Cho)さんから"めちゃくちゃ良かった!"と言われて。これはthe原爆オナニーズに影響を受けて作った曲なので、"やったぜ!"と思いましたね。
MISSILE:当時、仮タイトルが"原爆"でしたからね(笑)。
KRASH:「SKATE RIOT」(Track.36)はライヴであまりやらないけど、この曲にしかない色があると思うから。僕は好きな曲ですね。
20年経っても、"なにクソ!"という気持ちが自分たちの原動力になってます
-最後に新曲「GET BACK」(Track.44)を収録してますが、これまた最後に大きな爆弾を投げつけるようなかっこいい曲ですね!
KENJI:ネタは『RAW CARD』のころにあったけど、当時は3、4割しか完成してなくて。それを今回のために仕上げました。また新しいRAZORS EDGEのカラーも出せているかなと。速いパートはCONCRETE OCTOPUSの疾走感のつもりで、サビはTHE DAMNEDとかのような、ビートが"ドンパン!"と大きく、シンガロングなコーラスにしたかったんです。不思議とTHE DAMNED感は出ているかなと。TAKA君は"CIRCLE JERKSみたいですね!"と言ってたけど。
-歌詞には結成20年の思いを込めているんですか?
KENJI:いや、それはないです(笑)。ただ、サビの部分は今の心境が出てますね。"長い物に巻かれるかよ、ボケ!"みたいなものがパンク/ロックだったけど、今は全然そうじゃないなと。そういう奴らがやってるから面白い世界だったのに、変わっちゃったなと。まぁ、そこまでネガティヴな感じでもないんですけどね。20年経っても、"なにクソ!"という気持ちが自分たちの原動力になってますからね。それを大きな声で言いたかったんですよ。