INTERVIEW
RAZORS EDGE
2016.10.17UPDATE
2016年10月号掲載
Member:KENJI RAZORS(Vo) KRASH(Dr) MISSILE(Ba)
Interviewer:荒金 良介
-RAZORS EDGEが掲げる"THRASH"は、クロスオーバー・スラッシュやスラッシュ・メタルから取ったと勘違いする人もいるのかなと。
KENJI:あぁ、そう捉えられることは常々ありましたね。はなからスラッシュ・メタルをやるつもりはなくて。スラッシュ=ハードコアだったから、そこから取ってきただけです。METALLICA以降にスラッシュ=スラッシュ・メタルの方が市民権を得てしまったから。
-『THRASH 'EM ALL!!』(2000年リリースの1stアルバム)は完全にMETALLICAへのオマージュですもんね。ちなみにMETALLICAの1stアルバム『Kill 'Em All』(1983年リリース)が一番好きなんですか?
KENJI:いや、実は2ndアルバムの『Ride The Lightning』が一番好きなんですよ。そこがリアルタイムでしたからね。「Fight Fire With Fire」は疾走感があるじゃないですか。"なんじゃ、この速さは!?"という感じは、ハードコアを聴いてる感覚に近かったんですよ。「Battery」(1986年リリースの3rdアルバム『Master Of Puppets』収録曲)もそうだけど、METALLICAの入口は速さの衝撃がデカかったですね。
-そして、この20周年のタイミングで、これまでの道のりを振り返っていかがですか?
KENJI:オリジナル・メンバーは僕だけですけど、きっちゃんとMISSILEは15年、TAKA(BEEF/Gt)君で11年やってますからね。僕らの20年って一本筋を通しながらも、いろんなことを取り入れて、それが成功したり失敗したりの繰り返しで(笑)。チャレンジしたことで周りの影響に苦しみながらも、好きな音楽を作っていこうという感じでした。特にTAKA君が入る前はそうですね。前作の曲がようやく盛り上がってきたのに、新作を出すと、また新しい要素を入れちゃうからお客さんが戸惑っちゃうことがよくありました。ただ、そうも言ってられないくらい、作りたいものを必死で作ってました。このアイディアを入れたらRAZORS EDGEっぽくなるな、じゃあなんとか入れてみようと。今振り返っても、これは違ったなと思うことはありますけどね(苦笑)。
-例えば?
KENJI:ライヴで一番やってないのは『THRASHING GOES LOVELY』(2008年リリースの4thアルバム)の曲なんですよ。ちょっとかわいい方向に寄りすぎたな、もう少し激しく歌っていたら、いい意味でのポップさやキャッチーさが出ていたかなと。
-今作を通して聴いても、いい意味で浮いてますよね。
KENJI:急に明るくなりますよね(笑)? まぁ、それも面白いなと思って。
-KRASHさんは振り返っていかがですか?
KRASH:今の若い子は何でも聴くし、何でもミックスするし、自由だと思う。でも昔は情報も口コミでシーンの固まりも強かったし、そのしがらみの中でよくいろんなことをやってきたなと。
KENJI:そういう意味でMEANINGは切り拓いてるよね。FORWARDともやれば、メロコア・バンドともやるし、オーバーグラウンドを攻めたと思えば、海外からTRASH TALKまで呼ぶからね。俺らの時代はそういうふうにできなかったから。でも RAZORS EDGEはそのきっかけになったと思うんですけどね。
KRASH:20年続けてきたから、その境目も体験できたし、外に向けてやる心構えはバンドで培われたなと。
-しがらみというのは?
KRASH:誤解を恐れずに言えば、"PIZZA OF DEATH RECORDS"から出すこと自体がメジャーからリリースする感覚と、あまり変わらない捉えられ方をされてましたからね。身近な人は偏見はなかったと思うけど、関西だと大きな存在に見えるみたいで。
KENJI:あと、日本の中でいち早く"FUJI ROCK FESTIVAL"出演を目指した珍しいハードコア・バンドだと思います(笑)。俺ときっちゃんはロックが好きで、最初のころから遊びに行ってましたからね。苗場に行くたびに"出たい、出たい!"と言いながら、飲んでましたから。出るまでに7、8年かかったけど、そのためにはどうすればいいかを考えながらバンドを進化させていきました。
-外に向けてやろうと意識し始めたのは?
KENJI:2ndアルバム『RAZORS RISING!!!!』(2003年リリース)がPIZZA OF DEATH RECORDSからの最初の作品なんですけど、2000年暮れにKENさんのBBQ CHICKENSと対バンして、今まで見たことがないキッズを目の当たりにしたんですよ。この子たちを唸らせてナンボかなって。それが最初のきっかけで、PIZZA OF DEATH RECORDSへのリリースに繋がっていったんです。
-MISSILEさんはどうですか?
MISSILE:振り返ると、拙かったなと。2ndアルバムのころは20代前半だったと思うけど、今のバンドはあんな演奏してないよなって。改めて聴くと、こそばゆいですね。これがあったから、今があるんだなと。あのときにしかない青臭さがありますからね。
KENJI:時代やな。今の若い子は最初から演奏上手いし、機材もちゃんと揃えているし、お酒の飲み方もきっちりしてる。あまりバンドマンっぽくないですよね(笑)。
-それで、今回のベスト盤は以前から考えていたことなんですか?
KENJI:そうですね。20年って結構な期間だし、それで初のベスト盤を出すのは面白いかなと。2、3年前から考えてました。再録も考えたけど、ここまでサウンドが変わったバンドも珍しいと思うんで、そのままひとつの作品にした方がいいかなと。曲順も古いものから並べるんじゃなく、ひとつの作品っぽくなるように意識しました。
-KENJIさんとは真逆の感想かもしれませんが、今作を聴いて、時代ごとに作風は違えど、RAZORS EDGEの一貫した強烈な個性が感じ取れました。
KENJI:ははは(笑)、それは自分でも感じますね。自分の声や作るギター・リフもそうだし、メンバーのプレイ面を含めて、他に同じような速いバンドはいないなと。
KRASH:作品ごとにコロコロ音楽性は変わるけど、曲を作るのはKENJI RAZORSなので、客観的な立場としては音楽性のズレはそれほど感じてなくて。これは記事にすることじゃないかもしれないけど、当時ライヴでどの曲をやるのか揉めることもあって、でも僕はどの曲をやってもいい派だったんですよ。僕以外のフロント3人はそれぞれ感じ方が違うだろうけど、そういうふうに感じてもらえるのは嬉しいですね。当時、必要以上に言い合ったりしていたことも、杞憂だったんじゃないかと。
MISSILE:聴き返したら、意外と全部大丈夫だなと(笑)。わりと自分たちらしくやってるぞって。
KENJI:ほんまにあかん曲はベスト盤に入れてないからね(笑)。