－今回のアルバム『DO IT AGAIN WITH POTSHOT』では、新曲も収録されましたが、そういった、誰もが思うような"POTSHOT観"というものをバンドですり合わせながら作っていったんですか。

新曲はですね、当時もそうなんですけど、"こんなのやろうぜ"っていう曲を僕がメンバーに出して、各々がアイディアを足して仕上げる流れなんです。今回も、そんな感じで書き溜めている曲の中から、いい感じのものを――今、POTSHOT以外にもSKA PUNK ZOMBIESでスカ・パンクの曲は常に書き溜めているので。その中から、自分としてはシングル級の曲を持って行ったんですよ。そしたら、ギターのSATOSHIに、"あんまりPOTSHOTっぽくないですね"ってダメだしされて（笑）。すげえむかついて。それでもう1回、POTSHOTを研究し直して（笑）。

－研究ですか（笑）。

それで作って持って行ったのが、今回の新曲3曲なんですよ。

－何が違ったんですかね？

わかんないんですけどね。でもまあ、言ってることもわかる部分はあって。最初に持って行ったものはPOTSHOTが解散して以降のエッセンスというのかな、そういったものが強く入っていたんだと思うんですよね。今回のは活動していた10年間をトータルで表せるような曲を、フラットな気持ちでゼロから作りました。

－改めて研究してわかった"これがPOTSHOTだ"っていうものはありました？

POTSHOT以降のバンドもそうですけど、自分の中での曲作りは、シンプルさを大事にしていて。贅肉がなくて、なるべくシンプルで、テーマはひとつだけみたいなのがPOTSHOTらしさというか。それがPOTSHOTっぽく聴こえるんだなっていうのは、改めて思いましたね。

－そこは当初から意識的だったんですか？

もともと長い曲が苦手で、POTSHOT解散以降のバンドでも、あまり長い曲はあえて作ってなかったんです。POTSHOTだとよりそれが如実というか。

－その場で聴いて、みんなが2コーラス目から歌えるようなシンプルさ。

もう2コーラス目もないみたいな（笑）。"ここ、1回でいいじゃない？"みたいなね。

－今回もまさにそういう6曲を揃えたというアルバムですね。新曲3曲に、カバー、既発曲の2015年バージョンが収録されましたが、メンバー揃ってのレコーディングもかなり久々だったのは。

全員いっぺんに6人揃うことはあまりなかったんですけど、それぞれで会う機会はずっとあったんですよ。だから、久しぶりにあって気まずいとかはなくて（笑）。ただ、一緒に作業をするのは10年ぶりだったので、"どうやっていたっけ？"みたいなところはありましたね。"ああ、この人こうだよね！ そうそうそう"とか。たしか、10年前の俺はここにむかついてたんだよなとか。当時俺は、ここにイライラしてたなとかね（笑）。でも今はもう、わかってるからそれも楽しめるというかね。

－そこは大人になったからですか？

いや、みんな変わってないんですよ。

－ただ、許せる自分がいると。

そうそう。時間が経って、客観的に見られるようになったというかね。あとは、シチュエーションですかね。当時は、仕事になっていたので。今回はそうじゃなくて、どこまで楽しめるかがテーマなので、レコーディングもイライラしなくていいというか。当時は、自分の思ったものを、思った通りに作りたい気持ちがあったので。メンバーがとんちんかんなことを始めると、イライラしたり、それをどう自分の好みに持っていくかで悩んだりしたんですけど。今回はみんなで楽しくやれればいいんじゃない？っていう。デモ渡してこれをやってきてっていう流れは昔と一緒だけど、昔ならもっとこれをこう仕上げたいんだっていうのを、強く言っていたんです。今回はそれをやめたんですよ。そしたら、楽しかったというか。だから、レコーディングも、前だったらツラくなったりしていたんですけど、そうならずに進めたんです。

－みんなが思うPOTSHOTでやってくれればいいという、感じですか。

そうですね、みんなが思うようにやってくれればいいんじゃない？って。大失敗してもいいんじゃない？みたいなね。次はないわけだしって。はははは（笑）。

－そういう良い空気が反映されてます（笑）。90年代から2000年代初期の良い空気感が入っていて、変に大人ぶってないというか。

それはあれですね、誰も成長してないんでね。円熟してないんですよ、誰も（笑）。"速い曲、ちょっとキツイよー"っていうのを、今なら笑ってやれるというか。トロンボーンのCHUCKYは楽器ケースのフタを半年ぶりに開けたっていうくらいですからね。"サビてなくてよかったな"って、そんな感じですからね。