INTERVIEW
UROBOROS
2015.09.08UPDATE
2015年09月号掲載
Member:黒瀬 圭亮(Composer/Manipulate) 上木 彩矢(Vo)
Interviewer:山口 智男
-豪華メンバーが集まったUROBOROS誕生のいきさつを、まず教えてください。
黒瀬:僕が以前、やっていたAsrielというユニットが解散することが、今年の頭ぐらいに決まったとき、自分の中で音楽を出し尽くしたのか、10年やってきて、やりたいことは全部やったのかって振り返ってみたんです。そうしたらまだやり尽くしてない、やってみたいことがあるという想いがふつふつと沸いてきたんですよ。そこからそれを実現するためにはどうしたらいいんだろうってことを考え始めて、世界観だったり、方向性だったり、メンバーの構成だったりを決めてから、メンバーをひとりずつ誘っていきました。まず前から仲が良かったぶっちさん......笹渕啓史さん(Dr/ex-Plastic Tree)と、中村泰造さん(Ba/cune)。リズム隊から固めていって、ギタリストの大村孝佳君はもうBABYMETALですごいことになってますけど、C4をやっていたころから活躍は知っていて、ライヴ映えする華やかさも持ちながらテクニカルで、何でもござれな感じじゃないですか。ギタリストを入れるんだったら大村君しかいないって声をかけたら、やってくれると言ってくれて、バンドが固まった。さあヴォーカリストはどうしようってなったんですけど、これだけ錚々たるメンツ、それもサウンドも絶対かっこいいものができるメンバーが揃ったんだから、それに引けを取らないヴォーカリストじゃないとダメだ、と。そう簡単には見つからないだろうと思ってたんですけど、上木彩矢という名前が出てきたとき、僕の中で即決でした。もともと、存在も作品も知ってたんですけど、今回、やろうと思っているサウンドにどうはまるか考えてみたところ、低音感や周りのメンツに負けないカリスマ性を持っている、という僕の中に合った条件をすべてクリアしてたんですよ。彼女の参加が決まったとき、僕の頭の中にあったものが形になりました。僕の中ではもうちょっと、ヴォーカリストを探したり、メンバーを集めてから曲のイメージを固めたりするのに時間がかかると思ってたんですけど、実際、メンバーが集まってから、いろいろ想像してみたら、すごい創作意欲が沸いてきて、曲もどんどんできていったんですよ。
-最初、どんな音楽性や世界観を考えていたんですか?
黒瀬:以前のユニットではメタル色濃いアニソン系の音楽をやってたんですけど、より低音感のある、むしろラウドロックやモダン・ヘヴィネスに近い、自分の中でメインに聴いてきた音楽に近いものを作ってみたいと思いました。音域としてどっしりと下げた音で、バンド・サウンドを強く出したうえでテクニカルなことをやりたいというのがあったんです。世界観に関しては、僕はゴシックなものだったりファンタジーが好きなので、そこに合わせつつ、僕がずっとテーマにしてきている錬金術という学問を表現したいんです。
-上木さんは3年ぶりに音楽活動を再開するわけですが、なぜこのタイミングだったんですか?
上木:3年前に休止してから、これまではミュージカルを含め、舞台で新しいことに挑戦していました。CDを出すとかそういうことが鬱陶しくなっちゃったので、しばらくはヴォーカリストとして、もっと違う方向から音楽を追求してみたかったんですよ。その中でいろいろな人たちからパワーやエネルギーをもらいながら、いろいろな経験をさせてもらえてたので、正直、音楽活動を再開しようとは考えてなかったんです。ただ、段々音楽がやりたくなってくるんですよね。去年、やらせてもらった舞台("まほろばかなた -長州志士の目指した場所-")が河村隆一さんを始め、大勢のヴォーカリストさんたちとの共演だったんです。みなさんのライヴを見せてもらってるうちに、"ああ、またこういう形で音楽やりたいな"って気持ちになり始めたところに、このUROBOROSの話が舞い降りてきた、みたいな。 黒瀬:運命的なタイミングでね(笑)。 上木:本当に運命だと思って、世の中なるようになってるんだから、これは絶対やるって感じで、"ハイ、やります"って即答したんですけど、デモだけ一応、聴いてくださいってことになって、それで聴いてみたら、"ほら、やっぱり。こういう系の音楽でしょ。やる!"って(笑)。だから迷いは全然ありませんでした。 黒瀬:僕も全然心配してませんでした。もともと、シンガーとしての実力は知ってたし、自分の中でイメージできたんですよ。例えばステージに立ったとき、どんなパフォーマンスをするのかとか、どういうニュアンスで歌うのかとか、その歌声がどう曲にはまるのかとか、かなりイメージできたので......。 上木:たぶん、イメージできてないと、私、呼ばれないですよ(笑)。こういうキャラクターなので。たぶん、そこは知ってくれてると思うし、私、パワー系のヴォーカルなので、ハイトーン・ヴォイスで繊細に歌って欲しいとは言わないでしょっていう感覚もあったので、"ほら、やっぱりね"って、いろいろなことが......点と点が線になったいう感じで、本当に。ね? 黒瀬:うん。
-じゃあ出会うべくして出会ったと?
上木:本当にそうだと思います。
-でも、メンバーはすごい人たちばかりじゃないですか。上木さんはどう思ったんですか?
上木:"ですよね"って言うか、"そうでなくちゃね"って言うか(笑)。顔ぶれももちろんですけど、みんなの気合いを感じたとき、そういうメンバーのフロントに立つことに対して、やる気もどんどん上がっていきました。凄腕のメンバーを従えて、前進あるのみですよ。 黒瀬:過酷な現場であればあるほど燃えるんですよ。 上木:うん、そうね(笑)。楽曲のイメージは今までソロでやっていたことと全然違うと思うんですけど、個人的にはこういうサウンドとか、こういうメロディ・ラインが好きだったので、やっぱり来るべくして来たというか、こういうことになっていたのかな。もちろんソロはソロで楽しく活動はしてたんですけど、活動休止する理由のひとつとして、やっぱり音楽性ってところもあって。もともと、バンドをやりたかったんですよ。だから、本当にいろいろな願いがUROBOROSで叶ってるんですよ。すべてが新鮮で。(黒瀬に)まだまだやれることいっぱいあるよ。 黒瀬:うん、そこはめちゃめちゃ期待してます。 上木:お互いにね。 黒瀬:そうですね。お互い表現できることはもっといろいろあるんだから、そこはお互いに引き出しあって、もっともっといいものを作っていけると思います。打ち解けるのがすごく早かったんですよ。 上木:まぁ、一緒にお酒飲んだらね(笑)。 黒瀬:それもあったと思うんですけど、僕はどちらかと言うと、人と打ち解けるのに時間がかかるタイプなんですよ。 上木:あ、そうだったかも(笑)。最初は壁を作ってたかもしれない。でも、私、そういうの跳ね除けちゃうんで(笑)。 黒瀬:跳ね除けてくれるタイプだから、嘘がない人なんだってことが伝わってきて、それならこっちも腹の底を隠す必要はないなって安心できました。嫌だったら嫌だってはっきり言ってくれるタイプの人だってわかったから、僕も遠慮せずに、こういうことをやりたい、ああいうことをやりたいって言えたので、最初から意思の疎通は何も心配なかったし、信頼関係も作れました。そういう意味では、音楽性だけじゃなくて、メンバーとして一緒にやるうえでもすごくやりやすいんです。