INTERVIEW
AVENGED SEVENFOLD (M.Shadows)
2013.08.23UPDATE
Member:M.Shadows (Vo)
Interviewer:KAORU
-あなたのヴォーカルは更に強靭になりましたね。あまり複雑な歌い方をしなくても、1フレーズごとに余韻が残り、豊かな感情が伝わってきます。今作のヴォーカル・ワークにおいて、特に意識して挑戦したことはありますか?
あまりヴォーカルの練習はしてなかったんだ(笑)。少し充電が必要なだけだったと思う。新しい曲のスタイルだったから、ヴォーカルをとてもパワフルにしたかった。重ねるよりは、シングル・ヴォーカルを多く入れたかったんだ。声が1つだと、更に壮大に聴こえることが初めてわかったんだ。だから多分、よりエモーショナルな感じに聴こえるんだと思う。
-『Hail To The King』は、冒頭からドーン!と派手な感じではなく、徐々に展開していく感じの作品ですよね。この起承転結の付け方は、今までのA7Xにはなかった手法ではないでしょうか?
正直に言うと、あまり深く考えてアルバムの展開を決めてないんだ。作りたい曲を作るだけ。至ってシンプルだよ。エネルギーに満ちた完璧な楽曲が作りたいだけなんだ。1番大事なのが素晴らしいヴォーカル・メロディと、素晴らしいリフを作ること。アルバムの方向性とかは予測できないから自然に任せるんだ。曲順、曲の流れを後で決めている。制作にどっぷり入り込んでいる段階じゃ無理だから、完成してから1歩下がって、そういうディテールを考えるようにしてるんだ。
-最初に歌詞が出来たのはどの曲ですか?
7曲目の「Heretic」だったと思う。メロディックなマイナー・トーンで、Marty Friedman風なヴァイブがあるんだ。この曲はすごく気に入ったけど、その後すぐにもっとブルース的なグルーヴ感を重視した曲に切り替えて行った。この曲は最初に出来上がったからちょっと目立つけど、おもしろかったからアルバムに入れておくことにしたんだ。
-メロディを付けるにあたって工夫している点を教えてください。
メロディ作りに関しては、みんなでアイディアをぶつけ合うんだ。メインに考えることは、リフとヴォーカル・メロディだね。ほとんどの場合はリフを先に考える。特に、このアルバムではリフを先に考えることから始めようと決心した。まぁでもほとんどの場合は、お互いの顔を見合わせているだけだよ(笑)。ドラムとリフでアイディアをどんどん進めていくから、メロディはその後なんだ。たまにメロディを先に考えたりするけど、稀かもね。曲を作っている時は至って冷静だよ。意見が食い違っても喧嘩にはならない。曲を作る時って、最初は絶対に誰も気に入ってくれないっていう考えがあるから、そこからもっと良いもの、もっと面白いものってパズルを作るように考えているんだ。そうすると、以外とみんな気に入ってくれることがわかる。誰かが“これはどう?”ってアイディアをぶつけて、誰も気に入らないと“はい、次!”って、もう次のことに移っているんだ。みんな友達だから、アルバム制作の前に必ず話し合いをする。何も個人的に受け取るな、作品作りに集中しようなって励まし合うんだ。
-『Nightmare』の次にこの『Hail To The King』という作品が出来たことは、とても納得出来ると同時に、例えばA7Xをスターダムに押し上げた『City Of Evil』のようなキャッチーな作品を作るということも出来たのではないかと思います。しかしA7Xはそういうことはしなかった。それがバンドにとって自然であったということでしょうか?
若い頃は、自分たちはうまい、テクニカルなことが出来るんだぞって証明しないといけないような気持ちがあったと思う。でも年を取ると、自分がクールで野心的だと思っていたことが、いつしか、そうでもないって気付いたりもする。だからね、自分に正直でいるためには、その時々で、何が良い曲なのか、何が素晴らしい音楽なのかって感じないといけないと思うんだ。32歳になった今、自分たちがここまで進化したのは、これが自分たちのやりたい音楽だからなんだと思う。例えば、やっと今になってAC/DCがかっこいい曲を作るってわかったけど、18歳の時にAC/DCを聴いた時は全然魅力を感じなかった。その時はメロディックなパワー・メタルがかっこいいと思ったから、俺たちはそれを目指した。でも今は、グルーヴ感とか、良い作品とは何かって考えて作ることが多い。成長しただけだと思うよ。15歳のキッズはそんなこと聴きたくないと思う。でもそれが現実だよ。自分が15才の時もそうだったからね。成長と共に、音楽のテイストや見方、聴き方が変わってくるんだよ。だから作り方も変わってくるんだ。
-『Hail To The King』は、メタル・アルバムという括りに留まることのない、ロック・アルバムの名作だと思います。あなたにとってこのアルバムは、バンドにとって、また、あなた個人において、どのような意味合いを持つ作品ですか?
すごく大きな意味があるんだ。1つのアイディアを忠実に作品にしたと言う意味では、これまでで1番集中していたと思う。1日に6曲作って、また別の日に6曲作ったわけじゃないんだ。本当に精魂込めて“音楽”というものを作った。メンバーみんなのその姿勢がすごく誇りに思えるんだ。このアルバムは達成感がある。今までにないシリアスなサウンドに取り組むことが出来た。ふざけたところがないんだ。ブルージーで、これが今の俺にはカッコいいと思えるんだ。