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INTERVIEW

ADAM KILLS EVE

2013.08.20UPDATE

2013年08月号掲載

ADAM KILLS EVE

Member:Federico Bini (Vo)

Interviewer:吉羽 さおり

-8月に日本でアルバム『The Interruption System』がリリースされることになりました。日本ではこのアルバムに、2008年の1st EP『They Almost Killed Us With Their Hypocrisy』が全曲収録された特別盤としてリリースされるので、ADAM KILLS EVEがどんなバンドで、EPからアルバムへとどんなふうに進化を遂げたのかを含めてお話を伺いたいと思っています。まずはバンドの結成について教えて下さい。

以前在籍していたメンバーのClaudio Di Santo(Vo/Gt)が7年前にメンバーを募集をしたのがきっかけだよ。彼はFIGHTSTARやSTORY OF THE YEAR、UNDEROATH、ATREYUのようなメロディックさを兼ね備えたスクリーモ/ハードコア・バンドを目指していたんだ。トスカーナ州(イタリア中部)にはそういったサウンドのバンドはほとんどいなかったから、同じ考えを持つ仲間を探すのは苦労したよ。それで彼はたくさんの人に伝わるように、MySpaceなどを通じてメンバー募集をかけたんだ。僕らが初めてリハーサル・スタジオに入ったときは、お互いのことを何も知らなかったんだよ。でも、セッションしてみてお互いに好印象を持ったし、これから最高の化学反応が生まれるってメンバー全員がそう思ったんだ。

-先ほどいくつか名前が挙がりましたが、ADAM KILLS EVEのルーツとなるバンド、サウンドに影響をしたバンドはいますか。

僕らはつねに誰にも似ていないバンドを目指しているんだ。影響を受けたバンドは、例えば、UNDEROATH、THRICE、FIGHTSTAR、EMERY、ATREYU、STORY OF THE YEARかな。2000年初期のスクリーモ/メタルコア/ポスト・ハードコア・シーンに影響を受けたよ。最近のアメリカの新しいバンドより、彼らの影響がやっぱり大きいかな。彼らの音楽を聴けば、ひとつのカテゴリーにとらわれない素晴らしいインスピレーションを感じて、自分でも曲や詞を書いてみたくなるはずさ。結成当時よりは、僕らも少しは成長できたんじゃないかな。独創的で、他のバンドのコピーではなくなっていると思う!僕ら自身はそう願ってるよ。

-日本では、イタリアのポスト・ハードコア・シーン、アンダーグラウンドなロック・シーン事情をうかがい知れないのですが、盛り上がりはありますか。始めた頃よりも、バンド人口は増えていますか。

バンド人口は日々増えているね。若い世代には、主流のアメリカのバンドやFearlessやRise Recordsのバンドに影響を受けたバンドが多い傾向があるかな。それぞれが影響を受けたアメリカやイギリスのバンドのスタイルを反映した、あらゆる種類の"コアスタイル"が存在しているよ。アンダーグラウンドなバンドがほとんどなわけで、お互いに支え合っている。メインストリームに乗るお金もないしね。僕らはUNDEROATH、ALEXISONFIRE、THRICEに影響を受けたから、彼らのスタイルを研究したものだよ。最近の若いバンドは、あんまり研究とかはしないみたいだけどね。

-さまざまな国のバンドと共演する機会もあると思いますが、これはイタリアのバンドならではの部分だと思えたり、サウンド面で独自で発展したところだなと感じるものはありますか。

イタリアのバンドは、個性を出すのが得意かもしれないな!僕らにとってバンドは個性を表現するのにすごく適した場所かもしれないね。僕らの個性は、曲のキャッチーさやメロディックな部分かな。アメリカのサウンドよりも、イギリスのサウンドよりも、より真摯で、よりストレートで、生産過剰じゃなく、メロディに重きを置いた、素晴らしいバンドがイタリアにはたくさんいるんだよ。

-ADAM KILLS EVEの特徴としては、非常にメロディアスでドラマティックなサウンドやヴォーカルと、なんといってもフック満点でダンス・ミュージック的なシンセ・パートも挙げられますね。シンセの要素は今でこそ珍しくありませんが、導入のきっかけになったのは?

僕らは常に新しい要素を取り入れたいと思っているんだ。メンバーはみんな、ダンス・ミュージックやポップ・ミュージックが大好きだし、ENTER SHIKARIにはすごく影響を受けたよ。シンセを導入したのは、サウンドを補強するためと、いろいろな試みをシンセでやってみたかったから。ダンス・シンセで、ハードコアな部分を壊してみたかったってのもあるかな。今回のアルバムにおいて、シンセは僕らのストーリーを描くのに欠かせない存在になってる。作品中の電話の音や、機械仕掛けの扉が閉まる音、漏電の音、心臓の鼓動は全部シンセで表現しているんだよ。

-シンセを入れることでの試行錯誤はあった?

EPリリースの頃はシンセのメンバーがいたんだ。今は脱退していないけど、彼はたくさんのシンセ・パートのアイデアを書き残してくれたんだ。プロデューサーのFrancesco "Katoo" Catittiも今作においてストーリー・ラインやシンセのアイデアをたくさんくれたよ。またいつかシンセ担当のメンバーを迎えたいな。または、僕らの誰かが担当するかだね。

-ちなみに、シンセを入れたことで、ライヴや音源の反響として明解な効果はありましたか。

とても良い反応をもらっているよ。今作においては、シンセは雰囲気を出すのにとても大きな存在だね。僕らはバンドとして常にエレクトロ・ポップの要素を念頭においているんだ。シンセを入れたことで以前よりも、より曲がなめらかに、よりクリアになったと実感しているし、また、キャッチーさやユニークな効果も際立たせることができていると思うよ。作品のストーリーをより伝えやすくしているとも思うしね。

-EPから今回のアルバムまでは長い時間の経過があります。この間に、バンドとして変化をしたこと、音楽的な面で新しく加わったことはありますか。

メンバー・チェンジもあったし、新たなプロデューサーHelio Di NardoとFrancesco "Katoo" Catittiを迎えたりしていたからね。彼らのおかげで、楽曲に向き合う姿勢は大幅に変わったと思う。以前とは違って、僕らはまず曲を完成させてからレコーディングに臨むようになったんだ。作品の全体像を見極めてから、曲作りをするようになったんだよ。スクリーモやハードコアの要素が欠けることなく、幅広いリスナーに訴えかける作品が作れるようになったんじゃないかな。

-今作は、制作の過程でコンセプト・アルバムになったそうですが、その経緯を教えて下さい。また、作品テーマや、インスピレーション源となったのは?

以前からコンセプト・アルバムに挑戦してみたかったし、興味があったんだ。最初に書いた詞と曲がうまく思い描いていたストーリーにリンクして、それを軸に他を展開させていくことにしたんだよ。今作のメイン・テーマは、体温を感じる距離で、相手の目を見てコミュニケーションを取ることの必要性と、ソーシャル・ネットワークやメディアを通してしかコミュニケーションを取れない現代の若者の増加、という2つの間の矛盾だよ。インスピレーションの源は日々の生活だね。例えば、男女関係の難しさだったら、昔の彼女との実体験とかね。アルバム『The Interruption System』は"ロボットであり人である女の子"に絶望的な恋をしてしまった男の子のお話だよ。

-迫力のあるアンサンブルのドライヴ感や、硬質なサウンドとメロディックなパートの対比がより鮮明になったと感じます。サウンド・プロダクションで、とくに重視したのは?

その点に気づいてくれてすごく嬉しいよ。硬質なサウンドとメロディックなパートの対比は、とくに重視したところなんだ。僕らのシーンは今、クリーン・ヴォーカルとブレイクダウンをひたすら繰り返すっていう、似通ったミックス方法が溢れているように思うんだ。それに、このジャンルの曲のほとんどは、構成もテーマも似通っていて、詞に重きを置いていない。今作において僕らは納得してもらえる曲を書いたつもりだし、ハードコアの精神も忘れてない。今作のサウンドには、とくにこだわったつもりだよ。