INTERVIEW
NILE
2012.06.12UPDATE
2012年06月号掲載
Member:Karl Sanders (Vo)
Interviewer:櫻井 カオリ Translator:Yuga
-激ロックでは初めてのインタビューとなりますので、まずはバンドの結成経緯を含めた自己紹介からお願いします。
俺はNILEのKarlだ。俺たちは93年に結成して今で結成12年目だな(笑)。俺たちは日本で開催されたメタル・フェスLOUD PARK 07への出演を含めて、3回ジャパン・ツアーをしたことがあるんだ。
-アメリカ出身のバンドが古代エジプトをコンセプトにされているとあって、非常に興味深いところですが。どうしてエジプトにこだわられたんでしょうか?
ただの個人的な興味だよ。趣味と言ったら良いのかな。たぶん一種の現実逃避なのかもしれない。俺たちが住んでいる町はすごく退屈だからね。
-これまでの作品を通して、ブルータルなサウンドと中近東の風景を思わせるサウンドの融合がとても魅力的です。楽曲を制作するにあたって、エジプトの歴史や音楽などについても研究されているんですか?手にする参考資料も相当だったのではないでしょうか?
7つのフルレングス・アルバムといくつかのEPを書くにあたって、結構な時間をNILEの曲の歌詞のためにリサーチをしたり、様々な種類の中近東の音楽を大量に聴き漁ったよ。
-さて、新作の完成おめでとうございます。3年ぶりの新作とあって、日本のファンも作品が聴けることをとても楽しみにしています。現在の率直な思いを教えてください。
新しいアルバムをやっと完成させることができてとても嬉しいよ。10ヶ月もかけたからな。
-かなり濃密に時間をかけて制作された作品のように感じました。実際はどのように制作は進んでいったんでしょうか?スムーズに進みましたか?
大体はスムーズにいったよ。今回は一度も怪我をしなかった。それはかなり助かったよ。
-アルバムのタイトルにもあるように、エジプトの神話に登場する“セト神”がテーマになっているようですが、このキャラクターを選んだ経緯を教えてください。
違うな、セト神はキャラクターじゃない。“Sethu”は地下世界の門番である極悪非道な悪魔なんだ。太陽神であるラーは夜明けと共に蘇る前に、暗闇の夜の間にその門を通らなければいけないんだ。
-1曲目の出だしからじわりじわりと怪しさ満点で、ワクワクしながら聴いてしまいました。資料にもリスナーの恐怖心を煽る様な内容になっているとありましたが、もちろんそこにも“セト神”で語られる残虐性や暴力性といった背景が関わっているかと思います。バンドのカラーと、このキャラクターの特徴を融合させるためにどのような工夫をされたんでしょうか?
うーん、また違うな。このアルバムで最初に聴こえる音は、死後の世界で燃え苦しんでいる呪われた者の叫びなんだ。この不安なインタールードは「Enduring The Eternal Molestation Of Flame」のイントロの役割を果たしているんだ。
-私が聴いた限りなので、勘違いでしたら申し訳ないのですが……。英語ではない言語も織り込まれているように聴こえました。あれはエジプト語で歌われているんですか?
俺たちの多くのアルバムではたくさんの古代エジプト語やシュメール語を古文からそのまま持ってきているんだ。でもこのアルバムでは「Slaves of Xul」の中でJon Vesanoが、意識が朦朧として訳のわからない言葉を発しているというパート以外は全ての歌詞は英語だよ。
-複雑なリフにおどろおどろしいグロウルは凶暴さを増していますね。また、何かに急かさせるような気持ちにさせられるドラムも冷徹なベース音も良い意味で非常に気味が悪いです(笑)。演奏面において、メンバー同士で話し合ったりされたのでしょうか。
していないな。Dallas(Vo)とGeorge(Dr)はブルータル・メタルのやり方を熟知しているから、デモ曲を聴く以外に何の話し合いも必要ないんだ。曲を書きながら徹底的にデモを作るんだ。そうやってお互いとコミュニケーションをとるんだよ。それが曲のあるべき姿だ。
-アルバムの制作中に起こった印象的なエピソードがありましたら教えてください。
いや……あんまりなかったね。俺たちは仕事中はいつもとてもとても集中していて、しっかりと秩序を保つようにしているんだ。そして、アルバム制作中はそれ以外のことをほとんどやらないしね。
-今作はアートワークにも力を入れられたそうですね。デザイナーとして起用されたSeth Siro Antonのファンだったということですが。彼に白羽の矢を立てた理由を教えてください。どんな話をされましたか?
そうだな、彼のファンだよ。それに彼のバンドのSEPTIC FLESHも前からのファンだったんだ。彼は俺たちと仕事をしたいと言ってくれて、それは俺たちにとってもすごく良いアイデアだったんだ。それだけシンプルな話だよ。