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INTERVIEW

TIMES OF GRACE

2011.01.11UPDATE

2011年01月号掲載

TIMES OF GRACE

Member:Jesse Leech(Vo)

Interviewer:米沢 彰

-KILLSWITCH ENGAGEの初期の頃からのファンが各地で飛び上がって喜んでいます。各方面で期待を持って迎えられているものと思いますが、リリースを控えて周囲の反応は如何ですか?

喜び以上のものを感じるよ。これができて自分は恵まれていると思うし、このリリースは自分の人生に於いて節目だと思っている。周りの反応も同じくらいポジティヴなものだよ。

-再びAdamとともに音楽をやることとなった経緯を教えて下さい。

僕が決めることではなく、Adamの方からアプローチされたんだ。長い話を簡潔に話すと、4年前にAdamはツアー中に背中を痛めてしまい、ロンドンの病院に運ばれて、そこで緊急手術が行われた。その間彼は足を動かすことができず、腰から下が麻痺していた。寝たきり状態の時、彼はまた歩けるだろうか、音楽の仕事は続けられるだろうかって不安に思っていたんだ。彼がそんな毎日と向き合って正気で居る方法はアルバムを作り始めることだった。彼は頭の中でアルバム作りを始め、小さなレコーダーを手に持って曲作りをしていた。歩けるようになった時、彼は楽器を弾いて、デモテープを作り、その時初めて僕に電話をかけてきた。「アルバムを作ったんだけど、僕にとってはとても大切なものになっている。このアルバムで歌ってくれるのは君しかいない」と言ってくれて、当然僕はこの機会に飛びついた。

-KILLSWITCH ENGAGEを脱退した時にAdamとわだかまりなどはなかったのですか?

そうなんだ。ありがたいことだよ。最初はそんなに親しくなかったけどずっと電話やメールで連絡を取り合っていたり、彼は俺のバンドのSEEMLESSの演奏を見にきてくれたり、俺もKsEのライヴに行ったりしてた。ずっといい友情関係を保っていたけど、KsEの他のメンバーとも仲良くしている。だから彼から電話があった時、以前も何か一緒にしたいって話があったからすごくびっくりした訳じゃなかった。でも一番驚いたのは彼が寝たきりで、病院で音楽を作っていたことだったね。

-本作では、全曲にイメージ映像がつけられDVDに収められているそうですが、これはどういった内容になっているのでしょうか?またそのビジュアル面でどういったことを表現することを目指したのでしょうか?

知っているかどうか分からないけど、このアルバム自体はもう1年くらい前に完成しているんだ。基本的には僕がこのアルバムを聴き込んで、様々なビジュアル面のアイディアが浮かんだので、それをDVDにしただけのことなんだ。自分が見えてきたものをノートに書き込んで、それをマネージャーたちに見せて、予算はあるのか、このビジョンを現実にできるのかと相談した。その後ビジュアルアーティストのサンプル映像とかを見て、どんな作品が作り出せるかを見ていると、Agatha Alexanderという素晴らしい女性アーティストを選ぶことができた。彼女に僕のノートを渡して、彼女はアルバムの最初から最期までビジュアルな映像を作ってくれた。スペシャルエディションを買うとそれを見ることができる。ほとんどは自然をテーマにしているものなんだ。歌詞を書いている時、僕は自然からインスピレーションや癒しを受けていた。知っているかもしれないけど、当時Adamも僕もそれぞれの辛い時期を経験していた。暗い所にいた僕の慰めになったものは森の奥に行って歌詞を作ったり、海に行って歌詞を作ったりしていた。こうしたイメージを僕の頭から取り出して、音楽に添えることが一番いいと思った。この映像はこれからライヴをやる時もバックドロップとして使うつもりなんだ。

-『The Hymn of a Broken Man』を聴きましたが、どの楽曲もあなたの感情で満たされている印象が強烈に残りました。アルバムを通して、TIMES OF GRACEが表現しようとしたことを教えて頂けますか?

これはカタルシス的な役割があった。全てが終わって、Adamとよく話し合っているんだけど、これが俺たちの対処メカニズムだったんだ。このアルバムのテーマは苦しみや絶望だけど、いつだって希望があり、光がある。太陽は必ずまた昇る。リスナーにはこれを聴いて共感が持てて、なおかつポジティヴなものを受け取って欲しいんだ。自分の人生をバランスよく過ごせ、そのバランスを見つけ出すことなんだ。どんなに暗い時でも、必ずそこから抜け出すことができる。信じさえできればきっと乗り越えられる。

-KILLSWITCH ENGAGE時代と比べて、ハイトーンに音域が広がるとともに、歌い方に表情が増え、感情がさらに豊かに感じられるような気がします。ご自身では本作のヴォーカル・ワークでどういった点を特に大事にしましたか?

このアルバムにはもっとブルースとソウルを持ち込みたかった。この5~6年、僕のヴォーカルをよりソウルフルなものにしようと努力してきた。でもこのアルバムのほとんどは偶然にできたものなんだ。陳腐に聞こえるかもしれないけど、本当に作っている間に特別な力のようなものを感じた。アルバムを創っている時、自分たちは“楽器”となり、どうやるか何をやるかあまり会話も無く自然と起きたんだ。