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FALLING IN REVERSE

2024.08.23UPDATE

FALLING IN REVERSE

Writer : 山本 真由


クロスオーバーな音楽性と、個性的な楽曲の数々に合わせて作られた、多彩で作り込まれた映画のようなMVの数々にも注目!


破天荒なロック・スター Ronnie Radke(Vo)率いるFALLING IN REVERSEが、7年ぶりとなる新フル・アルバム『Popular Monster』をリリースした。 アルバムに先駆けて発表されたシングル曲「Popular Monster」(2019年)が本国アメリカでダブル・プラチナのヒット・ソングとなったのを皮切りに、その後もシングル・カットされた新曲「Zombified」(2022年1月)、「Voices In My Head」(2022年5月)、「Watch The World Burn」(2023年)が相次いでゴールド認定を受ける等、アルバムへの期待が高まったなかでの満を持してのフル・アルバムのリリースだ。この時点ですでに商業的な成功は見えていたが、本作はその内容もまたバンド史上最高傑作と言えるすごい内容だ。それはまさにFALLING IN REVERSE、そしてRonnie Radkeの人生そのものというような、激しく時に暴力的で、人を惹きつける愛すべき人間味に溢れたロック・ミュージック。本当に、すごいものができあがってしまった。


Falling In Reverse - "Popular Monster"


Falling In Reverse - "ZOMBIFIED"


Falling In Reverse - "Voices In My Head"

今作に限らず、FALLING IN REVERSEとその音楽を語る上で、フロントマン Ronnie Radkeの波乱万丈な人生と彼の音楽経歴に触れないわけにはいかないだろう。 もともと、エモ/スクリーモ・バンドがラウドロック・シーンを席巻していた2000年代に結成されたバンド ESCAPE THE FATEのオリジナル・メンバーだったRonnie。ジャンル界隈の人気バンドからも一目置かれ、当時かなり勢いのあったインディー・レーベル Epitaph Recordsと契約する等、鳴り物入りでデビューし、1stアルバム『Dying Is Your Latest Fashion』(2006年)は異例のヒット作となった。しかしそんななかで彼は、アルコールや薬物依存の問題を抱えていた上、友人間の暴力事件がきっかけとなった殺人に関わる容疑で逮捕され、その後2年の実刑を下されるという、とんでもないトラブルでバンドを解雇されてしまうのだった。

スターダムを駆け上がる一歩目で奈落に落とされたRonnieだったが、その悔しさをバネに獄中でも作曲を続け、そして誕生したのがこのFALLING IN REVERSEだ。彼らのデビュー・アルバム『The Drug In Me Is You』(2011年)は、Ronnieのシーン復帰と共にリスナーから好意的に受け取られ、本国アメリカではゴールド・ディスク認定のヒット作となっている。FALLING IN REVERSEの音楽性の特徴は、ポストハードコアを軸にしながらも、ポップ・パンクのキャッチーさやオールドスクールなメタルの様式美も兼ね備え、その上EDMやヒップホップも取り入れた柔軟なアプローチで、聴く者をワクワクさせてくれるエンターテイメント性が強いことだ。あと、これは個人的な感想だが、FALLING IN REVERSEの音楽性だけでなく楽曲の歌詞やテーマが、当時イケイケだったポップ・パンクやエモ・パンク的な、"パンク"というにはちょっといい子すぎるキラキラした青春や恋愛に共感できない層に支持されたのではないかと思う。ちょっと中二病っぽい(MV等を観る限りかなり狙ってやっている感じだが)ダークなイメージと、その根底に垣間見えるピュアで壊れやすい一面の奇妙なバランスが、ヘヴィでアンダーグラウンドなサウンドを求める、ナイーヴな若者たちの需要に合致したということだろう。

これまでも自分の人生を音楽にしてきたRonnieだが、今回のニュー・アルバム『Popular Monster』もまた、他の誰にも真似できないRonnie Radkeワールド全開の"俺を見ろ!"と訴え掛けてくるアクの強い楽曲が満載だ。中でも特に痛快なのが、カントリー・ミュージックの大スター、JELLY ROLLをゲスト・ヴォーカルとして迎えたシングル曲「All My Life」だ。イージーコアとヒップホップとカントリーをごちゃ混ぜにしてパーティーしているような、今までありそうでなかった底抜けにポップなサウンドで、サビの歌メロは超キャッチー。西部劇を無茶苦茶サイケデリックにしたMVも本当に最高なので、ぜひ楽曲と併せてチェックしてほしい。


Falling In Reverse - "All My Life (feat. Jelly Roll)"

この「All My Life」をはじめ、今作は最初のシングルが約5年前の2019年に発表されている通り、制作期間が長かったこともあって一曲一曲のMVにめちゃくちゃ気合が入っている。ラッパーのTECH N9NEとデスコア/デス・メタル・バンド、SLAUGHTER TO PREVAILのAlex Terrible(Vo)がゲスト参加している「Ronald」は、極悪ヘヴィ且つ近未来的なテクスチャのサウンドにぴったりのSF大作映画風MVで、楽曲も映像も作り込みが濃密で思わず引き込まれてしまう。そして、超高速ラップからの爆走するサビメロという伝家の宝刀が飛び出す「Watch The World Burn」は何度聴いても飽きないが、ダーク・ファンタジー風のMVもまた曲にフィットしたダイナミックな映像で、何度も観てしまう中毒性がある。


Falling In Reverse - "Ronald" (feat. Tech N9ne & Alex Terrible)


Falling In Reverse - "Watch The World Burn"

それ以外にも、ピアノとストリングスでしっとりと演奏されるPAPA ROACHの名曲「Last Resort」のカバーなど、個性的な楽曲が詰まった盛りだくさんな内容で、一度聴いただけでは消化できない情報量のアルバムだ。
問題を起こすとすぐに消されてしまうようなクリーンな現代社会において、挫けず這い上がる暴力的なまでの強さと、危ういくらいの自分らしさを貫くFALLING IN REVERSEは、まさに唯一無二の存在だ。社会に順応して生きていかなきゃいけない私たちにとって彼らの音楽は、日常の鬱憤を代弁し解消してくれるだけでなく、心に自由を与えてくれる悪魔であり天使なのだ。


Falling In Reverse - "Last Resort (Reimagined)"



▼リリース情報
FALLING IN REVERSE
ニュー・アルバム
『Popular Monster』
FallingInReverse.jpg
NOW ON SALE!!
STCD-0014/¥3,300(税込)
[Silent Trade / EPITAPH]

1. Prequel
2. Popular Monster
3. All My Life
4. Ronald (Feat. TECH N9NE & Alex Terrible)
5. Voices In My Head
6. Bad Guy (Feat. Saraya)
7. Watch The World Burn
8. Trigger Warning
9. Zombified
10. No Fear
11. Last Resort - Reimagined
12. Carry On ※ボーナス・トラック
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