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FEATURE

Ozzy Osbourne

2022.09.02UPDATE

2022年09月号掲載

ヘヴィ・メタルの帝王は何度でも蘇る――偉大なる"マッドマン"Ozzy Osbourneが再び混迷の世界に送り出す、強力な最新アルバムが堂々完成!

ライター:井上 光一

ロック史にその名を残す豪華ゲスト陣と共に生み出した、Ozzyならではのダークでメロディアスな"王道のロック"


10年ぶりの新作としてリリースされた前作『Ordinary Man』(2020年)が、全英/全米チャートで3位という自身のキャリアにおける最高位を記録、ヘヴィ・メタルの帝王の健在ぶりを証明してみせたOzzy Osbourne。まさに悪魔の如き生命力で音楽シーンに再び舞い戻った帝王の復活を誰もが確信した、はずだった。2020年に突如訪れたコロナ禍という未曽有のパンデミックから始まり、自身のパーキンソン病の公表、JUDAS PRIESTとのツアーの再三に渡る延期、そしてまさかのコロナ感染――直近では今年の6月13日に"今後の人生を左右する"ほどの大きな手術を控えているといったニュースもあった(こちらは無事成功している)。ここ数年は"俺にとって本当に大変だった"とOzzy自身が口にするくらいにトラブル続きであり、さすがに"引退"の2文字を覚悟していたファンも多かったかもしれない。

結論から言おう。Ozzy Osbourneという男は、やはり不可能を覆す不屈のマッドマン、プリンス・オブ・ダークネスであった。『Ordinary Man』をリリースした直後に早くもスタジオ入りしていたというOzzyは、身動きが取れないという状況だからこそ、燃えるような創作意欲に任せて楽曲作りに取り組んでいたに違いない。前作に引き続いて才気溢れる若手プロデューサー、2021年の第63回グラミー賞"最優秀プロデューサー賞(非クラシカル)"にも輝いたAndrew Wattと再びタッグを組み、Ozzyのキャリア史上において最も豪華なゲスト陣が多く参加して誕生したのが、通算12枚目(カバー・アルバムを入れると13枚目)となるオリジナル・アルバム『Patient Number 9』である。

Tony Iommi(BLACK SABBATH/Gt)、Zakk Wylde、Jeff Beck、Eric Clapton、Mike McCready(PEARL JAM/Gt)、Robert Trujillo(METALLICA/Ba)、Duff McKagan(GUNS N' ROSES/Ba)、Chris Chaney(JANE'S ADDICTION/Ba)、Chad Smith(RED HOT CHILI PEPPERS/Dr)、そして今年の3月に突然この世を去ってしまったことで、生前最後のレコ―ディングとなったというTaylor Hawkins(FOO FIGHTERS/Dr)――以上が、本作に参加した主な"豪華ゲスト陣"である。ロック・ファンであれば、これがどれほど凄まじい顔ぶれであるのかということを改めて力説する必要などないだろう。先行で公開されているアルバムのリード・シングルにしてタイトル・トラックとなった「Patient Number 9」は、すでに多くのファンが耳にしている通り、世界3大ギタリストたるJeff Beckが参加。不吉なイントロから幕を開ける7分以上に及ぶダークなヘヴィ・ロックで、視界が開けたようにキャッチーなサビへ雪崩れ込むカタルシス、精神科病院というテーマや"患者番号9"といったタイトルも含めて、いかにもOzzyらしい世界観の楽曲の中で、ほぼ全編にわたって弾きまくる御年78歳のJeffのギターは圧巻のひと言だ。Jeffらしいギター・ソロはそれこそアウトロに至るまで弾かれており、まさに一音たりとも聴き逃せない見事な仕事ぶりである。もちろんOzzyも一歩引くなどといった遠慮はせず、偉大な先輩との共演を楽しむかのように、70代とは思えない張りのある唯一無二の歌声を披露。なお、Jeffはストリングスも導入された叙情的な「A Thousand Shades」においてもドラマチックなプレイを提供している。

7月に公開された『Patient Number 9』からの2ndシングル「Degradation Rules」では、盟友 Tony Iommiが参加。おそらく多くの人が、魔術的ヘヴィ・グルーヴを生み出すイントロのギター・リフを聴いただけで、Tonyのプレイであることに気づくのではないだろうか。実はOzzyのソロ・アルバムにTonyが参加することは初めての出来事であり、この曲を聴いただけでも、両者の間に流れる闇の契約の如きケミストリーは今もって健在であることが理解できるだろう。Ozzyによるハーモニカや例の笑い声(!)も飛び出し、古くからのファンを満足させながらも単なるノスタルジーに陥らないのは、年齢などは関係なく第一線に立ち続けるミュージシャンならではの説得力があってこそ。Tonyはこの楽曲以外にも「No Escape From Now」という、これまたいかにもOzzyらしいタイトルの曲で参戦。哀愁のアルペジオによるイントロから、地を這うようにヘヴィなサウンドへと展開していく6分50秒近くに及ぶ長尺曲で、Ozzyが今回のTonyの参加について、"せめてこれらの曲がBLACK SABBATHのアルバム『13』にあれば良かったのにと思うよ"などという本気とも冗談とも取れる感想を述べていることからも、本人の楽曲に対する満足度が窺えよう。

限られた文字数の中ですべての楽曲について解説することはできないが、Jeff Beckと並ぶ世界3大ギタリスト、Eric Claptonが参加していることには触れておきたい。つい先日、OzzyがClaptonに対して"嫌われていると勘違いしていた"というエピソードを披露していたことも記憶に新しいが、そんなふたりが音楽の中で対話した結果生まれたサウンドは、Jeffと同じく両者の個性が存分に生かされたものとなった。Claptonのギターはエモーションが音の粒にまで絡みつくような"泣き"の要素満載で、抑制の効いたAメロからこれまたOzzy節全開のメロディに思わずにやりとさせられるサビ、もちろんソロも含めて縦横無尽に弾きまくりなのである! ここまで紹介してきた楽曲のヴォーカルとギターについては、70代を過ぎたミュージシャンたちが作り上げてプレイしているのだということ自体、驚異的としか言いようがない。ロックを愛するものであれば、生ける伝説たちの奇跡的な共演を一度は体験してほしい。

Ozzyのソロ・アルバムとしては3作ぶりに復帰を果たした、Zakk Wyldeの存在もファンにとっては嬉しい要素だろう。豪快なサザン・ロック風のリフが炸裂する「Parasite」をはじめとして、タイトルがOzzy Osbourneそのものといったようなロック・バラード「Mr. Darkness」など、計4曲でOzzyとの抜群のコンビネーションを披露している。PEARL JAMのMike McCreadyが参加した「Immortal」については、グランジのレジェンドたちの中でも、ハード・ロックの要素が強いPEARL JAMのギタリストならではの、大陸的で爽快なアメリカン・ロックと英国人たるOzzy節が絶妙に融合した楽曲となっている。

繰り返しになるがOzzyにとっての先輩から同時代の盟友に後輩、ロックの歴史における伝説的なミュージシャンたちが集結して作り上げた本作は、前作の路線を踏襲しつつもさらに前進させたかのような、Ozzyならではのダーク且つメロディアスな"王道のロック"を提示してみせた。前作で実現した、Ozzyにとっては孫ほどの世代であるPost Maloneのような若手アーティストの参加はなかったが、今回は複数の名だたるギタリストが参加したことで、それぞれの名人芸とOzzyの個性がぶつかり合う楽しみも味わえる、幅広いロック・ファンにとっての2022年におけるフェイヴァリット・アルバムの1枚となりそうだ。

これで最後となるのか、はたまた次があるのか――それは神ならぬ悪魔のみぞ知る領域ではあるが、困難な現実と戦い続ける帝王の姿に最大級の敬意を表し、充実の内容となった本作がOzzyのキャリアにおける新たな未来となることを祈りつつ、本稿の締めとさせていただこう。


▼リリース情報
Ozzy Osbourne
ニュー・アルバム
『Patient Number 9』
2022.09.09 ON SALE!!

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・解説・歌詞・対訳付

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1. Patient Number 9 (feat. Jeff Beck)
2. Immortal (feat. Mike McCready)
3. Parasite (feat. Zakk Wylde)
4. No Escape From Now (feat. Tony Iommi)
5. One Of Those Days (feat. Eric Clapton)
6. A Thousand Shades (feat. Jeff Beck)
7. Mr. Darkness (feat. Zakk Wylde)
8. Nothing Feels Right (feat. Zakk Wylde)
9. Evil Shuffle (feat. Zakk Wylde)
10. Degradation Rules (feat. Tony Iommi)
11. Dead And Gone
12. God Only Knows
13. Darkside Blues

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