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FEATURE

TOOL

2019.08.30UPDATE

13年ぶり新作『Fear Inoculum』リリース決定! デジタル配信もスタートした過去名盤とともにTOOLの音世界を振り返る!

Writer 井上 光一

孤高、異端、唯一無比――どれもTOOLを形容するうえで正しい言葉ではあるが、同時に、どれも物足りなく思えてしまうのはなぜだろう。結成から30年近く過ぎた現時点で、リリースしたアルバムはたったの4枚。極端な寡作ぶり、且つ難解な音楽性でありながらも、輝かしい商業的成功を収めているのが、凡百のバンドとの決定的な差であろう。今年、13年(!)ぶりに新作『Fear Inoculum』のリリースが決定し、過去作品のデジタル配信もスタートした。そこで、改めてTOOLが生み出した芸術的作品群について、僭越ながら語っていきたいと思う。まだTOOLの音世界に触れたことのない方々にも、興味を持っていただければ幸いである。

■TOOL 過去作品デジタル配信 ストリーミング/ダウンロードはこちら
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EP『Opiate』(1992年)
1stアルバム『Undertow』(1993年)
2ndアルバム『Ænima』(1996年)
3rdアルバム『Lateralus』(2001年)
4thアルバム『10,000 Days』(2006年)

アンダーグラウンドから突如現れた彼らの記念すべきメジャー・デビューEP!

記念すべきメジャー・デビューEP。全6曲入りで、内2曲はライヴ音源である。改めて聴いてみると、硬質なリフを主体としたヘヴィネスは、いかにも1992年という時代を感じさせ、後のTOOL基準で捉えるなら、割合にストレートな作風と言えるし、ロック的(!)なシャウトも披露する、Maynard James Keenanの圧倒的にパワフルなヴォーカルも含めて、聴きやすいとすら言えるかもしれない。とはいえ、突如プログレッシヴな曲展開を放り込んでくるので、油断は禁物だ。初代ベーシスト Paul D'Amourによる、アグレッシヴなベース・プレイも聴きどころ。初期の彼らの姿が刻印された、ライヴ音源も必聴である。

TOOL流儀のヘヴィ・グルーヴが誕生!"檄流"の1stアルバム!

1993年リリースの1stアルバム。当時は"檄流"という邦題が付けられた。基本的には1st EP『OPIATE』を踏襲した、ソリッドなリフ主体のサウンドではあるが、押し引きを弁えたAdam Jonesのギター・ワーク、攻撃的なヘヴィネスを体現するPaul D'Amourのベース、複雑な曲展開を自在に操るDanny Careyのドラムスによるバンド・アンサンブルは、すでに他とは一線を画すTOOL流儀のヘヴィ・グルーヴを生み出している。Maynard James Keenanによる変化自在のヴォーカルとメロディも、妖しく美しい。本作を皮切りに、TOOLの存在は加速度的に巨大なものへと変貌していくのだ。

グラミー賞受賞作!暗黒世界に足を踏み入れた闇の傑作!

2作目にして、突然変異の暗黒世界に足を踏み入れたとしか言いようのない、真の意味でオルタナティヴな作品だ。本作から加入したJustin Chancellor(Ba)による、エフェクトを多用した独創的なベース・ラインは、確実にTOOLの音楽性を新たな次元へと導いている。ダークでありながらも叙情性があり、非商業的ながらポピュラリティを失うことはなく、どの楽曲にも映画的なドラマ性を感じさせる。独立性を保ちながらも、すべてが繋がっているような、深い精神性と肉体的なエロティシズムが結びついた、冷徹な知性に裏打ちされた闇の傑作。本作は全米チャート初登場2位を記録、グラミーの最優秀メタル・パフォーマンス賞を獲得した。

全米チャート初登場1位!アンビエントな進化を遂げた大ヒット作!

前作『Ænima』から約5年ぶりにリリースされ、TOOLが完全に別次元の領域へと達したことを証明した3rdアルバム。ヘヴィ・ロックが本来持つ攻撃性は、よりアンビエントな進化を遂げ、幻惑の美を演出するギター・ワークは芸術的ですらある。ポリリズムを多用する複雑怪奇なリズム・パターン、時にギターのような音色を奏で、固定観念から解き放たれたフレーズを生み出すベース、ある種の妖気を漂わせながらも、さらに神秘的な表現力を手にしたヴォーカルが織り成す楽曲群に向き合うこと自体が、ひとつの音楽的体験だ。このようなアルバムが、全米チャート初登場1位を記録し、大ヒットした事実もまた、音楽史に刻まれた快挙と言えるだろう。

TOOLという生命体の奇跡を味わえる1枚!

またもや5年ぶりとなった、2006年リリースの4thアルバム。まず強調しておきたいのは、過去作も含めて、TOOLは基本的にヴォーカル、ギター、ベース、ドラムという、シンプル且つ伝統的な編成で、このような音を生み出しているという事実である。進化を求めて、真新しいジャンルに挑戦するロック・バンドは幾らでもいるが、TOOLはそのような手段を選びはしない。本作においても、突出したテクニックをひけらかすわけでもなく、それぞれの役割を一歩も踏み間違えることなく、揺蕩うように音が渦を巻いて、向こう側の世界へと聴き手を誘っていく。『Lateralus』ほどの革新性は感じ取れないにせよ、TOOLという生命体の奇跡を味わえる1枚だ。



▼リリース情報
TOOL
ニュー・アルバム
『Fear Inoculum』
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2019.08.30 ON SALE!!
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「Fear Inoculum」配信

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