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FEATURE

MEGADETH

2018.05.31UPDATE

2018年06月号掲載

ヘヴィ・メタルの歴史にその名を刻むMEGADETHの伝説的なデビュー作が、33年の時を経て圧倒的な音像と共に真なる姿で蘇る!

ライター:井上 光一

2017年度のグラミー賞を受賞、結成から35周年を迎えた今も精力的な活動を続けるMEGADETHのデビュー作、『Killing Is My Business...And Business Is Good!』(1985年リリース)が、『Killing Is My Business...And Business Is Good! -The Final Kill』として再リリースされる運びとなった。本作は、2002年にリマスター&アルバム・ジャケットも新装したうえでリイシューされているが、今回は新たなミックス&最新マスタリングを施し、いわくつきの改編カバー曲「These Boots」(詳細は後述)をヴォーカルのみ新録して再収録。そして2002年版に収録されていたデモ音源に加えて、86年~90年の貴重なライヴ音源などをボーナス・トラックとして収録し、再改訂ジャケットと共に生まれ変わった様は、まさに"The Final Kill"というタイトルに偽りなしの決定版となっているのだ。
 
MEGADETHの誕生、そして本作がリリースされた背景というのは、ヘヴィ・メタルの歴史そのものであるし、有名なエピソードばかりなのでいまさら言及するのも気が引けるが、作品の歴史的な価値や意義を理解するうえでも非常に重要であると考え、作品の内容自体に触れる前に、簡潔にではあるが本稿にて改めて述べさせていただこう。初期METALLICAのメンバーとして頭角を現すも、1983年、多くの問題行動などを理由に、デビュー直前でバンドを解雇させられたDave Mustaine(Vo/Gt)が、"METALLICAを超えるバンドを"と決意し、当時同じアパートに住んでいたDavid Ellefson(Ba)と共に結成したのがMEGADETHの始まりである。その後、ジャズ畑のChris Poland(Gt)とGar Samuelson(Dr)のふたりを加えて初期MEGADETHのラインナップが揃い、多くのスラッシュ~デスメタルの名盤を世に送り出した、ニューヨークを拠点とする伝説的なインディーズ・レーベル Combat Recordsと契約を果たすも、レーベル側から支払われたデビュー作のレコーディング予算をドラッグやアルコールにつぎ込んでしまうという破天荒っぷりを発揮。紆余曲折あってDave自身のプロデュースでリリースされた本作は、低予算が故に問題のあるサウンド・プロダクション、バンド側の望んだヴィック・ラトルヘッド(※バンドのイメージ・キャラクター)のイラスト・デザインではなく、チープな模型写真が採用されたアルバム・ジャケット、Nancy Sinatraの歌唱で有名な楽曲「These Boots Are Made For Walkin'」のカバー曲「These Boots」が原曲の作曲者のクレームでのちのプレスから外される等々、バンドにとっても不満の残る結果となってしまった。そのような経緯があったからこそ、先述したように、2002年には最初のリイシューが実現し、今回はまさに3度目の正直とでも呼びたいほどに、おそらくはバンド側にとっても完璧な形での再リイシューとなった次第である。
 

容赦なく吐き出される荒々しい怒りや憎しみの中に、冷徹な知性と際立ったセンスを見せる"インテレクチュアル・スラッシュ・メタル"の原点


 

オリジナル盤は、音質がチープであるが故に漂うアンダーグラウンド臭が、当時バンドが持っていた危険極まりない雰囲気を助長させていた面もあり、この音だからこそいい、という熱心なファンもいるだろう。好き嫌いは聴く人それぞれの価値観に委ねるとして、今回のミックス及び最新マスタリングは、"単に音圧を上げました"というレベルではなく、クラシカルなピアノから一気に高速リフへと雪崩れ込むTrack.1「Last Rites / Loved to Deth」の迫りくる凶暴な音魂を前にするだけでも、劇的な変化がわかるというものだろう。さらには、過去のミックスにはなかった新たな音源パーツが発見され、採用された結果、完全に生まれ変わった楽曲群のサウンド・クオリティは、新旧の聴き手に新鮮な驚きを与えるに違いない。現代ヘヴィ・メタル勢の作品と並べてもなんら遜色のない迫力の音像もさることながら、音の分離がより明確になり、各楽器のフレーズもそれぞれが際立つ形となって、それこそいわゆるスラッシュ四天王、BIG4の他の面々のデビュー作と比較しても、頭ひとつ飛び抜けた演奏技術やセンスに裏打ちされた楽曲の構成力、そして楽曲自体が持つ圧倒的な個性や先鋭的な面などがより浮き彫りになったというのが、個人的には一番の収穫である。スラッシュ・メタルの走りというだけでなく、ハードコアやパンク由来の暴虐性と、NWOBHMからの影響と思しき様式美、ジャズ組が持ち込んだフレーバーも組み合わさって、荒れ狂うスピード感と練られたバンド・アンサンブルが生み出すサウンドに、Dave本人が標榜する"インテレクチュアル・スラッシュ・メタル"の基本形が、荒削りながらもこの時点で萌芽していることが、最終版となる本作に触れることで、今まで以上に理解できるはずだ。
 
デビュー作にして、MEGADETHというバンドが持つ多くの可能性が随所に感じられるアルバムであり、同時にDaveの反骨精神と狂気すれすれの怒りや憎しみが渦巻く、MEGADETH史上最も尖ったアルバムである本作の凄味を、2018年という時代において再び世に問うべく生まれたのが、今回の最終版である。結成35周年というアニバーサリー・イヤーに相応しい、原点にして最狂のヘヴィ・メタル・アルバムの見事な復活であり、ヘヴィな音を求めるすべてのリスナーに、激烈な一撃を浴びせることだろう。

 

▼リリース情報
MEGADETH
1stアルバム(新装盤)
『Killing Is My Business...And Business Is Good! -The Final Kill』
megadeth_jkt.jpg
2018.06.06 ON SALE!!
SICP-31164/¥2,700(税込)
[Sony Music Japan International]
amazon TOWER RECORDS HMV
 
1. Last Rites / Loved To Deth  
2. Killing Is My Business...And Business Is Good!
3. The Skull Beneath The Skin
4. Rattlehead
5. Chosen Ones
6. Looking Down The Cross
7. Mechanix
8. These Boots
9. Last Rites / Loved To Deth (Live) (1987 London, UK)
10. Killing Is My Business...And Business Is Good! Live) (1986 Denver, CO)
11. The Skull Beneath The Skin Live) (1990 London, UK)
12. Rattlehead (Live) (1987 Bochum, Germany)
13. Chosen Ones (Live) (1986 Denver, CO)
14. Looking Down The Cross (Live) (1986 Denver, CO)
15. Mechanix (Live) (1986 Denver, CO)
16. Last Rites / Loved To Deth ("Skull Beneath The Skin" Demo 1984)
17. The Skull Beneath The Skin ("Skull Beneath The Skin" Demo 1984)
18. Mechanix ("Skull Beneath The Skin" Demo 1984)
 
※日本盤のみ高品質のBlu-spec CD2仕様

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