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FEATURE

HIGH ON FIRE

2012.04.13UPDATE

2012年04月号掲載

“キリストには双子の兄弟が居て、キリストが生きるためにその兄弟は生まれるときに死んでいたとしたら?” HIGH ON FIRE、妖しく、禍々しいコンセプトのニュー・アルバム『De Vermis Mysteriis』をリリース!!

Writer 米沢 彰

アメリカ・オークランドを拠点に活動するHIGH ON FIRE。1998年に伝説的メタル・バンドSLEEPの元ギタリスト、Matt Pike (Vo&Gt)を中心にトリオ編成で結成され、2000年に1stアルバム『The Art Of Self Defense』でデビュー。2002年には2ndアルバム『Surrounded By Thieves』をリリースし、更にはMASTODON、DARKANEとともに“Extreme the Dojo vol.5”にて来日を果たすなど早くからここ日本でも人気を確立していた彼ら。2005年リリースの3rdアルバム『Blessed Black Wings』はKerrang!誌やRevolver誌など、海外の音楽専門誌より年間最優秀アルバムの1つに挙げられるなど、高い評価を獲得し世界的な評価を確立。HELLFESTなどの大規模フェスを回り、日本へも“Extreme the Dojo vol.14”にてMISERY SIGNALS、DEW-SENTEDと共に2度目の来日を果たしている。2007年には4thアルバム『Death Is This Communion』をリリースし、Metal Hammer誌、Revolver誌から年間最優秀アルバムの1つに選出されるなど、この作品でも改めてバンドの評価を高めることとなった一方、バンドの中心メンバーMatt Pike(Vo&Gt)がRolling Stone誌より“The New Guitar Gods TOP20”に選出されるなど、個々のメンバー単位でも評価を獲得した。DEVILDRIVER、SHADOWS FALLをサポートに従え、LAMB OF GODとのダブル・ヘッドライン・ツアーを行うなど、そのバンド規模も拡大してきた。そうした中でリリースされた5枚目となった前作『Snakes For The Divine』は音楽専門誌からの評価はもちろん、全米Billboard TOP 200に62位にランク・インするなど、セールス面でも充実した結果を残している。更にはバンドとしてもMETALLICAのヨーロッパ・ツアーをオープニング・アクトとしてサポートするなど、より広い層へと認知度を拡げてきた。

今回リリースとなる6thアルバム『De Vermis Mysteriis』はCONVERGEのギタリストKurt Ballouをプロデューサーに迎え制作され、HIGH ON FIREの持ち味である激しいサウンドとほとばしるパッションを十分に引き出した作品となっている。架空のクトゥルフ神話系に登場する魔導書のタイトル『De Vermis Mysteriis』(訳:妖蛆の秘密)を冠し、Matt Pike本人も“これは4thアルバム『Death Is This Communion』の実験性と、3rdアルバム『Blessed Black Wings』が持つすさまじい邪悪さを合体させたような作品だ”と語るように、本作は激しさとパッションを持ちながらもどこか妖しく、禍々しいサウンドに仕上がっている。MASTODONやDEVILDRIVERらとサウンドのバックボーンは近いものがあるが、ここまでのドロドロしたサウンドはHIGH ON FIREにしか出せないだろう。比較するものではないだろうが、MASTODONのサウンドが爽やかに思えてくるぐらいだ。“キリストには双子の兄弟が居て、キリストが生きるためにその兄弟は生まれるときに死んでいたとしたら?”というオリジナリティ溢れるアイディアから作り上げたコンセプト・アルバムとしての一面も持ち、ジャケットにもそのコンセプトの一端が良く現れているのが面白い。バンドはこのリリースの直後からMAYHEM FESTIVAL 2012でSLIPKNOT、SLAYER、ANTHRAX、AS I LAY DYINGらと共に全米をサーキットする予定となっており2012年に最も注目すべきバンドの1つと言っても過言ではない。前作に続き、今作『De Vermis Mysteriis』で更なる評価を獲得し、セールス面も前進するのは間違いないだろう。

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