FEATURE
SHINEDOWN
2012.03.07UPDATE
2012年03月号掲載
Writer ムラオカ
SHINEDOWNの新譜がリリースされるという情報がレーベルから下りてきて音源も到着。これはかっこいい!4月号に掲載できればと思い早い段階でインタビューを依頼していたが、結局フィックスすることなくタイム・オーバーとなってしまった。“LINKIN PARKやMY CHEMICAL ROMANCEならまだしも、SHINEDOWNくらいインタビュー取ってくれよ”という読者の声も聞こえてきそうなものだが、実は、この“SHINEDOWNぐらい”などと言う発言は“全くもってナンセンス!!”と言い切れるほどに彼らは全米を中心に“バカ売れ”しているアーティストなのである。
まずは、“SHINEDOWN!?誰それ?”などということが今後激ロッカーの間では起こらないよう、彼らの華々しい歴史を書いていこう。
SHINEDOWNは2001年にフロリダ州ジャクソンビルにてヴォーカルのBrent SmithとドラマーのBarry Kerchによって結成される。2003年にAlice CooperやSALIVAなどハードロック・バンドを多く手掛けているBob Marletteをプロデューサーに迎えて制作された記念すべき1stアルバム『Leave A Whisper』(日本盤未発売)は本格派ロック・サウンドが好意的に受け入れられ、デビュー作にしていきなりプラチナム(100万枚以上)を取得、全世界で150万枚以上というビックヒットとなる。2005年にリリースされた2ndアルバム『Us And Them』(日本盤未発売)は残念ながらミリオンには届かなかったが、1stのビルボード53位を大きく越え23位と大躍進した。そんな彼らの勢いはまだまだ止まらない。2008年6月にはGREEN DAYの『American Idiot』を含む『Dookie』以降の全作品や、 MY CHEMICAL ROMANCEの『The Black Parade』など歴史に残る作品の数々を手掛けてきた名プロデューサー、Rob Cavalloを迎え磐石の態勢で3rdアルバム『The Sound Of Madness』をリリース。この作品で彼らはついにビルボード・チャート・トップ10に食い込む8位を記録、チャートに120週に渡ってランク・インし続け、最終的にアメリカだけで120万枚以上のセールスを上げるモンスター・ヒット作となった。販売数字上では1stアルバムが上回っているが、2003年と2008年のCD販売環境の差を考えれば、3rdアルバムの120万枚の方が価値が高いことは一目瞭然である。この作品に収録された5曲ものシングルがメインストリーム・ロック・チャートで1位を獲得している点も見逃せない。またSylvester Stallone(シルベスター・スタローン)やBruce Willis(ブルース・ウイルス)など豪華アクション・スターが共演した映画『The Expendables(エクスペンダブルス)』に「Diamond Eyes (Boom-Lay Boom-Lay Boom)"」を提供し、ロック・シーンのみならず、より幅広い一般層にも彼らの名が浸透することになった。
つらつらと書かせていただいたが、彼らのすごさが伝わっただろうか?作品の完成度だけでなく、スタジアムで大迫力のライヴを可能にする演奏力やバンド力なども魅力であるヘヴィ・ロック、モダン・ロック系バンドはここ日本においてはNICKELBACKは別格として、DISTURBED、DAUGHTRY、3 DOORS DOWNなど、どのバンドも一様に受けが良くない。
そんな悪しき慣習のようになりつつある“ヘヴィ・ロック日米格差の流れ”をバッサリと絶つことができるポテンシャルを秘めた作品、『Amaryllis』をSHINEDOWNは作り上げてきた。プロデューサーは前作同様、名匠Rob Cavalloが引き受けており、前作の成功を経て、コマーシャルなサウンドへシフトすると想像された今作だが、意外にも今まで以上にラウドロック寄りなアプローチへ変化している。また土臭いサザン・テイストが減じて王道のロック・サウンドへシフトし、ヘヴィさを失わずして普遍的なメロディに溢れた作風となったことは、我々日本人リスナー好みになったと歓迎すべきことだろう。
「家族全員で来てくれる人もいるんだ。子供からお爺ちゃん、お婆ちゃんまでライヴに来てくれるようになった。それまでに目標として掲げてきた事が全て現実となったんだ」 メンバーはこう語る。こういったライヴの光景はMETALLICAやIRON MAIDENなど長い歴史と秀でた人気を保ち続けるごく一部のバンドにのみ与えられるものである。まだMETALLICAやIRON MAIDENと比較するのは早計だとは思うが、彼らが同じ道を歩みつつあることは間違いないだろう。
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