FEATURE
I SEE STARS
2011.05.11UPDATE
2011年05月号掲載
Writer ムラオカ
ニュー・アルバム『Reckless & Relentless』をビルボード・チャート9位に叩き込んだASKING ALEXANDRIAを筆頭にCONDUCTING FROM THE GRAVE、STICK TO YOUR GUNS、PERIPHERY、AFTER THE BURIALなど一癖も二癖もあるエクストリームなアーティストばかりを抱えているレーベル“SUMERIAN RECORDS”において最もキャッチーなバンド、それがこの“I SEE STARS”である。
I SEE STARSはミシガン州ワーレン出身、06年に結成されたエレクトロ、ポスト・ハードコア・バンドだ。メンバー構成はクリーン・ヴォーカルのDevin Oliver、スクリーム・ヴォーカルとシンセ、プログラミング担当のZach Johnson、リード・ギターのBrent Allen、リズム・ギターのJimmy Gregerson、ベーシストのJeff Valentine、そしてドラマーのAndrew Oliverの6人組。なおDevinとAndrewは兄弟とのことだ。
彼らは07年に『Green Light Go!』、そして08年に『I See Stars』と、2枚の自主制作EPをリリースし、フル・アルバム・リリース前の08年8月にはEMAROSAをヘッドライナーに行われた"Artery Foundation Across the Nation" tourにOUR LAST NIGHT、IN FEAR AND FAITH、BURDEN OF A DAY、BROADWAYと共に参加し、彼らの存在をシーンに一気に広めることに成功した。
そして09年に1stアルバム『3-D』をリリース。最近ではMEMPHIS MAY FIREやJAMIE'S ELSEWHEREを手掛けているCameron Mizell プロデュースのもと、SUMERIAN RECORDSよりリリースするが、当時エクストリームなバンドばかりを扱っていた同レーベルからBEFORE THEIR EYESばりにポップでキャッチーなピコリーモ・バンドがリリースされるということに驚いたものだ。このアルバムはビルボード・チャート176位、インディー・チャートで22位と1stアルバムにしてはまずますの成績を残している。
1stアルバムをリリース後、再び"Artery Foundation Across the Nation" tourにATTACK ATTACK!、BREATHE CAROLINA、ASKING ALEXANDRIA、BURY TOMORROWと共に参加している。
09~10年の間、プログラミング担当のZach Johnsonが脱退し、WE CAME AS ROMANCEにも在籍していたChris Mooreが加入しているが、どういう理由があってかは定かではないが、10年6月にはZachが再びメンバーとして復帰している。
バンドは10年5月に再びCameron Mizellをプロデューサーに迎えSophomore Studioにて2ndフル・アルバムの制作に入り出来上がったのが、今作『The End of the World Party』である。
まずはTrack.1の「The End of the World Party」。この曲はPVにもなっているI SEE STARSの集大成ともいえるリード・トラック。Devinのキャッチーなクリーン・ヴォーカルにZachの低音グロウルのコントラストがお互いを引き立てている、フューチャリステックで新世代メタルコアの雰囲気を感じさせる曲である。
Track.3「Still Not Quite Enough」やTrack.5「Home for the Weekend」、Track.7「Upside Down」はCASH CASHやMETRO STATIONも顔負けなポップでキャッチーなトラック。前作ではややもすると平坦に感じられた彼らのメロディ展開であったが、今作ではこの3曲に限らず、キャッチーでフックのあるメロディが非常に際立っており、今作での大いなる成長を感じさせる。
個人的に最も気に入っているのはTrack.6の「It Will Be Up (High School Never Ends) 」。アッパーでキャッチーなダンス・チューンからグロウルやブレイクダウンに突入する様はフロアの盛り上がりが容易に想像できるパーティー・チューンだ。Fear,and Loathing in Las Vegasが好きな人にもぜひとも聴いて欲しいトラックである。
ATTACK ATTACK!、ASKING ALEXANDRIAなどエレクトロ、メタルコア・シーンに属するバンドの多くはキャッチーなパートとエクストリームなパートの比率が2:8近辺のサウンドが多いが、I SEE STARSはその逆で8:2くらいの割合でキャッチーなパートが多い。FACTやFear,and Loathing in Las Vegasなどキャッチーなサウンドに時にスクリームやブレイクダウンが入ってくるようなタイプが受け入れられやすいここ日本では、I SEE STARSは大きくブレイクする可能性を秘めているバンドだと言えるだろう。
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