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FEATURE

IRON MAIDEN

2010.08.09UPDATE

2010年08月号掲載

アルバムデビュー30周年記念! 生きる伝説の咆哮を聴け――

ライター:道明 利友

 1stアルバム『Iron Maiden(邦題“鋼鉄の処女”)』のリリースから、今年でじつに30年……。流行り廃りが激しく波打つ音楽シーンで、こんなにも長く世界のファンから熱狂を送られ続けていることだけでも、このバンドの凄さは一目瞭然だろう。その存在はまさしく、“Living Ledgend” ――“生きる伝説”という称号がふさわしいIRON MAIDEN、自身通算15作目となるオリジナルアルバム『The Final Frontier』が完成だ。

「このスタジオには1983年とまったく同じヴァイブがあり、何も変わっていなかった!隅の壊れたシャッター、同じカーペットに至るまで、全てが……。本当に、幽霊のしわざのように。だが、こんなふうに慣れ親しみ、よく整えられた環境で全員が非常にリラックスできたし、個人的にも、それがアルバムのプレイや雰囲気に表れていると思う」

 オフィシャル・プレス・リリースの中で、ヴォーカルのBruce Dickinsonはそんなコメントを寄せている。4thアルバム『Piece Of Mind(邦題“頭脳改革”)』などの作品を生み出した“Compass Point Studios”でレコーディングが行なわれた今回のアルバムは、25年以上も前から変わらないIRON MAIDENの個性をたっぷり堪能できるはずだ。
 まずは、なんといっても、衰え知らずの勢い! 破壊的な爆音で幕を開け、極太ベースを皮切りに疾走するぶ厚い音の塊……。今作のリードトラック「El Dorado」は、個人的なメイデン初体験作になった『The Number Of The Beast』を思い出した。1982年リリースのこのアルバムを後追いながら手にし、オープニング・ナンバー「Invaders」にヤラれたときは、パンクやハードコアにハマりハードロック方面はスルーしていた当時の自分を後悔してしまったほど。気分を激しく高揚させてくれる音楽は様々なジャンルにあるんだと、いち音楽ファンとしての嗜好を幅広くしてくれた思い出深い初期作の衝動的な感覚を、現在も変わらずに持ってくれているのが嬉しい。さらに、アルバムのタイトル・ナンバー「Satellite 15…..The Final Frontier」の力強いリズムの連打には、現代のヘッドバンガーたちも頭をぶん回したくなるはず。キャリア30年超えのバンドにして、このアグレッシブさ……。どんな鍛錬をしたらこのパワフルさを維持できるのか、健康&体力維持の観点からも秘訣を聞いてみたいものだ(笑)。

 その2大ナンバーでインパクトたっぷりに幕を開ける序盤から、楽曲ラインナップを見ていくと……。アルバムのエンディングを飾る「When The Wild Wind Blows」の10分59秒を最高に、長尺の大作曲の多さも、今作にずっしりした聴き応えを生んでいる要因のひとつ。叙情的なメロディからスピード感を上げ、バンド全体がガッチリとスクラムを組んだサウンドが爆発する「Isle Of Avalon」。厳かに刻むワルツのようなリズムから一転、豪快な演奏とハイトーン・ボイスがうなりを上げる「The Talisman」、etc……。まるで組曲のような展開を1曲の中で見せる楽曲は、ロック界屈指のプレイヤーが揃うIRON MAIDENの技術力があってこそのもの。そんな彼らにどれだけの後続ミュージシャンが影響を受けたかは、これまでいくつものトリビュート盤が制作されていることにも表れているが……。その中でも印象深いのが、イギリスの老舗雑誌“Kerrang!”が2008年1219号の付録CDとして企画した『Maiden Heaven』。あのMETALLICAや、IRON MAIDENの北米ツアーへの帯同に続き今年のSUMMER SONICに参戦したDREAM THEATERらの大物勢。さらに、AVENGED SEVENFOLD、TRIVIUM、GALLOWSなどの若手まで……。このラインナップを見るだけでも、現在の音楽シーンにIRON MAIDENの遺伝子が少なからず植えつけられているということに、激ロック読者の皆さんも納得してもらえるはずだ。

 若かりし頃の衝動を、いつまでも忘れない。そして、キャリアを積むごとに増していく熟練。ロック・シーンの歴史を作ってきた功績と、近年のラウド・ミュージック・シーンを担うバンドもこういう音楽を聴いて育ったという証明が、この『The Final Frontier』にはある。IRON MAIDENを追いかけ続けるベテラン・ファンのかたはもちろん、これまであまり縁がなかった若者世代の音楽ファンにもぜひ手に取ってもらって、新たな発見や刺激など様々なものをここから見つけてもらいたい。

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