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FEATURE

DROPKICK MURPHYS

2010.04.06UPDATE

2010年04月号掲載

己の人生を戦う、全てのファイター達に捧ぐ応援歌!DKM、闘志漲るライヴ・アルバムをリリース!!

Writer 山本 真由

日本で生まれて日本で育った私のような生粋の日本人にとって、“血が持つ故郷”というのを意識する機会は少ない。自分が日本人だと言い張らなくても誰もがそれを受け入れているし、それは勝ち取るものでも何でも無い、自分の意志でも親の意志でも御先祖様の意志でも無いからだ。

DROPKICK MURPHYS は、アイリッシュ・トラッド・ミュージックを取り入れたパンク・バンドの代表格として、ここ日本でも確固たる支持を獲得している。彼らのホーム・グラウンド、アメリカ合衆国北東部にあるボストンという都市は、17世紀に英国からの移民によって築かれ、宗教的・文化的にアイルランド系アメリカ人の影響が大きい。本作『Live On Lansdowne, Boston MA』が3 月17 日のSt Patrick's Day(アイルランドの祝日)に合わせてリリースされた事も、また緑色(St Patrick's Dayは緑色の物を身につけるのが風習)のカヴァー・アートワークも、彼らの音楽のルーツがアイリッシュ・トラッドである事を表現しているのだろう。
冒頭で述べた“血が持つ故郷”というのは持って生まれたもの、例えば肌や髪や目の色の事で、それをどう表現するか、その色で形でどう生きるのか。それは自分の意思で、腕で決めていく事だ。ボストンは“ボストン茶会事件”などアメリカ独立革命を象徴する歴史的事件で有名な地でもあり、そんな故郷を愛するDROPKICK MURPHYSは、そういう強い意志を歌っている。

前置きが長くなったが、この最高なライヴ・アルバム『Live On Lansdowne, Boston MA』には、兎に角そんなアツいエネルギーが満ち溢れている。イントロの「Let’s go! Murphys!」というコールを聴いているだけで、もう彼らのライヴの熱気や高揚感が伝わるに違いない!よく比較されるアイリッシュ・パンク・バンドFLOGGING MOLLY よりも、土地柄からかOi やストリート・パンク、ハードコア・パンクの要素が強いDROPKICK MURPHYS には、力強く男気溢れる楽曲が多い。今回のライヴ音源も、一曲目の「Famous For Nothing」からフル・スイングでかまされるMURPHYS 節のパンク・ロックにリスナーのアドレナリンは大放出確実だ。
個人的は大好きな曲「Sunshine Highway」が収録されているのが嬉しい。Ken とAl のダミ声ヴォーカルの掛け合いも、シンガロング・パートも全編に渡ってポジティヴなパワーに満ち溢れている。同郷の先輩にして盟友MIGHTY MIGHTY BOSSTONES と共演している「I'm Shipping Up To Boston」(この曲はMartin Scorsese 監督のハリウッド映画『The Departed』に起用された)も聴きどころだ。
『The Warrior's Code』(2005年)以降の曲が中心だが、付属のDVDにはボーナス・トラックとして初期の名曲「Cadence To Arms」と「Do Or Die」のライヴも収録されているのでそちらも是非チェックして欲しい。

毎日をあくせく働き、人生というリングで戦うファイター達の応援歌を歌い、奏で続けるDROPKICK MURPHYS。このライヴ・アルバムは、パンク・ロック・ファンだけでなく、全ての人にとって心強いアルバムだ。勿論、この音源も映像も最高だが、実際“ライヴが見たい!”という欲求にもかられる。早く来日して欲しい!!

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