LIVE REPORT
LOUD PARK 09|ANTHRAX
2009.10.17 @幕張メッセ -BIG ROCK STAGE-
Writer ムラオカ
John Bushが急遽カムバックしてのLOUDPARK09でのライヴ。
サイレンの音が鳴り響き、少しすると、目下のところ最新作である『We've Come for You All』から、重戦車のようなバスドラの連打とギターリフが印象的な「What Doesn't Die」からスタート。2003年という時代も反映してか若干モダン・ヘヴィネスな色合いを感じさせる曲だが今聴いても非常にかっこいい。会場の音の悪さに苦戦を強いられるバンドが多い中、かなり音の分離も良く素晴らしい。観客も本日最高の盛り上がりを見せこちらのテンションもそれに呼応して上がってくる。そして1995年作の『Stomp 442』から「Fueled」を演奏。グルーヴィなクランチリフとライトな感じのヴォーカリゼーションが会場をノリノリにする。John Bush時代の曲ということもあり非常に声も良く出ておりANTHRAX独特のグルーヴ感も遺憾なく発揮されている。いつANTHRAXを見ても同じことを言っているような気もするが、今日もANTHRAXは最高である。そしてグルーヴィなダンスチューンから一転して1987年リリースの、メタル・シーンに大きな衝撃と影響を与えた傑作アルバム『Among the Living』から「Caught in a Mosh」で曲のタイトル通り、会場には巨大なモッシュピットが誕生。会場後方でも往年のスラッシャーから平成生まれのメタル・キッズまで至るところでヘッドバンギングが繰り広げられる。
そして『Among the Living』に匹敵する傑作、1988年リリースの『State of Euphoria』収録のベルギーの人気メタル・バンド"TRUST"のヒット・ソング「Antisocial」のカバーが演奏される。「Got The Time」といい本日最後に演奏された「Bring The Noise」といい、ANTHRAXのカバー・ソングのセレクトの絶妙さとアレンジの妙にはほんとに脱帽させられる。
その後はJon Bush時代のメロディアスで正統派ヘヴィメタルの色合いが濃いアルバム『Volume 8: The Threat Is Real』や『We've Come for You All』、『Sound of White Noise』などからJonのメロディアスなヴォーカルを生かした「Catharsis」や「Safe Home」、「Room For One More」、「Only」などが演奏される。正直もっとモッシーでアグレッシヴな曲中心のライヴを期待していたファンもたくさんいたとは思うが、今回は Jon Bushをヴォーカルに置いての来日なのでこのセレクトは懸命なものであっただろう。
Jon Bush時代のメロディアスな曲に挟んで古い曲も演奏され、会場にどれだけ知っている人がいたかは疑問だが、初代ヴォーカルNeil Turbinが在籍していたファースト・アルバム『Fistful of Metal』から「Metal Thrashing Mad」が演奏される。原曲はスラッシュメタルというよりヘヴィメタルと言った方がいいサウンドだが若干現代風アレンジで演奏されていた。
そしてPUBLIC ENEMYのChuck-Dをゲストに迎えリリースされた「Bring The Noise」を演奏。1987年当時は決して交わらないとされていたメタルとHIP-HOPのコラボレートがさらりと演奏されるところにいい時代になったとおっさん的コメントが頭の中をよぎった。
そして最後は『Among The Living』からイントロのリズミックなタイコ的ドラムから激速クランチリフに怒涛の如くなだれ込む名曲「Indians」で終了。
筆者的にはスラッシュ四天王と呼ばれるバンドたちの中でもANTHRAXが時代の変遷を経ても最も新鮮な気持ちで聴き続けることができるバンドであることを再認識させられるライヴであった。
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