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INTERVIEW

ヤミテラ

2025.06.09UPDATE

2025年06月号掲載

ヤミテラ

Member:RiNa(Vo) ShuKa(Gt) J 'ω'2(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

"玉砕覚悟デ突撃セヨ"の詞が聴き手に強く伝わってくる、表題曲を含んだ堂々の1stフル・アルバム『玉砕メーデー』をこの機に発表したのは、今年8周年の節目を迎えるヤミテラだ。バンドとしての原点を意識した上、ヴィジュアル系そのものとも再対峙することになったという今作を経て、彼等は8月6日に、"結成8周年記念単独公演JUDGMENT -SECOND-"と題したライヴで、3年ぶりに恵比寿LIQUIDROOMの舞台へと赴く。"今が最強"であることを証明するために。

-現在"ヤミテラ1stフルアルバム【玉砕メーデー】発売記念ワンマンツアー―外道反逆的列島爆烈行脚2025―"の最中となるヤミテラは、今年で8周年を迎えるそうですね。バンドにとっての大きな節目を前に、今回の1stフル・アルバム『玉砕メーデー』を制作していく上で、皆さんが特に重視されていたのはどのようなことだったのでしょうか。

RiNa:ここまで8年の間には、時期によって、音楽的にも方向性的にもいろんなことをやってきていたところがあったんですけど、今回はもう一度このバンドを始めた頃に原点回帰をするというか、自分たちにとってのヴィジュアル系を改めて捉え直しながらも、お客さんたちが喜んでくれそうなところも意識しつつ、それを今のヤミテラとして表現していくようなアルバムを作っていった感じですね。

-2020年2月にシングル『ナンセンス』がリリースされてから5年を経て、このたび聴かせていただいた1stフル・アルバム『玉砕メーデー』は、曲調こそ様々ですけれど、全体的に以前よりも"はっちゃけた"作風になっていると感じます。

RiNa:たしかに、今回のアルバムにはそういう雰囲気がわりとあると思います。原点回帰って考えたとき、やっぱりバンドとしては、落ち着く方向よりも初期衝動的な激しさを音にしたいというほうに行ったんで。

-それと同時に、今作はライヴのことも想定した内容になっていそうですよね。

RiNa:もちろんです。ヤミテラはライヴが活動の主軸になってるので、ライヴで楽しめる曲、ライヴで感動できるような曲っていうところは考えて作りました。

-ドラマーであるJ 'ω'2(じゅんじゅん)さんはコンポーザーとしての役割も果たされていますが、本作『玉砕メーデー』に向けた楽曲制作の段階では、どのようなヴィジョンをお持ちだったのでしょうか。

J 'ω'2:基本コンセプトとして原点回帰っていうのはあったので、曲を書くときはそこからあまり逸れないようにと思いつつも、ちょっとアルバムの中でフックの効いた曲を作りたいなと思ってましたね。このアルバムにはシングルっぽい曲とか、ライヴ映えする曲、アルバムならではの曲とかがいろいろ入っていますけど、自分は他の曲たちとは別枠みたいな位置付けの曲をあえて作りました。

-7曲目の「舞酔」には、このバンドとしては珍しくEDM要素が入っていますものね。

J 'ω'2:これは例えばですけど、"ヤミテラが野外フェスに出たときこんな雰囲気の曲があったら盛り上がるんじゃないかな。そういう光景を見てみたいな"っていうことを想像しながら作った曲なんですよ(笑)。曲の最後で大騒ぎしてるみんなで歌うようなパートも、そういうイメージで入れてます。あと、4曲目の「レビトランス」はヤミテラ初のシャッフル曲として作ったものですね。

-ギタリストであると同時にヤミテラのメイン・コンポーザーであるShuKaさんの場合、個々の曲によっても違うかとは思いますけれど、今回のアルバム『玉砕メーデー』に向けた楽曲制作をしていく上では、主にどのようなことを留意されていたのでしょうか。

ShuKa:今回のアルバムではちょっと変化を持たせるという意味で、1曲目の「玉砕メーデー」と2曲目の「南無阿弥踊」は、今までのヤミテラでは使ったことのないチューニングで作りました。それが結構上手くいったかなっていう感じです。

-「玉砕メーデー」と「南無阿弥踊」は共に低いほうに行っているわけですね。

ShuKa:サウンド全体としてはあんまりヘヴィにはしてないんで、聴いてるとたぶんそんなには低い感じがしないかもしれないんですけどね。でも、チューニング的にはG#だからこれまでのうちの曲では一番低くなってます。

-なお、1曲目の「玉砕メーデー」はアルバムのタイトル・チューンでもあります。これはアルバム・タイトルが先にあったのか、それともこの曲が生まれて結果としてアルバム・タイトルになったのか、でいうとどちらなのでしょう。

RiNa:まずは曲ができてからその後アルバム・タイトルになったっていう流れですね。「玉砕メーデー」の持ってるイメージがアルバム自体にもハマるよねとなりました。

-それに、この"玉砕メーデー"というタイトルはインパクトの強い言葉ですよね。

RiNa:何かに対して勢い良く突っ込んで攻めていく、みたいなイメージを言葉にしたくて考えたときに浮かんだのがこの言葉だったんです。昔ゼロ戦が神風特攻で突っ込んで行ったみたいなイメージというか。

-なるほど。決死の覚悟を持って挑むという姿勢をこの言葉に託されたわけですね。

RiNa:意味合いとしては、ヤミテラがここからヴィジュアル系を広げていくぞ! という気持ちをこの言葉に込めてます。

-そして、「玉砕メーデー」の詞はRiNaさんとShuKaさんのお2人で書かれたそうですね。ぜひその経緯についても教えてください。

RiNa:これは7割くらいを自分が書いてて、3割くらいをShuKaが書いてます。最初にShuKaがサビのメロディと歌詞を考えて、そこから僕が広げていきました。

-歌詞の中には"バンギャルの皆様に告ぐ"というフレーズが出てくるのもあり、この曲はライヴの場での訴求力が強化された仕上がりになっている印象です。

RiNa:制作とかレコーディングを進めていく途中で、ふと"これはライヴのときに拡声器を持って号令を掛けるような雰囲気で歌うと面白そうだな"と思ったんですよね。最初から思い描いていたわけではないんですけど、作っていく過程でどんどん曲のイメージが固まっていったところがありました。

-J 'ω'2さんが「玉砕メーデー」を叩いていく上で心掛けられたことはなんでしょう。

J 'ω'2:そんなに細かいことを意識したというのは正直ないんですけど、シンプルを心掛けようってところだけはちょっとありました。この曲はアルバムの表題曲ということで、ライヴでやるのは"ヤミテラ1stフルアルバム【玉砕メーデー】発売記念ワンマンツアー―外道反逆的列島爆烈行脚2025―"の初日からになるんですが(※取材は5月下旬)、当然ライヴの中でも重要なポイントになってくる曲だと思うので、手数を多くするよりは、ノリ重視でバンドとしての勢いを前に出せるように、ドラムのアレンジも意図してシンプルにしました。

-そんな「玉砕メーデー」以外にも今作には様々な楽曲が収録されておりますので、ここからは各人にとっての個人的な推し曲を教えていただけますと嬉しいです。

RiNa:僕は「CLOWN」ですね。曲調も好きですし、ヴォーカリストとしてはこういうバラードって歌にもいっそう力が入るから、ライヴで歌うのもすごく楽しみですね。歌詞もちゃんと意味を持ったものを書けたという実感があるので、とても気に入ってます。

-歌詞中にある"哀しみのCLOWN"とは、サーカスのクラウンと、バンドのヴォーカリストであるご自身をオーバーラップさせたフレーズだったりもして?

vRiNa:一つの物語になってる詞ですけど、そういうところもありますね。

-ちなみに、「CLOWN」はメロディの存在感が強い曲となっているせいか、ギター・ソロもかなりメロディアスな印象です。

ShuKa:個人的にもメロディが頭に残るようなギター・ソロは好きなんで、これはそこを特に意識しながら弾きました。

-J 'ω'2さんは、この「CLOWN」とはどのように対峙されていきましたか.

J 'ω'2:「CLOWN」はアルバムに収録する前から、実はライヴで先行披露をしてた曲なんですよ。主にワンマンのとき、中盤とかの俗に言う歌モノセクションみたいなところに組み込んでやってたんです。とはいえ、バラードだからってお客さんがずっとじっくり落ち着いて聴いてるわけではなくて、以外とノれる部分もある曲だから、音源化するときにもそこはちょっと考慮しましたね。こうして音源化した後に改めてライヴで披露したときに、会場の雰囲気がどんなふうになるのかも今からすごく楽しみです。

-では、J 'ω'2さんの推し曲はどちらになりますか。

J 'ω'2:自分が作った曲っていうところで、さっき少し話に出た「舞酔」ともう1曲の「レビトランス」ですね。

-「レビトランス」はヤミテラ初のシャッフル曲とのことでしたが、これまでなかったというのがむしろ意外です。

J 'ω'2:なかったから欲しかったんですよ。僕はドラマーなので、こういうリズムの曲をヤミテラでもやってみたかったんです。で、なんとなく大人っぽい雰囲気の曲になったこともあり、詞もそれに合わせたいという意味で、言葉を選ばずに言うと"少しエロい感じの歌詞を書いてくれ"ってRiNaにお願いしました(笑)。

-そうしたお願いされたRiNaさんとしては(笑)、この詞を書くにあたりエロティックさの匙加減はどのように調整されましたか。

J RiNa:恐らく、男目線から書くセクシャルな歌詞と、女性目線から書くセクシャルな歌詞では意味も印象もだいぶ変わってくると思うんですよ。きっと女子からしてみると、男目線なものは気持ち悪いって感じる可能性があるんじゃないかということで、そこは基本的に意識しましたね。

-女性目線っぽい内容になっているのはそのためだったのですね。なお、この"レビトランス"というタイトルは......?

J RiNa:造語です。意味はちゃんとあるんですけど、あえてここでは言いません。インストア・イベントとかで質問されるんですけど、いつもわざと濁してるんですよ(笑)。ヒントを出すとすれば、2つの言葉を組み合わせてます。

-「レビトランス」はサウンド面でも、詞の面でも、ヤミテラとしての新たな扉を開いたところがあるかもしれませんね。

J ShuKa:ギター・ソロ前に入ってる"なんちゃってジャズ"的なパートも、やってみて面白かったですよ。セッションまではいかないですけど、シャッフルのドラム・パートとベースで軽く絡んでるところは狙い通りの場面を作れましたし、結果として、そこも曲の持ってる大人っぽさの演出みたいなところに繋がったかもしれません。