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INTERVIEW

Waive

2025.06.02UPDATE

2025年06月号掲載

Waive

Member:田澤 孝介(Vo) 杉本 善徳(Gt/Vo)

Interviewer:杉江 由紀

全員の意思で"ここで終わりです"と決めたからこそ進められた


-なお「ガーリッシュマインド」はソリッドなロック・チューンですが、Waiveは、『RED ALBUM』に収録されている「spanner」のようなバラードも得意なバンドですよね。ちなみに、この曲はWaive最古の曲であるのだとか。

杉本:2001年初頭に、その後所属することになる事務所の方から声が掛かり、何度もライヴに足を運んでいただいて、その都度"「spanner」がすごくいい曲だから、これを超える曲を書けるかどうかが大事だね"って発破を掛けられて、それを受けて作ったのが、『BLUE ALBUM』のほうに入れた「そっと...」だったんですよ。

-アッパーなロック・チューンはもちろんですが、旋律の美しい楽曲ではことさら田澤さんの卓越した歌唱力が強く発揮されます。Waiveがシーンの中でずば抜けた存在感を持っていくことになったのは、田澤さんの功績によるところもやはり大きいですよね。

杉本:そうだとも思います。けれど、そうじゃないとも思うというか、バンドって複雑なものだから、あれもこれも全て必要だったんだろうし、逆に全てが足かせにもなっていた気もするので、分からないです。

-歌う側でいらっしゃる田澤さんは、そのような状況をどのように受け止めていらっしゃいましたか。

田澤:当時はそこまでアイデンティティがなかったというか、周りは"上手い"ってよう言ってくれたけど、自分ではそこまで上手いとも正直思ってなかったです。ライヴではいつも"この曲、キーたっかいなぁ!"って思いながら歌ってましたし(笑)。ほんと高い曲が多くて、ワンマン1本最後まで声がもたなかったですからねぇ。なんとかしてやり切ってはいましたけど、満足に歌えてたのかっていうとそうではなかったと思います。

-それは田澤さんの求めるレベルが高かったということなのではないでしょうか。その証拠に、後輩にあたるヴォーカリストたちの中には、田澤さんをリスペクトしている方が多々いらっしゃいますよね。

田澤:僕は単純に、自分の思うままやりたいように歌ってただけですよ。でも、もしかしたらそういうところが他にはないよねって部分を生んでたのかもしれませんね。

-しかしながら、先程も触れた通りWaiveは2005年に一旦解散してしまいます。その後、何度かの限定復活を繰り返した時期もありましたが、あの紆余曲折はWaiveがそれだけ皆さんにとって大切なバンドである、ということの証左だったのでしょうね。

杉本:2010年に再演したのは結成10周年という節目だったし、ここでは語り切れない程たくさんの思惑みたいなものが、各メンバーやバックアップしてくれたスタッフの中にもいろいろあったんですよ。

田澤:その時点では次のことまでは考えてないんですね。俺も"これっきりや"って思ってたし、その何年か後の再演のときもそうだったんです。でも、心のどっかでは"次にまた誰かがやろうって言い出したら、断る理由はないよね"と思ってたのも事実ではあります。

-2015年以降、近年は"解散中"の看板を掲げながらも、イベント参加のみならずツアーも実施してきたWaiveですが、2023年4月には"再結成"を宣言すると同時に、来年1月4日に行われる、最初にして最後の日本武道館公演"Waive「LAST GIG.」"をもって、解散することを発表されました。ここに来てこの決断を下された理由を教えてください。

杉本:これは僕だけのちょっとズレた感覚なのかもしれないですけど、2005年に解散して、2010年の再結成までの間にはソロ・ワークも始めたとき、そこで感じたのは僕にとってWaiveもソロも一緒なんだなということだったんです。もちろん違う曲をやってるし、ソロではメイン・ヴォーカルとして歌いながらギターを弾いてるんで、いろいろ違う要素があるのは間違いないんですけどね。ソロ・アーティスト 杉本善徳も、バンドのWaiveも、杉本善徳個人にとってはどっちも自分の中の一部でしかないという感覚があるんですよ。要するに、両方が自分と一心同体だ! という程おこがましくもないわけです。でも、だからこそ僕は、自分にとっての最高傑作がWaiveになってしまっていることに、疑問を抱くようになりました。

-なるほど。Waiveが最高傑作となっている事実はあるけれども、そこを超えたいご自身の気持ちも強くお持ちでいらっしゃるということなのですね。

杉本:杉本善徳ワールドというテーマパークを僕が作っているとしたら(笑)、Waiveやソロはそれぞれ違うエリアとして独立しているんだけど、大きく捉えたら1つの世界だよねってことなんです。現状ではWaiveエリアの運営に時間を割けば割く程、ソロのエリアのために使える時間が削られてしまうし、人生という時間が限られていることを思うと"このままでいいのか?"って思いになってしまうんですよね。年齢とか体力的なことを考えても、いろいろな面でWaiveに関してはこの辺が限界なのかもしれない、と感じてここで最後の解散をすることにしました。 自信を持って"これが最高傑作です!"というものをWaiveでドーン! とやり切って、"お前はそれを超えられるのか?"って試練を自分に与えたいんですよ。形になるまでは3年くらいかかることも承知で、次の人生っていうものに挑戦したいんです。田澤君にも、この話は真っ先にしました。そうしたら、近しいことを考えてるっていう話になったんですよ。

田澤:まぁ、再演を繰り返していくうちに"解散中"っていう概念が生まれて、Waiveはゾンビみたいやなって思ってた自分もいましたからね(笑)。言葉を選ばんで言うと、この"解散中"というのは都合のいいもので、傷つかないし悲しまないし、"また会えるかもしれない"って希望もある言葉じゃないですか。でも、そこを頼りに生きていったとて、俺が50歳を過ぎたときにも、Waiveの曲を自分が納得いく形でちゃんと表現できるかね? と思いまして。反面で、ここで終わらせて悲しむ人を増やすのも本意ではない気持ちもあるんですけど、そんなモヤモヤを抱えていたときに解散の話を貰ったんで、僕としても"そういうことなら"って納得しました。

-あえて線引きをする、という選択が人生においては時に必要なのでしょうね。

田澤:後々になって"あれが最後やったんやな"ってなることが、人生にはたくさんあると思うんですよ。そして、Waiveの最初の解散は僕が脱退を申し出たことがきっかけでしたけど、今回は全員の意思で"ここで終わりです"と決めたからこそ、物事を進められたという部分もあるので、そこをとても前向きに感じている自分もいます。もっとも、解散ライヴを"武道館で"って言い出したときは一瞬"マジか!?"となりましたけど(笑)。

-2005年にSHIBUYA-AXにて開催された解散ライヴも、"LAST GIGS."というタイトルではあるものの、会場は武道館にアップグレードしましたものね。Waiveからしてみると、武道館は"やり残したこと"にあたるということでしょうか。

杉本:今までは感じてたけど決まってからすでになくなった感情があったり、逆に決まってから新しい感情も芽生えたりはしてるんですが、誰にでも伝わる言葉を選ぶなら"やり残したこと"なんだと思います。個人的には、大阪出身のバンドなんで武道館よりも大阪城ホールに対しての思い入れが強かったんです。でも、いざ発表して文字で見ると、"武道館"ってなんとも言えないパワーがあるなって感じたんですよね。時間が経つにつれ、"武道館"という言葉に執着するようになってきました(笑)。

田澤:いろんなバンドが目指す場所として浸透してるなか、埋まるとか埋まらないとかに関係なく"武道館でやろうぜ!"ってなったところが我々らしい部分でもあるなと。無謀なチャレンジですけど、埋めることが一番の目的ではなくて。解散するまでに1人でも多くにWaiveってバンドがあったことを知ってもらおうってことと、武道館でなるべくいい景色を見ようよ、ってのはイコールになっていく気がするんで。たくさんの人に集まってもらえるように頑張ります。

-セルフカバー・ベスト・アルバム『BLUE ALBUM』と『RED ALBUM』は、今度の "Waive「LAST GIG.」"へと向けた布石としても重要な作品になりましたね。これだけの曲数を一気にリレコーディングされるのは、なかなかの労力だったのではありませんか。

杉本:ライヴでずっとやってきてた曲がほとんどなんで、企画を出したときは結構適当にやってもすぐ録れるんじゃないかなと思ってたんですけど、全く違いましたね。

田澤:やってもやっても、全っ然終わらへん! みたいな(笑)。

杉本:めちゃくちゃしんどかったわ。2度とやりたくない、こんなこと(苦笑)。

-苦労された甲斐あって、素晴らしいセルフカバー・ベスト作品になっておりますよ。

田澤:自分で言うのもなんですけど、今回の再録では昔のWaiveのすごさに頭を抱えさせられることになりました。こんなにピュアやったんやなっていうことも感じましたね。若さっていいなって(笑)。

杉本:いや、ほんまにいいなぁって思いますよ。曲がいいのは前から分かってたんですけど、改めてヴォーカル・ディレクションしてたら歌詞がいいなと。"誰が書いたんや? あ、俺か!"っていうベタなことが何回かありました(笑)。

-6月21日からは、『BLUE ALBUM』と『RED ALBUM』が軸になっていくであろう"Waive GIGS 2025「蒼紅一閃 -soukouissen-」"も始まります。次のツアーは、恐らく"Road to 武道館"の意味合いも持つ場になっていくのでしょうね。

田澤:まずはとにかく、ツアーに来てくれた人が"これは武道館も観ないと!"ってなるようなパフォーマンスをしていきたいです。それプラス、たぶんこのツアーは自分にとっての思い出作りというか、武道館に至るまでのドラマ的なものとしても、やっていくうちにジワジワ来るんだろうなって予感があります。

杉本:武道館は自分たちにとって、まぁ無謀な挑戦ではあるんですよ。足がすくむような気持ちもあるし、やめられるんだったらやめたいなみたいな気持ちだって正直なくはない。だけど、それこそ四半世紀かけてやることって考えたら、俺って小さい存在やなぁとも正直思っちゃうところもあって、今の時点では気持ちがいろいろ揺れ動くんですよ。でも、今はまず目の前のことをちゃんとやっていかないとっていうベタなことも思いますね。今はボールをただ投げればいいっていうわけじゃなく、球種を選ぶ段階に入ってきてるんで。

田澤:時間は限られてるからね。

RELEASE INFORMATION

Waive
『RED ALBUM』
[鉄ぱいぷレーベル]
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【通常盤】CD

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【初回生産盤】CD+GOODS+Mカード

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