INTERVIEW
ナデシコドール
2025.03.25UPDATE
2025年04月号掲載
Member:ユズハ(Vo) リエ(Gt)
Interviewer:フジジュン
-15周年に向けて作った「閃光」で始まって、15年間積み重ねてきたものを再確認するような「豪歌絢爛」を終盤に配置して。アルバムができあがってみたら、「閃光」を作っていたときには想像しなかった物語が生まれたんですね。「豪歌絢爛」はやはり制作後半にできた曲だったりするんですか?
ユズハ:結構後半でしたね。今回たくさん歌詞を書いたんですけど、リエちゃんの曲が良かったのもあって、スランプに陥ることがなかったんです。私はダークな曲がとにかく好きなので、個人的には「め」がすごく好きだし、すんなりできました。
-今作の中でも異色な「No!レイジー魔法」はどうですか? キュートで遊び心満載のこの曲が中盤にあることで全体が和らいで、アルバムの雰囲気が変わります。
ユズハ:以前、"全曲通して冒険してみよう"というコンセプトで作った『撫子冒険劇』(2022年リリース)ってミニ・アルバムを出したんですが、それに「拒絶Aging」っていう、1曲通してエクササイズみたいな振付がある、ライヴですごく盛り上がる曲が収録されていて。その第2弾とまではいかないんですけど、みんなで身体を動かせる曲を入れたいねってことで、"怠けるんじゃないよ!?"って私たちが魔法を掛けてあげるというコンセプトの、ちょっとぶっ飛んだ曲を入れてみました(笑)。
-あはは、そういう経緯があったんですね。そんなアルバムならではの曲も含めて、結果的にアルバム全体で聴いたときはすごくまとまりのある作品になって。
リエ:トータルして聴いたら、意外とまとまりのあるアルバムになりましたね。2人で通して聴いたとき、"いいアルバムになったね! 私たち天才!"くらい言ってたよね?
ユズハ:自分たちですっごい褒め合ってた(笑)。
リエ:私がちょっとくらいぶっ飛んだ曲を作っても、ユズハに持っていけばナデシコドールらしくというか、カッコ良く仕上げてくれるって信頼があるので。ユズハも決まったデモの中で考えなきゃいけないなかで、よくここまで作り上げてくれたなって感謝してます。
-すごく強い信頼関係で成り立ってる2人だと思うのですが。改めて言葉にすると、リエさんはユズハさんのヴォーカルをどう見ていますか?
リエ:やっぱり表現力が強みだと思ってて。歌が上手いってのは当たり前だから置いといて、一番すごいなと思って尊敬するのは表現力の部分ですね。曲によっていろんな表情を見せてくれるのはもちろん、指先の使い方まで、女優さんの演技を見てるような感覚になるときもあったり。どんな曲も自分の歌に落とし込む力がすごいと感じてます。
ユズハ:最初の頃は設定を決めて、"人形っぽくやってみよう"とかキャラを作ってたときもあったんですけど、やっぱり等身大の自分たちを見せていくほうがバンドとしての深みも出るような気がして。MCとかもですけど、自然体でやるようになっていったんです。
リエ:そうだね、いい意味で気取らないというか。ライヴもMCも曲作りも、自分たちを出していったほうが伝わるし、自分たちが楽しむことが一番だよなと思うようになってから素だよね。
-逆にユズハさんから見て、リエさんはどんなギタリストですか?
ユズハ:まず曲を作ることに関しては、いい意味で飛んでて。型にとらわれないインスピレーションや発想力があって、"これ、リエちゃんにしか書けない曲よな"ってデモが上がってきて、すごいなと思わされることも多いですし。ライヴでも曲に合わせたパフォーマンスとか、弾いてる姿がすごくカッコいいし、それを想像できる音源にもなってると思いますね。音源を聴いて"いいな"と思ってくれた人がいたら、ライヴで観たら絶対にもっとハマる、退屈させないギタリストだと思うんで、ぜひライヴを観に来てほしいです。
-ユズハさんは、リエさんの曲だから生まれてくる言葉や発想も多い?
ユズハ:もう、リエちゃんの曲じゃないと生まれないものしかないくらいです。たまにシンセのメロディ・ラインとかも入れた状態で渡してくれるんですけど、"こんなにもインストで完成した曲に、どういうメロディを乗せろと言うのかね!?"という状態から、そこで歌と楽器を絡ませて、化学反応が生まれるみたいなこともたくさんあったので。やっぱり、私たちのコンビネーションがあるからこそ、ナデシコドールのいい味が出せてるんじゃないかと思います。
-2人の話を聞いてると、お互いのことが大好きというのもありながら、リスペクトもすごくあって。とってもいい関係だと思います。
リエ:それはすごい感じるかも。お互いの持ってない部分を補え合えてて。
ユズハ:デコボコ(笑)。
リエ:デコボコだよね。でもずっと一緒にいるから、こうしてインタビューとか受けてても同じことを同じタイミングで話しちゃって、"双子なの!?"って。
ユズハ:仲良すぎて、気持ち悪がられることも多いです。似てない姉妹(笑)。でも、私はもともと、今の5倍くらい暗くて。今も根暗ではあるんですけど、リエちゃんに吸い寄せられて明るくなったところもあります。
-15年の活動を振り返ったとき、ターニング・ポイントとなる重大事件ってありました?
ユズハ:事件というか、最初の頃は札幌でライヴ活動をしていて。良くも悪くも、温かい中でぬくぬくと活動してたんですけど、ネットやSNSも活発になっていくなかで、2016年に初めて東京のライヴハウスに対バンで出させてもらったんです("Girls ROCK! vol.44 -撫子東京壱之巻-")。それぞれネットに動画を載せたり活動してたんで、"北海道のバンドが初めて東京に来る"っていうので、なぜかお客さんもたくさん来てくれて。"東京にこんなに待ってくれた人がいるんだ!"ということに感銘を受けましたし、対バンのお客さんがすごい盛り上がってるのを見て、"東京ってこんなにバンドも人も多くて、こんなに盛り上がってるんだ!"って衝撃を受けて。そこから東京遠征するようになって、見えている世界やバンドの活動が大きく変化しました。それを受けて2017年にリリースしたミニ・アルバム『月下麗音』に収録されたのが、今作にも収録されている「月下絶麗」なんですけど、『月下麗音』をリリースした頃から意識が変わったし、全国区で活動をするようになって。ターニング・ポイントになったのは、東京に行って、『月下麗音』を出したことでしたね。
リエ:東京はバンドの数も多いので、すごい戦ってる印象があって。そこに自分たちが参戦して、"負けてられない"って気持ちもすごく芽生えたし、刺激も受けたし。自分たちの魅せ方や曲作りに向ける意識もすごく高まりましたね。
-そして、現在開催中のツアーですが、3月に全国5ヶ所を回って。6月には札幌、名古屋、東京でのワンマン・ツアー"ナデシコドール「原点回帰!ホームを埋めよう ONE MAN LIVE TOUR 2025」"を控えています。
ユズハ:ワンマン・ツアーに関しては、今までちょっと背伸びをした会場でやったりしてたんですが、15周年はそれぞれの地域で一番お世話になった、ホームと言える会場で恩返しがしたいということで。"原点回帰!ホームを埋めよう"という全然カッコ良くないタイトルなんですけど、"ここがホームなんだ"っていうのをみんなにも伝えて、温かくも熱いワンマン・ライヴにしたいなと思ってますし。それに向けて、15周年ツアーで"新曲カッコいいだろ? どや!?"って、ワンマンに来たくなるようなカッコいいライヴを見せて、20周年を見据えたような、カッコいいワンマンをやりたいなと思っています。
リエ:歳を重ねる程に人との繋がりへのありがたさや感謝を感じるし、それがあってこそ活動ができてるんだってことを実感していて。ライヴハウスに恩返しできることはたくさん集客することだし、お客さんにできる恩返しは"付いてきて良かった"と思ってもらえるような楽しいライヴをすることだと思うので。気合入れて挑みたいです!
ユズハ:私たちを知らない人も新しいアルバムを聴いてもらえれば、こんだけたくさんの曲があるんで、1曲くらいは刺さるだろうと思いますし、ちょっとでもいいなと思ってもらえたら、ぜひライヴに来てほしいです。私たちはライヴにすごく熱を注いでるライヴ・バンドだと思ってるので、ぜひ一度ステージを観に来てください!