INTERVIEW
ナデシコドール
2025.03.25UPDATE
2025年04月号掲載
Member:ユズハ(Vo) リエ(Gt)
Interviewer:フジジュン
祝結成15周年! 札幌を拠点に活動する和洋折衷ガールズ・ロック・バンド ナデシコドールが、2ndフル・アルバム『華舞台-hanabutai-』をリリースした。15年の集大成と言える今作は、代表曲の1つである「月下絶麗」や、「青ノ輪廻-ray force-」の再録を含む全12曲を収録。彼女等の最大の武器である和のテイストを基調としたハード・ロック・サウンドと、美しい日本語や古風な表現から日本人女性の強さや繊細さが見える歌詞、表情豊かに楽曲の世界観を構築する麗しい歌声。バラエティに富んだ楽曲たちに見える、彼女等の多面的な魅力に迫る。
"歩み続けたその一歩が 積み重なった 華舞台"という歌詞に"私たちの全てはライヴだ"という気持ちを込めた
-札幌を拠点に活動中で、今年結成15周年を迎えたナデシコドール。現在、ツアー("ナデシコドール フルアルバムリリース&結成15周年記念主催「淑女ノ飛躍 LIVE TOUR 2025」")真っ最中ということですが(※取材は3月中旬)?
ユズハ:はい。結成15周年記念と2ndフル・アルバム『華舞台-hanabutai-』リリース記念の両方を銘打って、ツアーを回っていて。フライング気味ですけど、会場では全国リリース前からアルバムを販売しちゃってます(笑)。ツアー初日の名古屋は、まだ誰もアルバムを聴いたことがない状態でのライヴだったので、どうなるかな? って不安もあったんですが、初めて聴く新曲ですごい盛り上がってくれて、熱い、いいスタートが切れました。
リエ:今まではみんなが知ってくれてる曲をやる安心感があったんですけど、名古屋ではファンの方の対応力に感動させられたというか。初めての曲でも一体感を持って盛り上げようとしてくれてるのが分かって、ファンとの絆もすごく感じた初日でした。リリース以降はアルバムを聴き込んで挑んでくれる方もいると思うので、また違った空気になると思いますし、ここからもすごく楽しみです。
-アルバム『華舞台-hanabutai-』を聴き終えて、すごくいいライヴを観たような感覚があって、まさに"華舞台"といった感じのアルバムになったなと思って。アルバム曲が出揃ったとき、しっかり盛り上がるライヴになるだろうというのが想像できました。
一同:わ~、ありがとうございます! 嬉しいです!
-『華舞台-hanabutai-』は15年のキャリアや歴史をしっかり詰め込んだ作品になりましたか?
一同:(※声を揃えて)なりました!
ユズハ:アルバムが完成したときはすごく感動しました。もともと"15年の集大成を出したい"って気持ちがあったので、結成記念日である3月25日に発売日を合わせて。15年の想いをこの1枚に凝縮したいと思って、アルバム曲を書き下ろしてきました。
リエ:ナデシコドールはいろんな側面を持ったバンドだと思っているので、いろんなファンやリスナー層に刺さるように、私たちの持ってる全てのジャンルを詰め込もうという気持ちで作って。バラエティに富んだ作品になったなと感じてます。
ユズハ:今までシングルをたくさん出してきたんですけど、曲ができたらすぐリリースって感じだったので、溜めてる曲が1曲もなかったんです。でも15周年でツアーを回るというときにシングルはちょっとな、と思ったし、ファンの方も"そろそろアルバムを"と考えてるだろうと思って。その時点で時間が迫っていたので、結構な速度で曲を作って......。
-え!? 今作ってほとんどの曲がアルバム用の書き下ろしなんですか?
ユズハ:「閃光」だけ音源があって、「青ノ輪廻-ray force-」と「月下絶麗」は以前からあった曲の再録で。あとは全部書き下ろしです。
リエ:アルバム用に曲を書き始めて、最初の曲ができたのが9月末だったんですが、そこから曲を作りながらレコーディングに入って、年末年始はずっとアルバムに向き合ってて。2人で同時に作業しながら"これは終わらないんじゃないか?"と思っていたので、できあがったときは"嬉しい!"より"間に合った!"っていう感想が最初に来ました(笑)。
ユズハ:聴いているうちに"本当に作って良かったよね"って気持ちがやっと生まれてきて。"我等ながら、いいんじゃない?"とか、お互いに言い合ってました。
-クレジットには"Lyric:ユズハ"、"Music:ナデシコドール"とありますが、曲作りの過程はどんな感じなんですか?
ユズハ:まずリエがデモを作って、私が歌詞とメロディを同時に乗せていって。そこからサポート・メンバーの力も借りながらアレンジしていくんですが、仮歌の時点で完成形に近い状態まで持っていくので、1曲ずつしっかり向き合ってというのを繰り返す感じです。
リエ:私はユズハにデモを渡したら次の曲を進めていくので、ユズハから曲が上がってきたときに"これ、どんな曲だっけ!?"って忘れたりしながら作ってました(笑)。そのときはダークな曲もあったり、明るい曲もあったり、情緒が安定しない状態がずっと続いたんですけど、アルバムじゃないと入れられない曲もたくさんあって。今回はやりたいことを好きにやらせてもらいました。今はもう、納期に余裕のあるスケジュールだったら次のアルバムを作りたいくらいの気持ちです(笑)。
-改めて聞きたいんですけど、ナデシコドールは"和洋折衷ガールズロック"をコンセプトに打ち出していますが、和テイストの導入には何かきっかけがあったんですか?
ユズハ:2人でバンドを結成して"バンド名を決めよう"って話になったときは、和風にしようなんて何も考えていなかったんですけど、当時は和の雰囲気のバンドってあまりいなかったんで、"日本人だし、和の感じを入れたら新しいんじゃない?"くらいの勢いで決めたみたいなところがあって。
リエ:そう、"日本人の女性の強さや美しさを出せたらいいよね"くらいの感じで。あと、バンド名が英語のバンドさんってすごく多いと思うんですけど、読みやすい名前がいいなと考えて、ナデシコドールって名前を付けたんです。でもいざ始めてみたら大変で、"なんで和にしちゃったんだろう!?"って(笑)。
ユズハ:"英語表記にして、なんでもありにする?"と話したこともあるんですけど、和の雰囲気も好きだし、バンド名ってすごく大事だし。"ドール"が英語なんで、全力で和風ではなく、和洋折衷がいいよねって"和洋折衷ガールズロック"というコンセプトに決めて。そのときにやりたいことを無理せず落とし込んで、いい感じに和の雰囲気を入れようねということで、バンド名やコンセプトは変えずにやってきました。
-アルバム収録曲についても聞きたいのですが、アルバムに先行して作られた曲で、インストゥルメンタルに続いての今作のOPナンバーである「閃光」は、どんな経緯で作られた曲だったんですか?
ユズハ:ちょうど1年前、結成14周年記念ライヴ("ナデシコドール 結成14周年記念3MAN LIVE")で披露した新曲だったんですけど、ここから15周年という大きな節目に向けた1年になるということで、ファンと1つになって勢いを付けていけるようなロック・チューンにしたいと思って作りました。最初はその14周年記念ライヴを想像して書いた曲だったので、アルバムに入ることは想定していなかったんです。
-"暗闇に一撃放つ"とか、"未来に揺さぶりをかけろ!"といったアグレッシヴなワードは、来たるべき15周年を控えた自分たちを奮起する言葉でもあったと。それと同時にこれまで築いてきたものや、ナデシコドールらしさも表れた曲だと思います。
リエ:そうですね。ナデシコドールはヴォーカルとギターの2人なので、今回は曲によって同期のサウンドが強めのものもあるんですけど、「閃光」に関してはヴォーカルとロックなギターが活きる、私たちが目立つような曲の作りにしてあります(笑)。
-アルバムを制作していく上で、鍵になった曲はありました?
リエ:「閃光」を最初に入れるっていうのはなんとなく考えてたんですけど、他は早く作れそうな曲から作るって感じで。最初は"こういう曲で構成しよう"というのはあまり考えていなくて、曲が全部出揃ってから並べていったんですが、「豪歌絢爛」はアルバムのリード曲として作るって決めていて。和のテイストだったり、女性の繊細だけど華やかで煌びやかな部分を曲や音色に詰め込みたいと考えてたので、今の私たちの名刺になるような曲になったと思います。今のツアーでも「豪歌絢爛」を披露していて、今後も必ず演る曲になっていきそうです。
ユズハ:私も「豪歌絢爛」は絶対に外せない曲だと思ったし、最初のワンフレーズで惹き付けたいという気持ちがあったので、"焼き付けよ"って強いワードで始めて。15年やってきた私たちのことを歌おうと思ったので、歌詞もメロディも自分たちが積み重ねてきたものをしっかり書いて、スッと入ってくるようなものにしました。"歩み続けたその一歩が 積み重なった 華舞台"という歌詞に"私たちの全てはライヴだ"っていう気持ちを込めて、"華舞台"をアルバム・タイトルにして。曲名だけではどれがメインの曲か分からないけど、ここまで聴いてきて初めて"華舞台"って言葉が出てきて、"これがメインの曲だったんだ"って思わせたいという狙いもありました。