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INTERVIEW

TABOO

2022.09.08UPDATE

2022年09月号掲載

TABOO

Member:Christoffer Stjerne(Vo)

Interviewer:菅谷 透

-ところで今回、おふたりは"Various Instrumentation"ということで様々な楽器も担当されたようですが、具体的にどのような楽器を使用したのですか?

ほとんど全部だね。曲によってはドラマーを入れて、他のパートも少しゲストが参加している。

-H.E.R.O.のAnders "Andi" Kirkegaard(Dr)も参加していたんですよね。

そう。それからベーシストがふたり、何曲かプレイしてもらった。他のベースと、あとキーボードは全部俺たち。ドラムスの他の部分は、実はプログラミングなんだ。

-そうだったんですね。実はそこも気になっていました。

そうなんだよ。俺が指でドラムをやっているんだ。

-すごく自然に聞こえました。

実は俺はもともとドラマーからスタートしたんだ。今でも時々叩いているよ。プログラミングは俺にとって自然なことなんだ。自分がプレイするときみたいにプログラミングすればいいからね。脳内でドラムをプレイして、それを指で再現しているって感じかな。

-追加ミュージシャンとして、Andiの他にはベースに以前WHITE LIONに少し在籍していたClaus Langeskovや、Mat Sinner(SINNER/PRIMAL FEAR etc.)が参加していますね。彼らはどういった経緯で参加したのでしょうか。

まず、Andiは俺にとって、何か必要になったときにまず行く相手なんだ。今回も"ちょっとドラム叩いてみる気ある?"と聞いたら"もちろん! やってみるよ"と言ってくれた。一瞬のうちに決まって、すごく楽だったよ。MatとClausは......たしかKenが知り合いだったんじゃないかな。彼のほうから聞いてくれて、ふたつ返事でオーケーしてくれた。それでベースなしのトラックを送って、自宅でレコーディングしてもらったんだ。最高だったよ。俺たちが望んでいた形そのままに仕上げてくれたんだ。

-彼らは自宅からとのことですが、あなたとKenは対面がメインだったのですよね?

ああ。

-制作過程において、ケミストリーや手応えを感じた瞬間はありましたか?

難しい質問だね(笑)。そうだな、2回目に会って曲を書いたときだったかな? 曲をいくつか書きながら、"こんなに自然体でやれるなんて。楽しい!"と思ったんだ。H.E.R.O.の曲を書くよりもずっと楽にやれた気がしたんだよね。俺が好きなようにやれる自由なスペースができたような気がした。Kenもきっと同じように思っていると思う。ごく初期段階から、これは何かに発展させるべきだという手応えがあった気がするんだ。

-ここからはいくつかの楽曲についてうかがいます。第1弾シングルとしてリリースされたTrack.1「Flames」は重量感とともにパワフルなヴォーカルが引き立った、バンドのスタンスを開幕から示すような楽曲です。この曲についてや、アルバム全体の曲順について意識したことをうかがえますか?

最初にギター・リフを書いたのを覚えているよ。最初に書いた曲じゃなかったけどね。でもできあがったとき、リフに入る前のギターの感じとか、アルバムのオープニングにいいんじゃないかってふたりとも思ったんだ。ショーをこれで始めるのもいいねって。作った時点でそう思えたから、自然な流れでオープニング曲になったんだ。

-最初にできた曲ではなかったとはいえ、全体のトーンがこれで決まったような感じでしょうか。

そうだね。ヘヴィ寄りの曲を書くならこれが基準になったのは間違いないね。

-Track.2「Bleeding」はメタリックなイントロから力強いサビに流れる様子が印象的です。赤を基調としたMVも制作されていますね。

「Bleeding」は2番目に書いた曲だったかな? ......音楽のスタイルとか、チャートで流行っているものとか、考えないで作ろうと思ったのを覚えている。書いたギター・リフからとにかく進んでいこうと思ったんだ。そうやって突き進んでいった結果「Bleeding」ができた。あのギターはすごくKen Hammer的だよね。

-わかります。

だよね。で、コーラス部分はH.E.R.O.の1stアルバム(2019年リリースの『Humanic』)や2ndアルバム(2020年リリースの『Bad Blood』)から出てきたような感じ。俺が普段使っているようなコードを使うのが自然なことに感じられたんだ。あれもすごく楽にできたね。

-Track.3「Learning To Breathe」は哀愁と開放的な雰囲気が組み合わさった楽曲で、異なる魅力を見せています。

いつだったか、Kenより数時間先にスタジオ入りしたことがあってね。アコースティックなロック・バラードが必要なんじゃないかという話になっていたころだった。1時間半くらいでベーシックな構造を録音することができたんだ。

-それは早かったですね。

ああ、超楽勝だったよ。Kenが来たときには、ほとんどできあがった状態の曲を聴かせることができたんだ。すごくクールな状態だった。そこからギターを入れたり、俺がメインやバッキングのヴォーカルを入れたりしてできあがった。この曲の中でも俺的なお気に入りだと思うね。

-あなたの声もよく伸びていますね。

そうだね(笑)。なんか気分が良かったんだろうね(笑)。

-Track.4「Demons」もメタリックな疾走感とエモーショナルなメロディが交錯した楽曲で、両者の持ち味がよく生かされているように感じました。

まさに今言ってくれた通りだと思うよ(笑)。「Demons」のヘヴィなギターのパートは、俺が通常書かないタイプのやつだしね。普段の俺がああいうのをやったら、80年代の古い曲をカバーしているような感じになってしまっていたと思う。ああいうタイプのプレイをするのは、俺にとってはそんなに自然なことではないからね。でもKenが弾くと断然理に適うんだ。音も素晴らしいしね。俺的にはRAMMSTEINというドイツのバンドを少し思い出したな。ストレートで、ある意味獰猛なエネルギーを持ったヴァイブがあるという意味でね。あの曲もすごく楽しく作れたよ。

-アルバム全体にダイナミクスがあると思いますが、中でもTrack.8ではWiz KhalifaとCharlie Puthの楽曲「See You Again」をカバーしています。原曲はヒップホップ/ポップのバラードで、映画"ワイルド・スピード SKY MISSION"の主題歌や、製作期間に亡くなった主演俳優のポール・ウォーカーに捧げた曲としても有名です。意外な選曲ながら美しいパワー・バラードに仕上がっていて驚きましたが、今回カバーしようと思った経緯を教えていただけますか?

実は面白い話があってね。Kenはご存じの通り、「Please Don't Leave Me」のカバーが大ヒットした人だ。で、今回もカバーをやるのもいいかもしれないなんて話が出ていた。俺もカバーの経験は何度もあるけど、今回は今ひとつこれだって曲が見つからなかった。そうしたらある日彼が"おい、今聴いた曲があるんだけどさ、最高だよ! 誰も知らない超無名な曲で「See You Again」って言うんだけど......"。

-(笑)

"おいおい、馬鹿なことを言わないでくれよ! 大ヒット曲じゃないか!"って言ってやったよ(笑)!

-あはは(笑)。

そうしたら"本当か? 俺は聞いたこともなかったぞ"なんて言っていたけどね(笑)。

-さすがロッカーですね(笑)。

そうだね(笑)。まぁ、とにかくトライしてみることにしたんだ。コーラスは誰でも歌えるやつだしね。ラップの部分は......俺は世界最悪のラッパーだから(笑)、何か違うことをしたほうがいいってことで、代わりに歌うことにした。とてもいい感じに仕上がったと思うよ。それでアルバムに入れることにしたんだ。

-Kenの発案だったとは、興味深いですね。

ああ、興味深いところだよね。彼はポップ・ミュージックもよく聴く人ではあるけど、この曲はたまたま素通りしてしまっていたんだろうね(笑)。

-(笑)ライヴでウェーブを作りながら聴きたい曲になりましたね。もうひとつ、本編ラストとなるTrack.10「Daydream」では、憂いのあるイントロからガラッと雰囲気を変える展開が非常に興味深く感じました。この曲についてもうかがえますか?

あれはたしか、スタジオにいたときに自然にできた曲じゃなかったかな。EAGLESとかTHE BEATLESとか、オールドスクールな感じの曲を一緒に聴いていたんだ。あとカントリーの曲も聴いていたね。そういうのを掘り下げて、ベーシックというより、ルーツに戻った感じのソングライティングをしたらどうなるかやってみたかったんだ。プロダクションやビートもそんな感じにしたらどうなるかと思ってね。それでできあがったのが「Daydream」なんだ。いい締めくくり方になったと思うよ。

-まさにそうですね。アルバムは1ヶ月後に出ますが(※取材は8月上旬)、TABOOとしてのライヴ活動も計画中だと目にしました。今後の活動予定をうかがえますか?

8月26日にデビュー・ショーをやるよ。その後9月2日、10月にもライヴがある。今のところその3回だね。楽しみだよ。

-ぜひH.E.R.O.とTABOO両方のライヴを日本で観たいですね。

本当だよ! 俺たちにとって目下最大の夢が日本でまたライヴをすることなんだ。もうずいぶん長い間行けていないから、全力で目指すよ。

-ありがとうございます。最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。

まだ"TABOOのファン"がどのくらいいるのかわからないけど......でも、俺やKenのやってきたことをずっとサポートしてくれたことに本当に感謝しているんだ。ふたりとも心のスペシャルなところに日本があるから、日本を思いながら作ったアルバムだよ。ぜひそっちに行ってみんなに会いたいと思っているんだ。引き続き無事でいてくれ! そしてきっともうすぐ会おう!